【 大イチョウ 】
12月だというのに暖かい。天気は快晴。日差しがあるからというより、今年は、秋も冬も暖かく・・・。まだ、そんな話ができた頃に、今が盛りのように黄色く色づいた県内の大イチョウめぐりの旅を敢行した。気温が高めで推移したため、木々の色づきが遅いというのは、先月も話したとおり。そして、先月は、タイミングを外したが、今月は抜群のタイミングで旅が出来た。旅人は、伊舞なおみさん(写真左)と柳橋さやかさん。このコンビは、8か月ぶり14回目。息の合った女優コンビだ。そして、伊舞さんは、「ラジオで女子旅」50回目となった。イチョウばかり巡ってもと言うなかれ、それぞれに全然違うし、味わい深いことを改めて知る旅になった。

旅はここからスタート
☆番組は、ここから聞くことができます。
【 光泉寺 】
古座川町三尾川(みとがわ)の光泉寺(こうせんじ)にあるのは、子授けイチョウと呼ばれる大きなイチョウだ。環境省によれば、地上1・3メートルの幹周りが3・0メートル以上の木を巨樹というらしい。ということは、そのデータの比較で、一番大きいのが、最大ということになる。子授けイチョウは、幹回り6・32メートルあり、県内のイチョウで幹回りが6メートルを超えるのはこの木だけ。したがって、このイチョウが、県内最大のイチョウということになる。もちろん、幹回りで比較すれば・・・の話で、他にも、木の高さや枝の広がり、また、樹齢なども比較できそうだ。ちなみに高さは27メートルで、樹齢は約400年という。

境内に到着

落ち葉の絨毯が新しい
女子たちは、参道の石段を上っていく。イチョウに近づくにつれ、大きさがどんどんリアルになってくる。境内に着くと、一面の黄色い絨毯のような、黄色の落ち葉が敷き詰められていることに気がつき、テンションだ上がる。まだ新しく、ふかふか。そして、風が吹くたび、葉が舞い、降り積もっていく。

イチョウに包まれ記念撮影

落ち葉の絨毯に影を映す
同じコンビの旅だった、2023年6月「
雨にけぶる、古座川の旅」(伊舞なおみ&柳橋さやか)で、この場所を訪ねているが、その時は緑の大イチョウだった。似た構図があったので比較してみる。葉が緑だと、背景の山と同化して、存在感を出し切れていないのに対して、黄色の自己主張はスゴイ。伊舞さんは、2017年11月「
太地・古座川・すさみ、大自然を楽しむ旅」(三浦ちあき&伊舞なおみ)でも訪ねている。この時も、葉は緑だった。

参道下から見た大イチョウ

光泉寺

境内と大イチョウ

光泉寺のイチョウ
黄色のイチョウと黄色の絨毯、それに、青空、温かな日差しと申し分ない景色を見ようと、参拝者や見物客は、ひっきりなし。そして、イチョウの前を譲り合って、写真を撮る。そこに、サイクリングスーツを身につけた男性が登場し、自転車とともに撮影を始めた。聞いてみると、白浜から・・・、自転車で? 遠くない? そして、JR西日本和歌山支社が募集したローカルダイバーのひとりでインフルエンサーと知る。

自転車の男性に話を聞く

ローカルダイバーみやさんと
ローカルダイバー
去年(2023年)10月、JR西日本・和歌山支社が募集した紀南(田辺市・上富田町・すさみ町・古座川町、那智勝浦町)の魅力を発信するインフルエンサーで、現在10人が活動しているそう。みやさんもそのひとりで、活動期間は今月で終わるらしいが、今後も和歌山情報を出していきたいと言っていた。インスタグラムへのリンクは、最後に張っておく。
【 宝泉寺 】
地域自慢の大イチョウ、2か所目は、田辺市中辺路町福定(ふくさだ)の宝泉寺(ほうせんじ)にある。ローカルダイバーのみやさんイチオシの「福定の大イチョウ」がこれだ。まずは、大イチョウの中ほどを正面に見る高さから。大イチョウは、そびえる高さだが、地面は下にあるので、女子たちは、見上げたり、見下ろしたり。幹回りは5・3メートル、高さは22メートルあり、無数に枝分かれしているのが特徴で、千本イチョウとも呼ばれているらしい。また、近くを熊野古道が通っていることから、熊野古道の大イチョウとも呼ばれている。樹齢は400年以上ということで、熊野詣での旅人をも見守っていたのだろうか、いや、その頃は大イチョウではなかったのでは・・・など、話が広がる。

イチョウを見上げる

無数に枝分かれしているまずは
駐車場から歩いてくると、先ほどの少し高い位置から眺められ、根元まで降りれば、全景を見上げられる。そして、どちらの高さでも、寺もイチョウも周回できるので、色んな景色が楽しめる。女子たちは、下りたり上がったり周囲を散策したりと、イチョウの大きさを実感しながら、見て回る。伊舞さんは、2019年12月「
上富田から中辺路、秋の熊野古道を楽しむ旅」(伊舞なおみ&大橋未歩)でも、ここを訪ねているが、その時は見頃には早かったから今回は楽しい。

石段を上り。イチョウに近づく

大イチョウの前で
駐車場から眺めれば、紅葉越しの黄葉が見られる。赤色越しの黄色というわけだ。散り始めた葉は、寺の屋根や境内に降り積もっていた。

紅葉越しの黄葉

散った葉が屋根に積もる
境内に、ナンテンの赤い実があると柳橋さんが気づいた。黄色一色のこの場所に、まもなく新年を迎える今の季節らしい色が添えられているようだ。

ナンテンの赤い実
田辺市街地と本宮や新宮方面を結ぶ幹線道路、国道311号からもこの大イチョウは見える。ということで、知ってる人も多いとも思われるが、色づいていないと気がつかないかも知れない。今の季節だと、緑が多い山の中に、このイチョウだけ黄色く色づき、季節のアクセントを放っていて、気がつかない人はいない(たぶん)と思われる。ビュー・スポットとなっている国道カーブには、大イチョウを紹介する年季が入った木製の案内版が立つ。伊舞さんは、車を降りると駆けだして、写真を撮っていた。交通量が多い場所だから、撮影の際には気をつけて。

国道311号沿いの案内板

宝泉寺の大イチョウ遠景
【 道の駅 】
放送には出なかったが、宝泉寺のあと、道の駅「熊野古道 中辺路」に立ち寄った。というのも、国道311号沿いには、赤く色づく紅葉も多く見られたので、これを紹介する場所として、車を停めた。そして、物産販売所のまわりを歩いて行くと、小さな川がつくる小さな谷を見下ろし、対岸に紅葉があるスポットを見つけた。初めて知った場所で、谷筋には歩道らしき者も見えるので、いつか、散策しても良いのでは、という話になった。調べてみると、この小さな川は、日置川の支流の津毛川とわかった。そして、女子2人は、ベンチに腰を下ろし、紅葉を楽しんだ。

道の駅「熊野古道 中辺路」で

道の駅では紅葉見物
【 丹生酒殿神社 】
大イチョウ3か所目、最後は、かつらぎ町三谷(みたに)の世界遺産、丹生酒殿(にうさかどの)神社にある。今回の旅は、なかなかの移動距離となった。女子たちは、まちなみの駅みたにに車を停めた。もうすっかり日が暮れてしまっていた。しかし、この場所、ここの大イチョウは、ライトアップされている。昼間はもちろんだが、夜の姿も人気だ。まちなみの駅は、和歌山県が整備している駐車場とトイレがある無人の休憩施設だ。トイレや駐車場が近くにあまりないところにできているので(たまたまか?)、とても助かっている。この放送時点で、御坊市の小竹八幡神社前、湯浅町の醤油香る古い町並みの近く、日高川町のJR道成寺駅近く、それに、ここの4か所。今後も増えていくことに期待したい。

参道の向こうに光る

近づくにつれ大きさ実感
まちなみの駅みたには、県道和歌山橋本線沿いにあり、また、丹生酒殿神社の参道にも面しているので、車を降りれば、すぐに参道となる。女子たちは参道に出て、鳥居をくぐる。すると、前方に、光る物体が見える。ライトアップされた大イチョウだ。それに向かって参道を歩いて行く。近づくにつれ、その大きさが実感され、迫力が増してくる。参道は緩やかな坂道になっている。三谷坂(みたにざか)だ。ここは、丹生酒殿神社への参道であるとともに、高野山へと通じる高野参詣道でもある。女子たちは、参道を歩ききり、神社の入口にある鳥居に一礼してくぐり、境内に入り、神木の大イチョウを感じながら、その下を通り抜け、拝殿に向かう。伊舞さんは、2018年11月「
かつらぎ、串柿と紅葉、秋色を訪ねる旅」(三浦ちあき&伊舞なおみ)でこの神社は訪ねているが、その時は、葉は緑で、黄色くなった時に来たいと話していた。
どこが世界遺産か
丹生酒殿神社は世界遺産だから、大イチョウも・・・と思われ、世界遺産の大イチョウと紹介されがちだ。間違いとは言い切れないが、どうだろう。実は、今回女子たちが歩いた参道が世界遺産だったりする。
丹生酒殿神社は、高野参詣道・三谷坂として、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産となっている。今年(2024年)は、世界遺産登録20周年で、和歌山県などでは、さまざまな記念行事やイベントが実施されているが、三谷坂などは、2016年に追加登録された資産で、厳密には、世界遺産登録8年といえる。

鳥居の背後に大イチョウ

大イチョウの下を歩く
まずはごあいさつ、参拝する。

参拝する

社殿から大イチョウを望む
女子たちは、圧巻の大イチョウを感じながら、視点を変え、見る角度を変え、近寄ったり、境内の端まで引いてみたり・・・。どこから見ても大きく、美しく、素晴らしい。この大イチョウは、幹回り5・5メートル、高さ25メートルあり、樹齢は300年以上で、ほかの2か所のイチョウに比べ若く、まだ成長しているとも聞いた。

見上げれば圧巻の黄色

近くに住む女性に話を聞く
同じように、イチョウを眺めていた女性に話を聞いた。というか、どちらからともなく、話しかけた形。柳橋さんは、ここを訪ねる直前に立ち寄った京奈和自動車道の道の駅「かつらぎ西」でも出会っていたみたい。顔出しNGというので後ろ姿を少し。今年3度目の訪問だそうで、ここの大イチョウは、黄色い姿も見事だが、まだ葉が青いときも良い、ぜひ来てほしいとオススメされた。これは、来なくてはいけない。女子2人はイチョウの前で記念撮影した。

大イチョウ前で記念撮影

大イチョウ前で記念撮影
今年は、色づきが例年に比べ遅かったこともあるが、まだ葉が青かった11月20日からライトアップが始まった。そして、当初は、12月14日までとされたが、1週間延長され21日まで行われた。境内清掃も、当初予定から1週間延長され、22日午前中となった。ここの大イチョウは、大きな黄色もさることながら、散った葉が境内に降り積もり、敷き詰められた景色も美しいことで知られている。木の根元には「境内を黄に敷きつめて大いちょう」の句碑も立っている。以下の2枚の写真は、旅ロケで訪れた12月6日と、翌週12日撮影の2枚。徐々に散り始めているのがわかる。

大イチョウの根元に句碑

散った葉は境内に積もる
まだ葉が青い大イチョウも掲載しておく。11月14日の撮影。黄色は、12月12日。

丹生酒殿神社の大イチョウ

まだ、葉が青い頃
さらに別の絶景もある。丹生酒殿神社は、本殿の裏側に回ることが出来る。そこから、本殿越しの大イチョウを望める。シルエットが日本らしいかたちになっている。遠景は、500メートルほど東の少し高台から。夜間なので、ライトアップした大イチョウだけだが、日中なら、付近のまちの様子が見え、紀の川やその向こう、さらに、和泉山脈などが一望できる。旅のまとめは、ここで。

社殿の背後からの景色

光る大イチョウ遠景
色づきが遅れた今年の紅葉や黄葉だったが、さすがに越年はしないかな。というわけで、放送はすでに終わった景色の話をしているが、毎年、おそらく繰り返される。ベストタイミングで訪れるのは難しい、けれど、いつか、実際に訪れてみてほしい。
一方、先月の旅から始めた和歌山県・道の駅スタンプラリーは今月も続いている。放送には出ていないが、今回の旅では、くちくまの、熊野古道中辺路、ふるさとセンター大塔、かつらぎ西(上り下りとも)の各道の駅で、スタンプを押した。ちなみに、ディレクターは、ロケハンでも押しまくっていて、15個を達成。プレゼントに応募していた。おいおい。
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