【雨にけぶる】
今年は、平年より1週間以上早く梅雨入りし、雨の日が多い6月。女子2人が旅した日も弱い雨が、降ったり、やんだり。今回の旅女子は、伊舞なおみさん(写真左)と柳橋さやかさん。このコンビ10回目の旅は古座川町。青々とした山の緑が、雨にけぶって、しっとりとした和の風景となる中での旅となった。
雨にけぶる新緑を背景に
☆番組は、ここから聞くことができます。
【三尾川】
県南部の内陸部に一する古座川町へのアプローチは、国道42号で、すさみ町から串本町へ入ってすぐ、和深交差点を左折し、県道串本古座線へと入っていく。ほどなく、大規模工事現場を通過する。紀勢自動車道の延伸、すさみ串本道路の建設現場だ。トンネルなどはこれからだが、高架道路の橋脚部分がすでにできていた。右に左にカーブする県道を15分ほど走れば、八幡神社に到着する。小節川(こぶしがわ)と三尾川(みとがわ)が合流する場所で、せせらぎの水音だけが響く、静かな場所だ。旅はここから始まる。
八幡神社の鳥居前で
八幡神社の苔むした参道
女子2には、石造りの鳥居をくぐり、苔むした参道を歩いて行く。八幡神社は各地に数多くあるので、放送では「三尾川八幡神社」と言った。三尾川の八幡神社のこと。社殿の赤色が美しい。拝殿の前に舞台がある。調べてみると、10月の例祭では、獅子舞や渡御、餅まきなど盛大に行われているようだ。女子たちは、参拝し、旅の安全などをお願いした。
八幡神社に参拝
八幡神社の社殿
続いては、同じ三尾川地区にある光泉寺(こうせんじ)へ。県内で最も大きいといわれるイチョウの木がある。樹齢400年、高さ30メートル、幹回りは7メートル。何本もの気根(呼吸根)を持つ珍しい木で、それが乳房のようだとして、子授けイチョウと呼ばれる。葉が黄色に染まる晩秋には、多くの見物客が訪れる。
光泉寺
光泉寺のイチョウ
2017年11月の「
太地・古座川・すさみ、大自然を楽しむ旅(三浦ちあき&伊舞なおみ)」でも訪れているが、この時も葉はまだ青い。年により多少のずれはあるものの、11月下旬から12月初旬が紅葉の見頃だという。タイミングが合えば、その頃にも訪れてみたい。初めて訪れたという、柳橋さんは、気根を触り、見上げ、驚いていた。
光泉寺のイチョウの気根
気根を触ってみる
【滝の拝】
今度は、穴だらけの川底、滝の拝(たきのはい)。光泉寺から車で30分ほど。収録日は6月1日で、鮎釣りの解禁日だった。途中の川では、解禁初日の鮎釣りを楽しむ人の姿が多くあった。り、滝の拝にも釣り人がいて、釣り上げる光景も見られた。この日の滝の拝(滝口)は水量が多めで迫力があると女子2人が口をそろえた。なお、「滝の拝」の表記は、「滝ノ拝」「滝之拝」といくつかある。
滝の拝へやってきた
滝の拝
滝の拝の滝口から言えば、上流側に右岸にある民宿やまびこで、ランチを。3日前にできたばかりという、川に面したテラス席で「うなぎ」をいただく。
民宿のテラス席で
民宿のテラス席
古座川のうなぎも有名だが、民宿やまびこのうなぎは天然ではないらしい。お客さんに「天然はおいしい」と言われるたびに「違いますよ」と訂正していると女将の浦(うら)めぐみさんが笑う。
うなぎの幟
うなぎ、キター!!
うなぎランチが女子たちのところへ運ばれてくる前から、香ばしくて、おいしそうな香りが漂っていて、食欲をそそられる。そして、キター!! おいしいに決まっている。女将によれば、民宿は45年になるが、うなぎは3年前からという。民宿利用者は、鮎釣り客が大半のため、漁期が終われば、お客さんは減る。その時期のランチにと始めたらしいが、今は夏も食べられる。利用の時には要予約とのこと。
うなぎ、いただきま~す
女将の浦めぐみさんと
滝の拝の近くに道の駅「滝之拝太郎(たきのはい・たろう)」がある。道の駅の名称としてはユニークと言える。滝の拝の穴だらけの岩は、ポットホールと呼ばれ、川の流れで、石が回転することで削られてできたとされるが、地元では、侍の太郎が、刀でひとつひとつ掘って作ったという伝説・民話がある。その話が、道の駅にはパネルで紹介されている。そこに物語があれば演じるこの2人。
道の駅・滝之拝太郎
滝之拝太郎伝説のパネル
道の駅の駐車場は広く、ヘリポートもあるほど。その場所で、山の木々を背景に映え写真を撮り始めた。柳橋さんがジャンプし、伊舞さんが撮った。
バッシージャンプ撮影中
バッシージャンプ
【やまんば】
滝の拝から車で10分ほどのところに、名物ママがいる喫茶店があると聞いてやってきた。店名は「ダーチャやまんば」という。古民家カフェだ。扉を開けると、広間があり、大きな木のテーブルがあった。「おかえり」と、滝尻京子(たきじり・きょうこ)ママが迎えてくれる。スリッパに履き替えるようだ。グランドピアノがある。メニューの「やまんばティー」が気になり、伊舞さんが注文してみた。
喫茶・ダーチャやまんば
気になるメニューがある
自称・やまんばの京子ママは、元オペラ歌手と知る。長らく和歌山市の和歌山市民オペラで主役として歌っていたという。小柄だが、性格が大らかそうで、話が面白い。つい、長居をしてしまいそうになる。覚えてもらいやすい名まえをということで付けられた店名という。「紀州の歌」の「山姥の夢」も聞いてみたい。
やまんば(山姥)
本来「やまんば」とは、山奥に棲む老女の妖怪で、山で迷った旅人に宿を貸し、はじめはやさしい婦人の姿で食事を出すなどしますが、旅人が夜、眠りにつくと、鬼のような本性を現し、取って食らうといわれている。
ダーチャ(Dācha)
「ダーチャ」はロシア語。本来は「農園付き別荘」の意味で、都会人が週末や長期休暇を利用、疲れを癒やしに来る場所らしい。
山姥の夢(紀州の歌)
旧中津村(現・日高川町)の山姥を歌ったもの。この山姥は、人を食らうことはなく、人恋しくて里へ来て、餅をねだったり、夢を見たりする(歌詞から)。作詞の梅田恵以子、作曲の森川隆之の連名で「紀州の歌」という楽譜集が、教育芸術社から1990年に刊行されている。県立図書館で見つけた。1曲目に「山姥の夢」が掲載されている。
80歳記念コンサートが夢という。ぜひ、実現してほしい。
ピアノを囲んで
ママの滝尻京子さんと
【ハッチョウトンボ】
ちょうど、ハッチョウトンボが羽化の季節を迎えていたので、古座川町直見(ぬくみ)地区にある大谷湿田(おおたに・しつでん)へやってきた。「ダーチャやまんば」から車で数分と近い。
ハッチョウトンボ
世界一小さいトンボの一種。体長2センチ。オスは体(胴体)が赤く、メスは黒と黄色のまだら模様。5月から7月頃に羽化する。絶滅が危惧される種で、30年あまり前に、この場所で確認されたのを機に、町が休耕田を買い取って保護に力を入れている。説明書きボードと、観察用の木道(もくどう)が整備されている。
ハッチョウトンボパネル
トンボ探しに夢中
女子2人は、弱い雨が降る中、草が茂る休耕田を見回し、目をこらし、ハッチョウトンボを探し始める。普段よく見るトンボに比べて小さいトンボが何種類もいた(見つけられた)が、お目当ての姿はなかなか見つからない。そして、ついに、オス一体を見つけた。柳橋さんのお手柄だ。その小ささに感動する。残念ながら、この日は、メスの個体は見つけられなかった。
「いた!!」とバッシー
ハッチョウトンボ(オス)
旅のまとめのトークの中で、伊舞さんが「リスを見た」と話しているが、これは、移動中の車の中から、窓の外を見ているときに、「木から下りてきて、地上を少し走ったのを見た」というもので、写真などは、残念ながらない。古座川町の自然を紹介するエピソードとして、放送した。
次回の放送は、8月5日です。高校野球和歌山大会の実況放送があるため、7月最終週ではなく、翌週となります。お間違えなく。
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