上富田から中辺路、涼を訪ねる旅

【郵便橋】

国道42号を和歌山市などから南下していくと、上富田町から白浜町へとクランク状に富田川(とんだがわ)を渡る箇所がある。この橋が郵便橋(ゆうびんばし)だ。全国に橋は無数にあるが、「郵便橋」という名まえの橋はここだけらしい。国道42号では、上富田町側が郵便橋交差点、白浜町側は郵便橋東詰交差点。地図で見ると郵便橋あたりの町境は富田川の中央となっている。今回は、この郵便橋の西詰、郵便橋交差点から旅が始まる。旅女子は、三浦ちあきさんと伊舞なおみさんで、16回目の旅となる。涼を訪ねながら、富田川を上流の方に進んでいく。

郵便橋のいわれ

郵便橋のいわれ

郵便橋のいわれ像

郵便橋のいわれ像

☆番組は、ここから聞くことができます。

郵便橋交差点近く、右岸の上流側の歩道脇にユニークな郵便ポストがある。ポスト自体は赤い小型の直方体でよく見るものだが、その上に船に乗った飛脚のような像が乗っかっている。船で郵袋を運んでいるというわけだ。その像の台座に「『郵便橋』のいわれ」の文字があり、側面にいわれが記されている。「明治のころ郵便を小舟で対岸に渡した所に架けられた橋で『郵便橋』と命名されました」とのこと。目立つ場所ではないので知る人ぞ知る感じ。
郵便橋交差点

郵便橋交差点

郵便橋を渡る

郵便橋を渡る

郵便橋は、国道42号の橋で、上下2車線で両端それぞれに右折帯がある。全長200メートルくらい。上流側に幅2メートルほどの歩道が設けられている。ここを歩いて渡る。あらためて交通量が多いことに気づく。
富田川を眺める

富田川を眺める

富田川

富田川

車で渡っていると気づきにくいが、歩いて渡ると、川の水がとてもきれいなことに気がつく。立ち止まって川を眺めているだけで癒やされる。
郵便マークの親柱(右岸)

郵便マークの親柱(右岸)

ポストのオブジェ(右岸)

ポストのオブジェ(右岸)

この橋は、両端の親柱が郵便関連のオブジェになっている。下流側は郵便マークで、右岸には黒色で「平成9年12月竣工」、左岸には赤色で「郵便橋」と書かれている。上流側は石造りの大中小3つの郵便ポストで、右岸には「ゆうびんばし」、左岸には「富田川」の文字がある。ちなみに、右岸と左岸というのは、川の上流側を背にしたときの左右だから。
郵便マークの親柱(左岸)

郵便マークの親柱(左岸)

ポストのオブジェ(左岸)

ポストのオブジェ(左岸)

さらに、左岸の下流側堤防(白浜町)に、郵便マークのある大きな岩があることに気がつく。近づいてみると「郵便橋物語」の石碑だった。郵便の歴史と郵便橋ができるまでが詳しく記されている。あらましは、番組内で伊舞さんが紹介したが、ぜひ、現地で実際にみてほしい。そして、私たちと同じように郵便橋を歩いて渡ったり、オブジェやポストを楽しんでみて。
郵便物語の石碑

郵便物語の石碑

郵便物語の石碑

郵便物語の石碑

【潜水橋】

潜水橋(せんすいきょう)はご存じだろうか。一般に欄干がなく、それほど大きくもない。河川が増水した際に、橋が水中に没する(潜水する)ようになっている。欄干がないのは、流れてきたものが橋に引っかかりにくくし、橋の流出を防止している。この橋は、水位が下がれば、再び橋としての役割を果たせる。そんな橋が上富田町には2つあり、最近、映えスポットとして注目を集めている。

山王橋

山王橋

山王橋

山王橋

上富田町生馬(いくま)の山王橋(さんのうばし)を訪ねた。幅1.5メートル、長さは140メートルほど。欄干がないためか、橋の両サイドに赤い線が引かれている。歩行者と二輪車専用の橋。渡ってみると、ちょっとドキドキ。欄干がないことが、こんなに不安になるのかという初体験。水面が近い気がするが、橋ができた頃はもっと近かったらしい。高度成長期に、川底の砂利の採取などが行われ、水面が遠くなったらしい。
一方、山王橋は、歌手の坂本冬美さんの地元で、中学への通学時によく渡ったという。40枚目のシングル「おかえりがおまもり」では、橋に佇む制服女子を含め、CDジャケットに使用されている。伊舞さんをモデルに三浦さんが、ジャケット風の写真を撮ってみた。人物遠いな(笑)
CDジャケット風

CDジャケット風

山王橋を渡る

山王橋を渡る

もうひとつの潜水橋、畑山橋(はたやまばし)にも行ってみた。上富田町岩田(いわた)にある。橋幅は同じ。南紀熊野ジオパークの案内版があり、山王橋を含めた潜水橋の説明があった。
畑山橋

畑山橋

畑山橋を渡る

畑山橋を渡る

【田中神社の森】

富田川に沿って国道311号が内陸に向かって伸びている。これを進んでいく。畑山橋の近くの田園地帯の中に、田中神社の森がある。南方熊楠ゆかりが命名したとされる「オカフジ」に覆われた小さな神社で、ここも南紀熊野ジオパークのジオスポットだ。

田中神社の森の案内を読む

田中神社の森の案内を読む

田中神社に向かう

田中神社に向かう

県の天然記念物第1号指定とある。「異世界への入口のようだ」と伊舞さん。神秘的で冷んやりする。
田中神社の森

田中神社の森

田中神社の森

田中神社の森

神社に参拝する。オカフジが咲くゴールデンウィークのことにも訪ねてみたい。
田中神社に参拝

田中神社に参拝

田中神社の森

田中神社の森

隣接地に大賀蓮(おおがはす)の池があり、訪れた時は咲き始めの頃だった。まつりの幟が立っている。写真と俳句を募集している。女子2人にも応募用紙を渡し、投句を呼びかけてみた。7月末までだが、どうなったか。
大賀ハスまつり

大賀ハスまつり

大賀蓮咲く

大賀蓮咲く

田中神社からも近い「川よし」で昼食。今年は土用の丑の日が2回あることだし(関係ないよね)、うなぎをいただく。元気が出た!と女子たち。それはよかった。
川よし

川よし

川よしのうな重

川よしのうな重

【清姫の里】

田辺市中辺路町の真砂(まなご)地区にある清姫の里にやってきた。富田川に西谷川が注ぐあたりに清姫橋や清姫の墓などと書かれた場所がある。安珍清姫で知られる清姫ゆかりの地だ。

清姫橋

清姫橋

清姫の墓所碑

清姫の墓所碑

「清姫之里の伝説」の碑もある。清姫は、この近くで生まれ、また身を投げた。伝説によると、旅の僧、安珍を道成寺に追いかけ、鐘もろとも焼き殺したのは、清姫自身ではなく、その怨念のようだ。
清姫之里の伝説の碑

清姫之里の伝説の碑

清姫堂に参拝

清姫堂に参拝

一段高いところに清姫堂があり、ハガキサイズの平らな鐘が置かれている。鳴らして参拝する。その隣には清姫の墓所がある。女子2人はこちらでも手を合わせた。振り返ると、富田川が美しい。
清姫の墓所

清姫の墓所

清姫の里から富田川を

清姫の里から富田川を

【高原】

田辺市中辺路町を滝尻(たきじり)地区までやってきた。熊野古道の滝尻王子があり、世界遺産の石碑がある。参拝者や観光客も多く、近くには熊野古道館もある。そういえば、2019年12月の「上富田から中辺路、秋の熊野古道を楽しむ旅(伊舞なおみ&大橋未歩)」で、伊舞さんはここで平安衣装体験をした。今回の旅のパートナー三浦さんも2017年5月の「海の幸と山の神秘にふれ蘇る、南紀の旅(三浦ちあき&いわさきふきこ)」で那智勝浦町の大門坂(だいもんざか)で平安衣装を着ている。気になる方は、チェックを。そして、熊野古道はここから山深くに分け入る。女子旅チームもここで富田川や国道311号と別れ、高原(たかはら)地区をめざす。

世界遺産の石碑

世界遺産の石碑

滝尻王子と参拝客

滝尻王子と参拝客

滝尻王子から近露(ちかつゆ)王子まで、または、その途中の高原熊野神社までは、熊野古道歩きの人気コースだ。だが、かなり険しい道のりが含まれている。滝尻・高原間は、3.7キロだが、案内によると2時間半くらいかかるとか。ディレクターは一度歩いたことがあるそうだが、「厳しい道のりだった」ということしか覚えていないほど。女子2人は、「いつか歩きたい」と話したから、機会があればプランニングしたい。
神社は、朱塗りの社殿が美しい。室町時代の様式を伝えているという。中辺路地域では最も古い神社だとか。参拝する。
高原熊野神社の碑

高原熊野神社の碑

高原熊野神社

高原熊野神社

女子たちは、高原熊野神社から霧の里高原の展望台まで歩きつつ、「熊野古道を歩くっていいね」など話す。だが、その距離は100メートルちょっと。おいおい。
熊野古道を歩く

熊野古道を歩く

霧の里高原駐車場・展望台

霧の里高原駐車場・展望台

眺めはとびきり素晴らしい。近くには棚田が広がり、水車も見え、遠くには山々の連なり、そして、空。今は、緑が多く、癒やされる。このあたりは、朝方に霧が発生することが多く「霧の里高原」とも呼ばれている。霧の風景もぜひ見てみたい。
霧の里高原からの眺望

霧の里高原からの眺望

霧の里高原からの眺望

霧の里高原からの眺望

展望台には広い駐車場があり、無料休憩所もある。暑い時期、寒い時期、また、雨の日などはありがたい場所だ。飲料の自動販売機やトイレもある。女子たちもしばし休憩。
霧の里高原休憩所

霧の里高原休憩所

霧の里高原休憩所内

霧の里高原休憩所内

高原地区には、お店や宿がいろいろオープンしているようで、休憩所に案内がたくさん出ていた。そのひとつ、スイーツの店を訪ねてみた。「山の上の小さな洋菓子店 meguru」という。2018年の秋にオープンし、熊野古道を歩く人たちに向けたスイーツの販売などをしていたようだ。今は、コロナなどあり、予約して、テイクアウト専門となっているという。イベントへの出店もしているそうで、そういった情報はInstagramで発信しているらしい。お店への連絡もインスタからできる。
meguru久高ゆいさん

meguru久高ゆいさん

meguru店内

meguru店内

ショップ・マネージャーの久高(くだか)ゆいさんに話を聞いた。スイーツはゆいさんが手づくりし、ケーキはご主人が焼いているのだとか。住まいも高原地区だといい、自然豊かで景色もよく、地域の人たちとも仲良く楽しいという。そして、女子たちは、特別に、お店の庭でスイーツをいただいた。おいしい~。ロールケーキふわっふわっ。景色や雰囲気も素敵だ。
meguruのスイーツ

meguruのスイーツ

meguru久高ゆいさんと

meguru久高ゆいさんと

さらに、上っていくと、「珈琲 欅(けやき)」の看板があった。だが、訪れた日は営業はしていなかった。でも、オーナーの女性が、こちらを見つけて声を掛けてくれた。柏崎(かしわざき)さくらさんだ。店先にシンボルツリーの欅がある。なんと、カフェは月に2回だけオープンする幻の店だと聞いた。オープン日は、第1週と第3週の水曜日(8月は夏休みで営業日なし)。今度は営業日に来たい。移住して7年というさくらさん。いいところだと笑顔で話した。「ちょっと不便」も「慣れちゃえば大丈夫」という。
珈琲 欅前

珈琲 欅前

欅のシンボル欅

欅のシンボル欅

ペットのポニーがいる。三浦さんがいたく気に入った様子。一方、同じ場所・名まえ(欅)で、ご主人がゲストハウスを営業しているという。「泊まりたい!」と三浦さん。
欅のポニーと

欅のポニーと

欅の柏崎さくらさん家族と

欅の柏崎さくらさん家族と

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