【 巨大なクエ 】
国道42号から日高町役場前を通る県道[県道189号・比井紀伊内原(ひい・きいうちはら)停車場線]に入り、まっすぐ西に、車で5分ほど走ると、このモニュメントに突き当たる。旅女子は、伊舞なおみさん(写真右)と黒川綾香さん。このコンビは、1年2か月ぶり4回め。和歌山放送旅部メンバーだと言い張る2人だ。モニュメントのクエは、頭を上にして吊されている。全長3.5メートル。写真で見ると大きさが際立つ。日高町はクエの町、冬の味覚として有名だ。今回の旅はここからスタートする。
クエモニュメントが大きい
☆番組は、ここから聞くことができます。
【 煙樹ヶ浜を一望 】
クエモニュメントの近くに登り口があり、2年前の旅、2020年8月の「美浜・由良、五感で涼を感じる旅(三浦ちあき&伊舞なおみ)」では、視界が真っ白(靄がかかっていた)で、叶わなかった煙樹ヶ浜展望のリベンジにと、西山ピクニック緑地へやってきた。スッキリと晴れ渡っているとは言えないが、煙樹ヶ浜方面も、反対側の産湯海水浴場側もよく見えている。特に、煙樹ヶ浜は、浜のカーブと、それに沿うように茂る松林が見事だ。ここは西山(標高328メートル)の山頂近くの広場で、展望地図や休憩所・トイレなどもある。日高町と美浜町の境界が通っている。伊舞さんは境界好きで知られているようだ。遊歩道もあるから散策も楽しはずだ。
地図を見ながら景色を
煙樹ヶ浜を背景に
近年、西山や緑地付近を有名にしているもうひとつは、旅する蝶「アサギマダラ」だ。これまでは知る人ぞ知る程度の存在だったが、SNSの影響か、シーズンになると訪れる人が多くなり、アサギマダラが好む花畑を作ったり、案内看板を出すなどしている。取材・収録の日も、見られるかもという期待もあったが遭遇しなかった。黒川さんが「アサギマダラが何を気に入ってこの場所に立ち寄るのか」と話したが、ここだけをピンポイントで目指して来るわけではないので、飛行コースに西山があると考えるのが自然と思われる。県内だと、田辺市龍神村や上富田町、串本町などで確認されている。
アサギマダラの案内
アサギマダラの谷への案内
【 クエ 】
冒頭でモニュメントを見たことが大きいかもしれない。日高町で冬の旅なら「クエ」は食べたい。そんなわけで、ランチでクエを提供している岬旅館に併設の割烹 岬へ。伊舞さんは、焼きクエ定食を、黒川さんはクエ丼を注文する。どちらもクエのボリュームがしっかりとあって、リーズナブル。もちろん、おいしい。
焼きクエ定食
クエ丼
岬では、この日も、20数キロのクエをさばいたと話していた。この冬、また、訪ねてしまいそうだ。
割烹岬前で満腹の女子2人
そして、クエ関連ももう一つ。日高町には奇祭として知られるクエ祭がある。舞台は、海岸近くの白鬚(しらひげ)神社で、例大祭は、和歌山県の無形民俗文化財になっている。その神社を訪れた。小さな神社だが、まっすぐに参道の石段が続いている。女子たちは食後の運動を兼ねて上っていく。拝殿まで上って振り返ると、この地域を一望できた。参拝する。
白鬚神社
参道の石段を上る
クエ祭について調べてみると、使われるのは、大きなクエ。といっても、解体して、中身を取り去った状態で、塩浸けにして干し、丸太にくくりつけて神輿に仕立てたもの。これを当番衆という男たちが担いで、神社前まで奉納行列する。ここでハイライトの「クエ押し」が始まる。クエ御輿を早く神前に運んで祭礼を終了しようとする当番衆と、それを阻止しようとする奇抜なメイクや衣装の若衆がぶつかり合い、神輿を取り合うという。ただし、10年前に地域の少子高齢化から、祭りを継続するために簡素化され、クエ押しは行われなくなったらしい。そして、クエ祭に登場するクエ神輿が、クエモニュメントのモデルと知る。
白鬚神社拝殿
白鬚神社拝殿からの眺め
【 アメリカ村とカナダ移民 】
海岸部を通って、日高町から美浜町へ。カラフルな建物が増え、「アメリカ村」という文字があちらこちらに見えるようになった。そして、アメリカ村バス手へとやってきた。熊野御坊南海バスの停留所だ。その近くで、「カナダ移住百年の碑」を見つけた。この碑が建立されたのは1977年で、すでに45年が経ち、まもなく移民(移住)150年だと知る。アメリカとカナダが混在しているようになっているが、移民先はカナダ。行き来していた人たちや、引き揚げた人たちがもたらした文化や暮らしが、この地域を独特のものにし、周辺の人からはアメリカ風と見られ、誰が言ったかとかではなく、大正時代には、すでにアメリカ村と呼ばれていたらしい。
アメリカ村のバス停
カナダ移住百年の碑
カナダあらの引き揚げ者が、この場所で暮らすために建てた家が、別の引き揚げ者に渡り、その人が町に寄贈したという経緯がある建物をカナダミュージアムとして公開している。木造2階建て瓦葺きで、外観は明るい水色。
カナダミュージアム
館の名はカナダミュージアムだが、内容は、カナダ移民ミュージアムが正しい。調度品が展示品となっていて、さらに展示スペースが設けられてあるから、展示物は多く、また、資料も多い。かなりのボリュームだ。三尾たかえ館長に案内をしてもらった。
三尾たかえ館長
館長に教えてもらいながら
カナダミュージアムの展示
カナダミュージアムの展示
カフェ営業もしている。女子2人もすっかりくつろいでいる。
ある日のカフェメニュー
ミュージアムのカフェで
ミュージアムからも見える庭、カナダガーデンには緑も多いが展示物もいろいろある。
カナダガーデン
本場のトーテムポール
去年(2021年)、本場のカナダから贈られたというトーテムポール、カナダ移民の父といわれる工野儀兵衛(くの・ぎへえ)の胸像、それに、旧日ノ御碕(ひのみさき)灯台のレンズがある。これは貴重だ。
工野儀兵衛胸像
旧日ノ御碕灯台のレンズ
【 龍の形のアコウ 】
珍しい神社があると聞き、海岸沿いから、山道へ、参道を上っていく。鬱蒼と茂る海岸の断崖の森の中。時折見られるアコウの木が、この地域の植生のユニークさを物語る。そして、息を切らしながら、女子たちは、神社へ到着。
参道の山道を登っていく
龍王神社へ
境内にもアコウの巨木があり、大きく2つに分かれた太い幹が、龍のように見える。特に拝殿に向かって左側は見事な龍の頭だ。自然のアート力おそるべし。伊舞さんは「もう龍にしか見えない」と話した。この景色は、実際に来て、見てほしい。女子2人は参拝する。そして、振り返ると海が見えた。
龍王神社参拝
龍王神社のアコウと
【 煙樹ヶ浜 】
美浜町に来れば必ず立ち寄る煙樹ヶ浜や煙樹海岸。今回もやってはきたが、海岸に降りずに、堤防沿い(海岸道路沿いともいえる)にある3階建てくらいの高さの展望台に、初めて上ってみた。
煙樹ヶ浜の展望台
煙樹ヶ浜を見ながら
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