有田、おいしいを探検する旅

【 夏は緑だ 】

ここは有田川右岸河川敷、有田市のふるさとの川総合公園。緑の芝生広場が広く、野球場、球技場兼陸上競技場、多目的運動場などあり、ゴールデンウィークの頃は、鯉のぼりが立ち並ぶ。一年を通して、散歩やランニングなどする人が多い。背後の山は、みかん山。この時期は緑だが、実りの頃には無数の黄色が山の色を変える。今回はこの公園からスタートする。旅人は、柳橋さやかさん(写真右)と、この番組初登場のsinger SAYAKA(シンガー・さやか)さん。自分の干支が分からないとか言ってるが、ダブルさやかでがんばるそうだ。

有田川河川敷で

有田川河川敷で

☆番組は、ここから聞くことができます。

【 夏はうなぎだ 】

誰もがお家(うち)で簡単にうなぎの蒲焼きが食べられる。そんな商品で人気のうなぎ専門店、「うなぎ屋かわすい」こと川口水産が、有田市宮崎町(みやざきちょう)にある。ふるさとの川総合公園からも近い。本社と工場、それに、去年(2023年)2月にオープンしたばかりのレストランがある。そのうなぎ屋かわすいが、うな重付き「工場見学」ツアーを始めたと知り、体験&探検に出かけた。

川口水産直営レストラン

川口水産直営レストラン

自販機前で江川薫さんと

自販機前で江川薫さんと

まずはレストランを訪ねた。ホームページで工場見学を紹介している江川薫(えがわ・かおる)さんが迎えてくれた。工場見学参加者が、まずすることは、このレストランに立ち寄り、昼食のうな重(または、うな丼)を選ぶこと。つまり注文だ。ここで注文したメニューを見学のあとにレストランで食べられる。工場見学自体は無料というわけだ。注文が終われば体験が始まる。江川さんが名調子で紹介してくれる。もともとあったが、レストランのオープンに合わせ、リニューアルしたという直売所には、冷蔵・冷凍のうなぎの蒲焼きを中心に、多くの商品が並んでいる。また、レストランの前には冷凍商品の自動販売機があり、店舗が休日の時や夜間など、買いたい時に商品が買えるようになっている。このタイプの冷凍商品の自販機は最近、各地に登場しているが、うなぎ製品はここだけ!かも。この自販機が家の近くにあれば・・・。「ぜひ増やしてほしい」と、お願いする柳橋さん。
直販所に並ぶ商品

直販所に並ぶ商品

冷凍商品を紹介する

冷凍商品を紹介する

いよいよ工場へ。それはそうだが、食品工場だから、衛生第一、安全第一という訳で、見学者(私たちのことだ)は、着衣の上から白衣を、頭には髪を覆うようにキャップを装着する。マスクも必須。女子旅チームは機材も準備する。そして、江川さんの先導で今度こそ工場へ入っていく。
白衣とキャップを装着

白衣とキャップを装着

いざ工場へ

いざ工場へ

水が落ちる音がしている。井戸水らしい。桶が積み上げられ、並んでいる。桶には生きたうなぎが入っている。1つの桶に20匹程度。ここは、立て場(たてば)といい、うなぎを保存し、泥抜きを行う場所だそうだ。泥抜きは、うなぎ特有の泥臭さで、この場所で流水に当てて置くことで、徐々に消えていくらしい。しかしながら、エサを与えないので、この場所が長引けば、うなぎが痩せていくという。だから、この工程を嫌がる業者も多いらしいが、かわすいでは、味にこだわっているため、専門の味見職人が5人いて、実際に調理して試食し、全員がOKを出さないとこの工程を通過できない仕組みという。一般に3日ほどだが、長引けば1週間にもなるとか。
泥抜き中のうなぎ

泥抜き中のうなぎ

説明する江川さん

説明する江川さん

実際に桶を見せてくれる。うなぎとの対面だ。うなぎは太くて元気がいい。かわすいのうなぎは、西日本を中心に養殖業者から仕入れていて、宮崎県と徳島県が主産地という。この日のうなぎは徳島産と書いてあった。「さわれますよ」「つかんでみます?」と職人の男性が見本を見せてくれるが、なかなか難しい。子どもだったら大喜びの場面かもしれないが、大人女子はおっかなびっくり。恐る恐る手を伸ばし、ぬるぬるぬめぬめにょろにょろを体感する。悪戦苦闘の末、ようやくつかむと「上手上手」と褒められた。
職人がうなぎつかみのお手本

職人がうなぎつかみのお手本

柳橋さんのうなぎつかみ

柳橋さんのうなぎつかみ

続いては、「捌き(さばき)」の工程。足元を水が流れているので、滑らないように、ゴム長靴に履き替え、念入りに手を洗って、次の部屋へと進む。
ゴム長靴に履き替える

ゴム長靴に履き替える

念入りに手を洗う

念入りに手を洗う

つかむのが大変なほどに元気なうなぎたちは、氷で冷やされ、仮死状態にされて、職人の傍らで桶に入っている。職人は、1匹ずつ捌き台にのせ、頭に杭を打ち、刃だけの短い専用の包丁で、その腹を一気に捌く。そして、背骨だけをきれいに剥がし、肝などを取って、次の工程へと送るため、机の前に落とす。捌きは関西流の腹開き。背骨と肝類もそれぞれ別の桶に入れられていく。作業机の前に落とすと、そこは自動計量機。重さごとにレーンが分けられ、それぞれに進んでいく。この部屋には職人が8~10人ほどいて、1人1日あたり1,000匹以上捌くらしい。生々しくもあるが、職人の技術、手さばきが鮮やかで、目が離せなくなる。捌かれた身や背骨、肝類も、美しいと感じた。
重さで選別されるうなぎ

重さで選別されるうなぎ

捌かれたうなぎの背骨

捌かれたうなぎの背骨

ただ、職人が捌いているところは、写真で見せるには生々しすぎるので掲載しないが、ぜひ、工場見学で、その技を実際に見てほしい。ちなみに、肝は、肝吸いや焼き肝に調理されたり、専門の業者に販売されるそうだ。骨も、タレに使うほか、そのまま販売もされ、また、業者にも卸しているとか。うなぎは捨てるところがないという。
うなぎの皮を焼く工程

うなぎの皮を焼く工程

白焼きの工程

白焼きの工程

続いては「焼き」の工程だ。白衣の上から、コロコロでほこりなどを取り、エアシャワーを浴びて、クリーンルームに入る。温度と湿度が急上昇し、体感的蒸し暑さがMAXとなった。開かれたうなぎがあちらへこちらへと流れていき、機械をくぐる度に焼かれたり蒸されたり、タレがかけられたりしている。焼きの最初の方で、企業秘密という特別な器具でうなぎに小さな穴をたくさん開ける。これが、しっかり焼き、焼きムラをなくし、小骨を焼き切ることにつながり、おいしくなるという。ちなみに焼きは、関東風で、焼きと蒸しを繰り返す。特製のタレをくぐらせてはまた焼く。ここでは、うなぎに、味はもちろんだが、焼き色や香ばしさ、香りなど、おいしさを次々とまとわせていく。そして、蒲焼き完成。ベルトコンベアで流れていく製品を眺めつつ、ここがいちばんおいしいと紹介される。
タレをくぐる工程

タレをくぐる工程

焼き上がりの工程

焼き上がりの工程

工場見学を始めた当初は、この体験はなかったらしい。見学者から、「いちばんおいしいと紹介されるだけで、食べられないのか」という指摘があり、尤もだということになり、今は試食できる。熱々でふわふわで香ばしい。「最高!」「おいしい」などの声とともに女子たちからも笑顔がこぼれた。
焼きたてを試食どうぞ

焼きたてを試食どうぞ

笑顔で試食の女子2人

笑顔で試食の女子2人

案内の江川さんの詳しい説明が、面白く、初めて聞くことばかりで、勉強になる。すっかり、引率の先生状態で、見学者を次の部屋へ、工程へと誘う。放送では、ここまで。ポイントをピックアップした形だが、紹介できたのはほんのわずか。工場見学は、さらに、包装や配送などの工程へと進み、引き続き、詳しく丁寧な紹介が続く。約1時間半の工場見学。このボリューム感は素敵だ。貴重な体験だった。体験への参加は、ホームページ、または、電話で申し込める。人気のため、早めの予約をお勧めする。
案内の江川さん

案内の江川さん

次の部屋へ

次の部屋へ

女子2人はレストランへ。注文したうな重がやってきた。工場見学での少しの試食が、食欲かき立て効果抜群だ。レストランでは、工場で作られた製品を、最高の状態で温め、焼いているらしい。やわらかで、ふんわり感が増している気がする。人生初うな重とか言ってる女子がいる。大満足だ。
うな重とご対面

うな重とご対面

うな重

うな重

【 夏のドライブ 】

放送では、探検に次ぐ探検の様だがそんなことはない。腹ごなしの意味もあり、有田を知る意味もあり、みかんの今を知る意味もあって少しドライブを。まずは、暑さが凌げて、景色が良いところということで、有田みかん海道の展望所へ。紀伊水道の海景色を眼下に、海風(潮風)が心地よい。眼下左側に海岸線が見える。湯浅が見えている。女子旅は、その場での新鮮な反応などが面白いこともあって、多くの情報を伝えずに収録ロケに臨んでいる。ただ、今回の旅では、初出演のSAYAKAさんのために、いつもより自分が頑張らないといけないかも、という訳で、柳橋さんが予習をしたいと言ってきた。そして、柳橋さんは、情報を元に、「バッシーメモ」を作ってきていた。いいとこあるねー。

有田みかん海道展望所で

有田みかん海道展望所で

バッシーメモ

バッシーメモ

後半の予習も兼ねて、今(収録時=7月上旬=早いよ)のみかんの状態を見てみようと、みかん海道沿いのみかん畑へ。まだ、もちろん小さいが、すでに青い実が実っていることを知る。みかんって、こんな風にたくさん実がつくのか・・・とか言ってる女子がいる。え?
みかん畑の前で

みかん畑の前で

青い小ぶりなみかんの実

青い小ぶりなみかんの実

【 夏もみかんだ 】

創業は明治期という伊藤農園。所在は、有田市宮崎町。そう、ふるさとの川総合公園からも、川口水産からも近い。そんな伊藤農園が、本社近くに、今年(2024年)4月、カフェをオープンさせた。これはで、春と秋にカフェイベントを開催し、人気で、遠来の客も増えてきたことから、常設店を開いたかたち。店名は、製品の直売所と同じ名まえ「みかんの木」だ。訪ねたとき、店の前には七夕飾りが置かれてあった。

直販店みかんの木

直販店みかんの木

七夕飾り

七夕飾り

店の外も中もきれい、かわいい、おしゃれで、映え間違いなしの今どきカフェだ。座席も中にも外にもある。伊藤農園4代目という伊藤彰浩(いとう・あきひろ)社長が案内してくれた。
「Cafe みかんの木」外観

「Cafe みかんの木」外観

「Cafe みかんの木」店内

「Cafe みかんの木」店内

伊藤農園は、みかんの問屋で、2代目までは生のみかんを東京や大阪に出荷する仲卸をしていたが、先代(3代目=現社長のお父さん)が、ジュースづくり・加工品の販売を始め、今回、飲食店初挑戦という。なので、今は、みかんの栽培から加工、販売までを自前で行うみかんの専門店となっている。いちばんの人気商品は、100%ピュアジュースのシリーズで20種ほどあるとか。絞り方にもこだわりがあり、家庭で絞るように、柑橘を半分にカットし、軽く押しつけて絞る。雑味がなく、濃厚なのに、すっきり。
伊藤彰浩社長

伊藤彰浩社長

3種飲み比べコースター

3種飲み比べコースター

カフェでは、3種の100%ピュアジュースの飲み比べができる。6連サーバーが格好良い。飲み比べ用のカップが3つ収まるみかんの間伐材を使った手作りコースターが素敵で、ジュースの種類を小さなネームプレート表示できるのがかわいい。加えてお得な感じで楽しい。
みかん6連サーバー

みかん6連サーバー

飲み比べ中の柳橋さん

飲み比べ中の柳橋さん

フードメニューでのいちばん人気は、BLMバーガー(B:ベーコン、L:レタス、T:トマト、M:みかん)。よくあるBLTバーガーのTをMに置き換えたことで、甘みが加わり、よりおいしくなったという。全てのメニューでみかんを楽しめるというから、今度は、ランチタイムに訪れて、ぜひ、色々と食べてみたい。
柑橘プレミアムパフェ

柑橘プレミアムパフェ

パフェを語る伊藤社長

パフェを語る伊藤社長

カフェメニューも含めた全体の人気メニューは、柑橘プレミアムパフェ。旬の柑橘をこれでもかというくらいに使ったぜいたくな一品。上には黒沢牧場(くろさわぼくじょう/海南市)のミルクアイスがトッピングされ、いいアクセントになっている。
柳橋さんがパフェを

柳橋さんがパフェを

SAYAKAさんがパフェを

SAYAKAさんがパフェを

なお、番組内で紹介したメニューや柑橘類の種類は、変わっている可能性がある。訪ねたときの最高を味わってほしい。伊藤社長は、和歌山を訪れる人は紀南などへ行きがちだが、みかんの歴史が深い有田へも来てほしいし、その拠点になればと思いを語った。
カフェの前で伊藤社長と

カフェの前で伊藤社長と

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