由良・日高・美浜、海の絶景と名物丼をめぐる旅

【復活!白崎海洋公園】

日本のエーゲ海とも呼ばれる美しい白い岬、由良町の白崎海岸。そこにある白崎海洋公園は、道の駅でもあり、白崎の景観を楽しみ、ダイビング体験や食事、お土産の販売所などがあった。これが、去年(2018年)の台風によって、すべての施設が壊滅的な被害を受け、全面閉鎖を余儀なくされ、指定管理者も撤退したというニュースに驚くとともに、一日も早い復活を願っていた。今年の4月、閉鎖が解かれ、道の駅の機能が復活。そして、今月からは解放エリアが広がり、物産販売所も稼働と聞いて、旅のスタート地に選んだ。今回、三浦ちあきさんと旅をするのは柳橋さやかさん(写真右)。天気にも恵まれ、秋だというのに暑いくらい。日焼けしそうだとか言いながら、旅が始まった。

白崎海岸からスタート


☆番組は、ここから聞くことができます。

ほぼ復活したとはいえ、まだ車両は道の駅の駐車場まで。白崎海洋公園内は徒歩での散策となる。ともあれ、行けるのならばと展望台を目指すことにした女子2人。ますは通行止めのロープを越える。もちろんわざとだ。車両通行止めのロープであって、徒歩での散策者は脇から入れる。歩いていると美しい海岸が見えてきた。潮騒と潮の香りに誘われて浜に降りる女子たち。ジャンプをしてみたり、はしゃいでいる。海の向こうにスヌーピー島(十九島)が見える。「目の下に隈のような黒っぽい色の箇所がある」と柳橋さん、「お疲れもモードかも」と三浦さん。指定管理者が撤退したので、三浦さんが去年、伊舞なおみさんと訪れた時(⇒2018年5月「広川・由良、新緑と初夏の香りと白い岬をめぐる旅」)にいたヤギのラオウくんはいないし、レストランもない。残念だ。

車両通行止めのロープ越え

ジャンプしてみる

そこに水があるとさわりたくなる三浦さん。感想は「ちょうどいい」。冷たすぎず、温くもないとのこと。そして、柳橋さんは、漂流木を手に取った。似合うね。

水をさわる三浦さん

漂流木が似合う柳橋さん

白い岩の中を歩いて、らせん階段を上り、展望台へ。ここの絶景は他に類を見ない。いいスタートだ。皆さんも復活した白崎海洋公園をぜひ訪れてほしいところ。

白崎海洋公園展望台

絶景をめぐることで知られる女子旅だが、それはもちろんとして、今回の旅のはもう一つテーマがある。「食欲の秋」だ。実は、県道24号御坊由良線で海岸部がつながる日高郡内の由良・日高・美浜の3町が観光で連携するPROJRCT24を立ち上げたと聞いた。その第一弾は、3町それぞれの名物丼推し。どんぶリーマンなるキャラクター(男性)が黙々と食べる動画をYouTubeに次々にアップしていくという。そう、今回は番組初の食リポになる!?

【紀州あかもく丼】

由良町の戸津井(とつい)地区特産の海藻アカモクをご存じだろうか。食物繊維フコイダンを含む注目の食材であるとともに、化学利用もあるという。今話題のリチウムイオン電池に活用されているというからびっくりだ。食用にするとねばねばがあり、食感的にはプチプチ感もある。

平佐館の紀州あかもく丼

紀州あかもく丼と女子2人

この紀州あかもくをたっぷりと使った名物丼は、宿泊もでき、釣り船の仕立てもする由良町吹井(ふけい)の平佐館(ひらさかん)が提供している。女将の東宏美(あずま・ひろみ)さんが迎えてくれた。ご飯に、アカモクとシラス、それに、アボカドが乗り、かつお節がかかった丼だ。訪れたときは季節限定で、アボカドに代わってオクラのバージョンもあり、両方を注文した。生卵を乗せ、混ぜて食べる。さっそく卵を乗せる女子2人。三浦さんはうまく中央に乗らなかったが、味は変わらない。そして、あっという間に完食する2人。えーっと、食リポはどうなったかな。

紀州あかもく(冷凍商品)


放送で、アカモクは“生”と女子が言っていたが、一見そう思えるが、実は湯通ししたものを、ミキサーで細かく砕いて食べやすく、粘り気も出している。紀州日高漁業協同組合が「紀州あかもく」として商品化しているので、スーパーなどで見かけた方もあるかと。平佐館でも冷凍食品として販売してる。ひとつで丼2つ分くらいと女将が話していた。

平佐館の東さんに聞く

平佐館前で記念撮影

女将特製というアカモクのウィッグを見つけ、早速、柳橋さんがつけてみる。大坂なおみ選手に似ているとか言いながら店の前で記念撮影。なんでも似合うバッシーである。と、そこへ、別の取材ロケ隊(テレビ番組)とともに和歌山のおばちゃんこと、落語家の桂枝曽丸さんご一行が昼食にとやってきた。まさに、おいしい出会いだった。

桂枝曽丸さんに出会う


【白亜の灯台】

日高町の名物丼が今月下旬に決まり、動画がアップされると聞いていたので、今回の旅にちょうど良いと思ったわけだが、間に合わなかった。そこで、絶景のみ押さえておく。日高町の絶景といえば、2代目紀伊日ノ御埼灯台。三浦さんは、2年前に峪仁美さんと訪れている(⇒2017年6月「有田・日高、山をめぐり海をめざすドライブ旅」)が、柳橋さんは初めて。絶景に浸っていた。どんぶりが発表されたらあらためて来ようと思った。

紀伊日ノ御埼灯台

灯台前広場の女子2人

実は2017年6月の旅の際、灯台と風車(風力発電設備)が同じ視界に見える絶景を体験したが、この風車も白崎海洋公園が被災したのと同じ台風で支柱が折れ、倒壊した。今は撤去されているが、再建されるかどうかは未定のもよう。


【すてぶす丼】

美浜町はカナダ移民の町。美浜町三尾地区の一部はアメリカ村と呼ばれている。明治時代半ば、出身の工野儀兵衛(くの・ぎへい)氏が、カナダ・スティーブストンに渡り、サケ漁で成功を収めた。その後、集団移民も始まったという。そして、ふるさとは移民の稼ぎで潤い、アメリカ村と呼ばれるようになったとか。名物丼は、サーモンメインのすてぶす丼。お店は去年夏に、公民館の2階をリノベーションしてオープンしたばかりのアメリカ村食堂すてぶすとん。大方の方は想像がついていると思うが、店や丼の名まえにあるすてぶすとんはスティーブンストンが訛ったものだ。

すてぶすとんのすてぶす丼

すてぶす丼と女子2人

おしゃれなカフェというのがしっくりくるアメリカ村すてぶすとん。働いている女性たちが移住者というのも面白い。移民の町の移住者の店というわけ。丼はサーモンとシラス、それに南高梅と海苔が乗っている。取材ロケ的には、それほど時間は経過していないが、こちらもあっという間の完食。だから、食リポは・・・。

すてぶすとんの大浦さんに聞く

すてぶすとんの皆さんと

お店のことや丼のこと、移民の歴史などを教えてくれたのは大浦美代子(おおうら・みよこ)さん。すてぶす丼を注文するとどんぶり以外に地元食材を使ったおばんざい3品をセットにした定食が提供される。季節の味、美浜の味、そして、移民の味が楽しめる。最後に、お店の皆さんと記念撮影を。

アメリカ村食堂すてぶすとん

アメリカ村食堂すてぶすとん一帯は、カナダミュージアムやゲストハウス、カフェなどがあり、巡ってみるのも楽しい。そのあたりは、次の機会に。

【煙樹ヶ浜】

美浜町の絶景は煙樹ヶ浜。日高川の河口付近に4キロにわたって弓なりに続く美しい砂利の浜で、波打ち際に行けば、すっかり丸くなった砂利が転がるカラカラという音が心地よい。浜に沿って背後には幅500メートルの松林があるのも素敵だ。この日は日差しがまぶしく、屋根のある休憩所を求めて、キャンプ場にやってきた。このあと、女子2人はベンチに座り、旅を振り返った。

煙樹ヶ浜

煙樹ヶ浜キャンプ場


【PROJEC24】

女子2人の旅は終わったが、日高町の丼や、3町の観光連携のこれからなどを知りたくて、日高町役場へ、プロジェクトリーダーで産業建設課の戸上正幸(とかみ・まさゆき)係長(写真中央)を訪ねた。役場には、ともにプロジェクトを進める和歌山県日高振興局、地域振興部の川口博之(かわぐち・ひろゆき)部長(写真右)と鈴木淳(すずき・あつし)さん(実は、どんぶリーマン)の2人も来ていたので一緒に話を聞くことができた。戸上さんらが掲げているのは、PROJECT24の由来にもなった県道24号の道路案内標識をモチーフにしたシンボルマークで、3人は3町連携を意識して指を3本立てている。日高町のこれからのシーズンといえばクエ。ということで、日高町の名物丼はクエ丼ではないかと聞いてみたが違うようだ(教えてくれなかった)。→その後、11月7日に日高町の名物丼が公開された。みちしおの湯のレストラン「みちしお亭」の「太刀魚蒲焼風丼」。近々、食べに行かなくてはいけない。

PROJEC24の皆さん

煙樹ヶ浜沿いの県道24号

由良・日高・美浜の3町観光連携プロジェクトの第1弾が名物丼紹介だった理由は、若手スタッフがSNS、それもYouTube動画の配信を提案したことがきっかけだったという。動画なら食、食べるのが関心が高い、食べるなら名物丼をという経緯だったそうだ。まもなく公開の日高町の名物丼が楽しみだが、名物丼はもう1巡くらいするかもなどの話を聞いた。今後の展開としては、景勝地での写真撮影会や、周遊マップの作成、それにスタンプラリーなどができればと話していた。それぞれに楽しみだ。女子旅チームも新たな切り口で、また訪れなくてはいけない。

☆和歌山県道24号御坊由良線(主要地方道)

御坊市小松原(こまつばら)の国道42号小松原西交差点を起点に、西に伸び、美浜町に入って、煙樹ヶ浜沿いやアメリカ村食堂すてぶすとん前を通り、海岸部で日高町に入る。産湯(うぶゆ)海水浴場やみちしおの湯の前を通り、由良港の海岸線で由良町に入る。平佐館、由良海つり公園前を通り、白崎海岸を経て、さらに海岸部を通って、興国寺(こうこくじ)方面に向かう途中の由良町衣奈(えな)の衣奈トンネル手前の交差点が終点で、和歌山県道23号御坊湯浅線に接続。延長37km。概ね2車線だが、一部1車線のところがある。

☆どんぶリーマン(YouTube動画)

(1)すてぶすとん編(美浜町/アメリカ村食堂すてぶす丼)

(2)平佐館編(由良町/紀州あかもく丼と紀州あかもく素麺)


関連リンク

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