新宮から串本、鯨と捕鯨とスタンプの旅

【 冒険心 】

前回(2022年8月)の放送(「橋本から紀の川、パワスポ発掘の旅」)で、県北部をめぐり、番組ならではのパワースポットを発掘、皆さんに提案できたと意気揚々の伊舞なおみさん(写真左)と柳橋さやかさん。2か月連続で、パワースポットを発掘し、紹介しようと、今回は県南部にやってきた。ここは、かつて、太地(たいじ)とともに捕鯨で栄えた新宮市の三輪崎(みわさき)漁港。今は静かな港だ。

三輪崎漁港交流施設前で

三輪崎漁港交流施設前で

☆番組は、ここから聞くことができます。

「三輪崎漁港交流施設」は、近くにある三輪崎海水浴場の利用者や旅行者らの交流施設。駐車場やトイレはもちろん、更衣室やシャワー室もある。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ここ2年は開設を見送った海水浴場だが、今年(2022年)は7月10日から8月14日の1か月あまりオープンした。
三輪崎漁港交流施設

三輪崎漁港交流施設

三輪崎漁港交流施設の足湯

三輪崎漁港交流施設の足湯

漁港の岸辺にやってきた。潮の香りと波の音に癒やされ気分の女子2人。海側を見ると、島があり、その中央に鳥居が立っていることに気づく。早くもパワースポットの予感がする。そして、漁港脇で、「三輪崎は、万葉集では神ヶ崎(みわがさき)と詠まれている」と記された観光案内を見つけ、「神!」と、テンションが上がった。期待が持てそうだ。
三輪崎漁港から孔島を

三輪崎漁港から孔島を

三輪崎は神ヶ崎だった

三輪崎は神ヶ崎だった

そうはいっても島なので、どうやって渡るかと考えるところだが、漁港から堤防道路で結ばれている。まずは、鈴島(すずしま)、そして、孔島(くしま)へと渡る。自動車の通行はできないが、歩いて渡れる。自転車でも行ける。今回は歩く。両島ともに南紀熊野ジオパークのジオスポットであり、日本遺産「鯨とともに生きる」にも登場する。今回は、紀南地域で、鯨や捕鯨関連のスポットを多めに色々と訪ねる予定だ。
三輪崎漁港から鈴島を

三輪崎漁港から鈴島を

三輪崎漁港から鈴島へ

三輪崎漁港から鈴島へ

鈴島は、巨岩や奇岩が多い、波洗う島。島の中、岩礁の上を歩くことができる。多様な植物群落もあるとか。この日は、はるか沖合に台風があったためか風があり、波もやや高く、天気が不安定だった。女子2人は注意を払いながら、探検気分で島を散策する。
鈴島の岩

鈴島の岩

鈴島の岩景色

鈴島の岩景色

島の中央にある蛭子(えびす)神社にも参拝した。
鈴島の蛭子神社

鈴島の蛭子神社

鈴島の蛭子神社

鈴島の蛭子神社

鈴島から、さらに、堤防に沿って、歩いて行くと孔島に到着する。三輪崎漁港から1キロ弱で、途中、鈴島に立ち寄ったり、話をしながらだったので、あっという間に着いた感じ。女子たちは、漁港から見えた鳥居をめざす。
孔島への堤防道路から海を

孔島への堤防道路から海を

孔島への道案内

孔島への道案内

浜に立つ(漁港から見えていた)鳥居には孔島神社とあり、その後ろ、島の森の入口に立つ鳥居には厳島神社と書かれている。さらに、本殿へと続く参道には、沢山の鳥居が並んでいる。
孔島神社の鳥居前で

孔島神社の鳥居前で

厳島神社の鳥居群

厳島神社の鳥居群

鳥居に誘われるように島の森に入り、参道を進んでいくと、鳥居と同じ赤い色の骨組みが見え、その奥に本殿があった。少しひんやりする。「空気が変わった」と柳橋さん。歴史と鯨のパワーをもらう。発掘したというより、初手から圧倒されつつある。
孔島の厳島神社

孔島の厳島神社

孔島の厳島神社

孔島の厳島神社

【 願いは 】

今回の旅は、基本的に海岸に沿って、西へ、串本方面に向かう。2か所めは、那智勝浦町だ。JR那智駅や道の駅なち、那智の浜(ブルービーチ那智)も近く、国道42号と那智の滝や熊野那智大社へ向かう道との分岐とあって、この地は交通の要衝。ここに、熊野古道の浜の宮王子跡がある。熊野速玉大社から熊野那智大社へ向かう途中となる。王子神社の熊野三所大神社(くまのさんしょおおみわやしろ)があり、大きなクスノキが迎えてくれる。浜の宮の大楠(おおくす)は、幹回り7.4メートル、高さ25メートル、樹齢は800年という。根元近くで2つに分かれ、まるで、夫婦楠(めおとくす)のように見える。御利益(ごりやく)がありそうだ。

浜の宮王子神社の鳥居と大楠

浜の宮王子神社の鳥居と大楠

浜の宮の大楠

浜の宮の大楠

まずは参拝する。そして、拝殿の脇に置かれている多くのおみくじが結ばれている木がハート型をしていることに気づいた。矢まで刺さっていて、愛のキューピッドを彷彿とさせる。これは良いもの、ありがたいものを見つけたと、柳橋さんは、伊舞さんにも後押しされ、おみくじを引いた。「大吉!」を引き当てて大喜びだ。恋愛成就に向け、盛り上がってきた。もう番組そっちのけ状態。
熊野三所大神社(浜の宮王子)

熊野三所大神社(浜の宮王子)

参拝する

参拝する

果たして、このハート型のものは何か。御利益はあるのか。那智勝浦町役場を通じて、神社に確認した。かつて、神社にあった杉の木。少し危険な状態だったので伐採した際、切り株がハート型だったので、遊び心で矢とともに置いてみたという話。つまり、この神社に古くから伝わるものではなく、そういった意味では御利益などはないそうだ。とは言っても、すでに20年ほど置かれているらしいことや、多くの人の思いも募っていることから、何かしらの力はあるに違いない(番組の独自の見解)。そう思っておこう。ね、柳橋さん。そして、皆さんもぜひ訪ねてみて。
大吉を引き当てた柳橋さん

大吉を引き当てた柳橋さん

ハート型の杉の切り株

ハート型の杉の切り株

放送では紹介しなかったが、浜の宮王子神社の隣には、世界遺産の補陀洛山寺(ふだらくさんじ)がある。神仏習合(しんぶつしゅうごう)の名残だ。参拝する。
補陀洛山寺

補陀洛山寺

参拝する

参拝する

この寺は、渡海上人(とかいしょうにん)ゆかりで、境内には再現された渡海船も展示されていた。社寺の近くの道路脇には、メニューが多い道標が立つ。
再現された渡海船

再現された渡海船

道標

道標

【 鯨とともに 】

那智勝浦町に囲まれた小さな町、鯨とともに生き、これからも生きていくという太地町へ。漁港近くの岩壁に開いた小さな洞穴「石門(せきもん)」を訪ねた。風化作用でできたとされる洞穴で、そこだけ風が吹き抜けていた。ここは、太地の古式捕鯨の祖、和田家の通用門だったことから、「和田の岩屋」や「和田の岩門」などと呼ばれてきたという。和田氏は石門の内側に、4~5千坪もある屋敷を構えていたらしい。タイムスリップしたみたいと女子たち。

石門のベンチに座って

石門のベンチに座って

石門の中で

石門の中で

実は、今回の女子旅では、「日本遺産『鯨とともに生きる』周遊スタンプラリー」(2022年7月30日~2023年1月29日)に勝手に参加している。もちろん、スタンプラリーのスポットを巡っているだけじゃない。このスタンプラリーは、スマートフォンなどで、専用サイトにアクセスすれば、誰でも参加できる。⇒ 専用サイトは「こちら」。チェックインスポットは、新宮市から串本町にかけて24か所あり、獲得スタンプ数に応じて、プレゼントへの応募チャンスが広がる。発見もあるし、旅のきっかけにもなる。情報を見るだけというのもあり。皆さんもどうぞ。
太地町の石門でスタンプチェック

太地町の石門でスタンプチェック

スタンプラリーのチラシ ©熊野灘捕鯨文化継承協議会事務局

スタンプラリーのチラシ ©熊野灘捕鯨文化継承協議会事務局

続いては、2021年5月31日に竣工した新しい太地駅を訪ねた。JR紀勢線の駅で、鉄筋コンクリート2階建て。外観はレトロ感のあるおしゃれな洋館風。そして、この立派さにして無人駅というから驚く。ただし、観光案内所と南紀くろしお商工会・太地支所が入居しているので、日中は無人ではない。2階は、普段は集会所などとして利用されているが、災害時などには避難場所にもなるというから頼もしい。放送では「去年6月に新しくなった」と言っているが、まあ、だいたいそんな感じということでお許しを。
JR太地駅(外観)

JR太地駅(外観)

くじらが乗った郵便ポスト

くじらが乗った郵便ポスト

駅舎の前には「くじらが乗った青い小さな郵便ポスト」がある。太地郵便局に聞いたところ「青いくじらポスト」は、町内3か所めで、ポストに乗っているのは「セミクジラ」だという。駅の竣工にあわせて設置されたもの。そして、青いくじらポストは、町内に、今後も増えていくらしい。ちょうど2年前の旅(2020年9月「太地、くじらの町をめぐる旅」伊舞なおみ&柳橋さやか)で、女子2人で2か所のポストを訪ねたことを思い出す。せっかくなので、そのときの写真を載せておく。町立くじらの博物館前のポストは2019年8月の設置で、コビレゴンドウというくじらが乗っている。道の駅たいじのポストは2020年8月の設置で、バンドウイルカが乗っている。
くじらの博物館前のポスト

くじらの博物館前のポスト

道の駅たいじのポスト

道の駅たいじのポスト

駅舎に入ると、伊舞さんが「カッコイイ」と言った駅名の銘板がある広い空間があり、振り返ると夕日の中でジャンプするイルカのステンドグラスが美しい。
駅名の銘板

駅名の銘板

太地駅のステンドグラス

太地駅のステンドグラス

線路は高架なので、ホームへは階段を昇る。壁面に描かれた「太地の海の生きものたち」が、海の中を歩いているかのように思わせてくれる。ホームの壁にも、くじらやイルカなどが描かれ、ベンチが線路側ではなく、そっちを向いているのが面白い。これらの絵は、紀の国トレイナートの駅舎アートとして、和歌山市出身のデザイナー、溝端秀章(みぞばた・ひであき)さんが、地元の子どもたちと描いたものだという。素敵だ。
ホームへの階段

ホームへの階段

太地駅のホームで

太地駅のホームで

【 日本一 】

太地町を出て西に向かうと再び那智勝浦町に入る。ここは、那智勝浦町粉白(このしろ)。JR紀勢線が近くを通る、玉の浦海水浴場のそばにある「日本一」スポットだ。伊舞さんが「ずっと行きたいと思っていた」と話す「ぶつぶつ川」を訪れた。ぶつぶつ川は、湧水を水源地に、粉白川に注ぐ(粉白川の支流)、全長13.5メートルという日本一短い二級河川として知られている。前回の放送で訪ねた近畿一大きなクスノキ「十五社(じごせ)の楠」の幹回りが13.5メートル(ぴったり同じ)だったことを思い出す。ちなみに、日本一長い二級河川も和歌山県にある。こちらは、日高川で、全長は127キロだ。

河川

河川法では、河川の種類を水系ごとに一級河川、二級河川に指定し、一級河川は国土交通大臣(国)、二級河川は都道府県知事(都道府県)が管理にあたる。ぶつぶつ川は、2008年10月21日に和歌山県が二級河川に指定した、粉白水系の河川。

道案内

道案内

ぶつぶつ川について

ぶつぶつ川について

とにかく水がきれいだ。透き通っている。川幅は1メートルほど。水深も浅い。川が短いため、看板の数が多く感じる。湧水地の近くに、水飲み場とある。女子たちは、まず、手を浸けた。「冷たい!」そして、飲んでみた。海に近いが塩味はなく、湧き水のためか、水道水とは少し違う、おいしい水だ。
川の水を触ってみる

川の水を触ってみる

ぶつぶつ川で記念撮影

ぶつぶつ川で記念撮影

13.5メートルという長さは、川にしては相当短い。河辺に立って、目の前に川の全てが見えているというのは面白い。あえて、中央付近に立ち、上流側と下流側を写真に収めてみた。
ぶつぶつ川(上流側)

ぶつぶつ川(上流側)

ぶつぶつ川(下流側)

ぶつぶつ川(下流側)

【 神の島 】

続いては、古座川町へ。河口からおよそ3キロ遡り、河内島(こうちじま)のところまでやってきた。この島は、ジオスポットで、日本遺産でもあり、国の重要無形民俗文化財「河内祭(こうちまつり)」の舞台となる島。祭りでは船渡御が行われ、華やかな船がそれぞれに3周するという。祭りは、古座川も舞台となり、夜まで行われるとか。島は、草が生い茂っているが、河原から見ると、水面近くは岩だとわかる。この日は、祭りでも何でもない日だったが、島の神聖感は感じられた。そして、古座川の水のきれいさも相当だ。岸辺から、すぐ深いのが見て取れるが、その中を泳ぐ魚がよく見える。大きな魚の群れに興奮する女子たち。毎年7月に行われるという河内祭もぜひ見てみたい。

古座川に浮かぶ河内島

古座川に浮かぶ河内島

古座川・河内島前で

古座川・河内島前で

【 これぞ、パワスポ 】

「旅の締めくくりはこの場所が良い!」女子たちが口をそろえた串本町の橋杭岩へ。この時は、波が荒い橋杭岩を見ることになった。景色も音も迫力満点だ。橋杭岩は、紹介するまでもなく、有名で、人気のスポットだが、いつ来ても、パワーをもらえる、楽しい場所と女子たち。時々で、色んな表情を見せてくれる。この日は、夕暮れで、風が強く、波が高く、力強かった。写真は、ロケハン時とロケ時。干満の状態も天気も時刻も違う。全く違う。そして、「パワスポ発掘旅、3回めもあるぞ!」と女子2人。どうだろうか。

穏やかな干潮時の橋杭岩

穏やかな干潮時の橋杭岩

橋杭岩をバックに

橋杭岩をバックに

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