【西広海岸ふたたび】
ことし2月の旅でゴールとなった広川町の西広海岸が今回のスタート地点。高低差のない広い砂浜が広がり、透明な澄んだ海の美しさは季節を問わない。とはいえ、雪がちらつく曇天の寒い季節と、日差しが降り注ぐ明るい初夏の陽気の中だとやはり見違える。今回の旅で三浦ちあきさんのパートナーとなるのは伊舞なおみさん(写真右)。最近買ったというコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)を首から下げて、すっかりカメラ女子になっている。早速、春から初夏へ、新緑がまぶしい中、海沿いの旅を始めよう。
☆番組は、ここから聞くことができます。
三浦さんは冬旅以来3か月ぶりだが、伊舞さんは初めて訪れたという西広海岸。干潮のころだっただけに、より高低差のない浜の広がりが感じられ、驚いていた。
冬、砂紋がハッキリ残っていた砂浜は変わらずだが、この季節は、その上を無数の小さな砂団子が覆っている。足下を気にせず歩いていると気づかないが、目線を落とすと、歩みを進めるのにあわせ、多くの小さなカニが動いているのが分かる。そしてしゃがんでみると、無数の砂団子に気がつく。穴もある。カニの巣穴で、人が歩みを進めると、穴に逃げ帰る。でも、しばらく静かにしているとゆっくり辺りをうかがいながら出てくる。砂とかにの色は同じ。大きいカニは数センチ、小さいカニは数ミリあるかないか。それでも皆、横に歩く。当たり前か。
砂団子はこの小さなカニたちが干潮時にせっせと作っている。砂団子はとてもやわらかいので潮が満ちると(海水をかぶると)なくなる。そう、だから、この団子は毎回作られている。何のために?当然の疑問だ。カニが作っているというのは正しいが正確ではない。
カニは、スナガニやコメツキガニの仲間。海水がなくなり、砂が露出すると(干潮時に)、カニが砂の上に現れ、湿った砂を口に入れ、栄養分や水分を摂取し(食事ということだ)、不要になった砂を吐き出す。この砂がカニの口から出る時に球体状になるらしい。そして、ある程度の大きさになると(同じタイミングで)、口から砂玉を切り離し、辺りに放置するらしい。なので、同じような大きさの団子が無数に出来るということらしい。三浦さんがいうように時間をもてあましたカニたちがこぞって団子を作っているわけではない。
波打ち際にやってきた女子2人は、寄せては返す波に耳を傾け、潮の香りを感じつつ、海水に手をつけてみる。冷たいけれど凍えはしない。気持ちよい水温だ。
【西広海岸から白崎海岸へ】
西広海岸を知らなくても白崎海岸を知る人は多い。誰が言い始めたか日本のエーゲ海とも呼ばれる白い岬のある風景は、実際に訪れたことがなくとも、写真や映像で見たことはあるはず。白崎海岸は由良町で、広川町のお隣。そして、両者は県道で結ばれていて、海岸に沿って(海辺ということではない)およそ15kmほどの距離だ。季候がよければ、歩くことも可能な距離だが、途中にトンネルがいくつもあるので、ここはドライブをすすめたい。
ドライブを始めるとまもなく町境を越え、由良町に入った。標高が上がるにつれ、車窓からの海岸風景がとても美しく、思わず車を停めて、景色を味わいたくなる。そんな訳で車を降りた女子2人は、香りに驚く。潮の香りではなく、この季節だけの和歌山の香りともいうべき、みかんの花の香りだ。良い景色に良い香り、おまけに良い天気だ。
有田日高地域の尾根伝いには年々風力発電風車が増えていく。このコースからも風車を垣間見られる。そして、かわいい島に気がつく。このあたりの海岸は岩礁や小島が多い。中でも由良町小引(こびき)に浮かぶ十九島(つるしま)は知る人ぞ知る人気の島で、南側からみると、寝そべったスヌーピーに見えるのだ。女子2人も大はしゃぎで、インスタ映えも意識して、写真を撮る撮る。
※おわび:番組内で、このスヌーピー島=十九島を「つくしま」と紹介していますが誤りです。正しくは「つるしま」です。すみません。
白崎海岸に向かう道路はいくつかある。西広海岸から海沿いを…というのは少数派かも知れない。でも、そこを通る価値はある、スヌーピーに出会えるというわけ。今回通ったのは、県道23号御坊湯浅線、県道24号御坊由良線とたどることになる。
【白崎海洋公園】
到着した白崎海岸、白崎海洋公園の駐車場に車を入れ、降りると、白いヤギがいた。海洋公園で飼育している除草要員(?)だそうだ。去年8月に生まれた、オスで、名まえは「ラオウ」。強そうだ。除草作業をしている風はなかったが、草を一心に食べていたことは事実。白い岬に白いヤギだねなどといいつつ記念撮影し、別れた。
まずは、展望台へ。白い岩壁に作られたらせん階段を、スロープを登っていく女子2人。そのレアで美しい、ここだけの景色に、さらにカメラ女子化が進む。
少し強めだが、わたってくる風が心地よく、何より、青い海と白い岩のコントラストに言葉をなくす。いや、なくしてもらってはラジオ番組が成立しない。がんばって。
「こっちが四国。見えているね。四国では和歌山放送はよく聞こえるんだよ。四国の皆さん聞いてる~」って、手を振っても見えないから。そして、あのスヌーピー島も見えている。ひとしきり景色を楽しんだあとは、フォトジェニックになる。そして、その名の通り、ネコのような声でウミネコが鳴き、目の前を気持ちよさそうに飛んでいく。春、この辺りに多くのウミネコが飛来し、夏にかけ、繁殖場所となるのだ。
今回のランチは、白崎海洋公園のクラブハウスに、ことし4月にオープンしたばかりの地産地消を推進する「漁農レストランゆらら」。メニューはひとつ。1500円でシラス丼とお刺身、プラス、おかずやドリンクはフリー(食べ放題・飲み放題)。不要になった小学校の机やいすを再利用した室内に加え、ウッドデッキ風の屋外で食事が出来る。女子2人は、大満足で満腹まで食べていた(ちょっとちょっと)。
クラブハウスの売店で、紙コップを買うディレクターを怪訝なようすで見つめながら、しゃぼん玉遊具を買う。そして、公園内で早速遊んでみる。風が強いので、なかなか思ったように飛ばない。でも何度かするうち、少しコツが分かってきた。
白崎海洋公園は道の駅にもなっている。こちらは県道近くに駐車場やトイレ、それに、物産販売所がある。女子2人は、お土産探しを始めた。近くに洞窟もあった。この洞窟は海岸沿いの県道とつながっているが、通行はできない。近くまで歩いて行くことは出来る。