【 水垢離 】
熊野古道は、田辺や上富田あたりから、山深い中辺路(なかへち)へと入り、まずは本宮(ほんぐう)を目指す。このあたりは、山間部への入り口で口熊野(くちくまの)と呼ばれ、参詣者は、海や川などで穢れを落とし、身を清めたとされる。上富田町の稲葉根王子(いなばねおうじ)近くは、富田川(とんだがわ)の水垢離場(みずごりば)だったとか。この近くの富田川の土手に、去年(2023年)3月、水垢離体験場ができた。駐車場もある。今回はここから旅が始まる。旅人は、三浦ちあきさん(写真右)と柳橋さやかさん。このコンビは半年ぶり。三浦さんは60回目の旅となる。
稲葉根王子で
☆番組は、ここから聞くことができます。
水垢離体験場
デジタル御朱印
水垢離体験は足湯スタイル。ベンチの前に水の流れがある。裸足になって、ベンチに腰をかければ、水に足を浸けられる。この水が思いのほか冷たく、ひととき暑さを忘れさせてくれた。この日も暑かったから、とても気持ちよく、オススメの場所といえる。
水垢離体験
水垢離体験(足元)
体験ができる時間は午前9時から午後4時まで。体験場近くに掲示されているQRコードを読み込むと水垢離体験証明書を兼ねたデジタル御朱印がゲットできる。写真のQRコードからもアクセスできてしまったため、画像を加工して消した。ぜひ、実際に出かけてみてほしい。このほか、田辺市扇ヶ浜の潮垢離(しおごり)、湯の峰温泉の湯垢離(ゆごり)もある。デジタル御朱印集めは、スタンプラリー感覚かもしれないが、三浦さんが言ったように、3か所を制覇すればスゴく清まるという訳ではない。それぞれ、神様に会うために、自身の穢れを落とし、身を清めた場所。そして、本来の目的は、垢離(こり)の場所をめぐることではなく、熊野三山に参詣すること。
水垢離体験
水垢離体験
水垢離体験は、清流富田川とその向こうの山々を眺めながらと、自然を満喫できる。傍らには、上富田町の特産、ひょうたんが栽培されている。ここにあるのは、千成(せんなり)ひょうたんだ。
水垢離体験
千成ひょうたん
富田川右岸の堤防道路をわたると、世界遺産の熊野参詣道(熊野古道中辺路)の稲葉根王子がある。九十九王子といわれるように、熊野参詣道沿いに数多くある王子社のうち、格式が高い5つの王子社(五体王子)のひとつ。なお、和歌山県と奈良県・三重県にまたがる「紀伊山地の霊場と参詣道」は、今年(2024年)、世界遺産登録20周年を迎えた(稲葉根王子は、2016年10月に追加指定された場所のため、ここは、厳密には、今年で登録8年め)。
王子への道標
稲葉根王子は世界遺産
旅のはじめにあたり、水垢離体験もした女子たちは、稲葉根王子に参拝する。小さな橋を渡り、鳥居をくぐると、空気感が変わるから不思議だ。神社の森の中にある朱色の拝殿で手を合わせた。
稲葉根王子へ
稲葉根王子へ
このコンビは、7年前にも旅のスタートで、稲葉根王子を訪れている。
2017年12月「口熊野から奥熊野、秘境を訪ねる旅」で、この時はここから山間部に向かった。今回は、海岸部へ。
稲葉根王子へ
稲葉根王子に参拝
【 日置 】
白浜町日置(ひき)の道の駅「志原(しはら)海岸」近くの国道42号沿いに「デリカフーズクリヤマ」はある。2020年に創業100年を迎えた精肉店で、新型コロナの流行もあり、店舗を改装してカフェ営業を始めたという。
デリカフーズクリヤマ
1920年創業
もともと人気だったカツのハンバーガー、ミンチカツバーガーやササミタルタルバーガー、コロッケバーガーが人気という。迷いながらも、三浦さんはコロッケバーガー、柳橋さんはミンチカツバーガーを注文した。ドリンクがセットになったメニューがありお得。そして、なによりおいしいのだ。
ミンチカツバーガーセット
いただきま~す
お店の栗山律子(くりやま・りつこ)さんにお話をうかがった、カフェへのお店の改装のうち、店内は、自分たちでDIYしたという。ウッディーでおしゃれな空間になっている。定休日は日曜日とのこと。
栗山律子さんと
道の駅「志原海岸」は、この番組でも何度も訪れている。今回の旅コンビでも2019年8月「
白浜、見たことがない景色に出会う旅」や2020年12月「
冬の味覚、エビを知ってエビをいただく旅」で立ち寄った。その隣接地、海来館(みらいかん)の向かい側に、2022年、「足つぼロード」ができた。新名所というか珍名所。なかなか人気という。
道の駅「志原海岸」海来館
足つぼロード全景
全長50メートルほどあり、いくつかの区画に仕切られ、色んな種類の石が、色んな並べ方で埋め込まれている。片側に手すりがある。訪れたのが暑い日だったため、日射で石がかなり熱くなっていた。夏場に裸足で歩くなら、先に水をかけた方が良いかも。
足つぼロードスタート
イタタタタタ・・・
最初は、足取りが軽かった2人だが、先に悲鳴を上げたのは柳橋さん。やがて、三浦さんも、歩みを止めざるを得なくなり、進めなくなった。ツボ刺激はできているのか、身体に良いのかどうか、とにかく痛い痛いの連発となる。最後は、三浦さんがズルいことをしていることがわかり、柳橋さんに叱られていた。痛い思いをしたのだから足が軽くなったと信じたい。皆さんもご家族などでぜひ。無料ですから。
ア~ア、イタ~イ
三浦さんがズルしてます
【 南白浜 】
今度は、南白浜エリアを散策する。南白浜というのは、白浜町の南部ではなく中部。南紀白浜空港の南、白浜の半島の付け根あたり。所在地では、白浜町中(なか)など。隠れ家感のある場所も多い。女子たちは、車を降りて、海へと伸びる緑のトンネル道を歩く。
緑のトンネルを行く
緑のトンネルの道
「和歌山じゃないような景色」「沖縄みたい」そんな言葉が女子から聞かれた。前方も緑だが、振り返っても緑。そして、前に海(らしい景色)が見えてきた。堤防の切れ目から見えているだけなので全景は分からない。
振り返って感激
海が見えてきた
急に視界が開け、波の音が耳に飛び込んできた。「五色ヶ浜(ごしきがはま)」だ。弓形の海岸線が長く延び、浜の背後には松林などの緑がある。右側には地層が露出した岩が見えている。南紀熊野ジオパークのシガラミ磯だと知る。遠く、弓形の浜の先には椿(つばき)温泉街が見える。そんな場所だ。砂浜ではなく、砂利の浜で、すぐに深くなっているので遊泳には向かない。海水浴場ではないもよう。水は透き通っていて、きれい。したがって、遊泳以外の海のレジャー(ボート遊びやダイビング系)はできるかも知れないが、管理者のような人はいない。自己責任で楽しむということだ。女子たちは、景色と波音を楽しむ。
五色ヶ浜
五色ヶ浜で
浜に寝そべっていた柳橋さんが「飛行機近っ!」と叫んだ。海の方を見ていた他のメンバーは気づかなかったが、上を見ていた柳橋さんは、南紀白浜空港を飛び立ったばかりとみられる飛行機を見つけた。離陸まもない場所だから、飛行機は大きいし近い。それにしても、1日に3便だけの東京便(たぶん)の飛行機と、たまたま出くわすとは。飛行機は大きな音を立てて、南の空へと遠ざかっていった。
浜に寝転ぶ柳橋さん
あっ!飛行機!近い!!
近くのカフェで休憩しようと、インターネットで見つけた古民家カフェ「シーハトーブ」へ。五色ヶ浜から富田浜の松林をたどっていくと、あった。大きな古民家で、駐車している車も多い。
シーハトーブ
海岸沿いの松林
室内もかなり広いが、庭先にテラス席があり、鉄板もある。女子たちは、室内へ。本格的なフォンドボー・ビーフカレーが自慢だという。そう言われれば食べたくなる。ランチは終わっていても注文するに決まっている。
シーハトーブ前で
自慢のビーフカレー
マスターでシェフの井口純二(いぐち・じゅんじ)さんに聞いたところ、「おじいさんが古賀の井をつくり・・・」と話し始めてびっくり。「そこに来たシェフのカレーに惚れ込んで弟子入りした」へぇー。「テラス席の半分をステーキハウスにしたい」なるほど。「店が休みの2日間をまるまるカレーの仕込みにしている」スゴっ!「今は息子が頑張ってくれている」家族で営業しているようだ。YouTubeチャンネルを開設していたり、SNSで情報を発信したりもしているという。定休日は月曜日と火曜日。
マスターの井口純二さん
シーハトーブの皆さんと
【 天神崎 】
最後は、田辺市の天神崎へ。ここも番組で訪れたことがある。2018年3月「田辺・白浜、おとなの春休み旅(三浦ちあき&中川智美)」と、2022年3月「印南から田辺、スゴイ景色と出会う旅(伊舞なおみ&柳橋さやか)」だが、今回、リフレクション映えに初挑戦する。天神崎といえば、森と磯と海が出逢う自然の宝庫で、1970年台に持ち上がった別荘地開発計画を土地の買い取り運動で乗り切ったナショナルトラスト運動発祥の地として、かつては知られていたが、今は、絶妙なタイミングで生まれる鏡のような海面に、人や景色がシルエットとして反転して映るリフレクションで知られる。
天神崎にやってきた
リフレクションに挑戦中
リフレクションが美しく見えるための条件はたくさんあるが、時間帯としては日没の頃が良いとされる。天神崎は干満により景色が変わることから、田辺観光協会では、日没頃で潮位がちょうど良くなる日時を公表している。とはいえ、その日に行ったからといって、必ず、映える景色に出会える訳ではない。空の色や天気、そして、海面が鏡のようになるには、風があってはいけない。小さな波立ちでも反転像は見られない。今回はというと、観光協会推薦の日時の1日後で、さらに風が少々。雲も多く、夕陽(太陽)が見えない。そして、メンバーの誰もがリアルに見たことも撮影したこともない(ノウハウがない)状態。でも、画像は見たことがあるからできるんじゃないか・・・と頑張ってみた。が、難しい。条件が整っていないからなお難しい。思っている感じにはならなかった。いつか、リベンジしたい。
リフレクションは難しい
リフレクションは難しい
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