【くじらの町】
くじらの町といえば太地町。古式捕鯨発祥の地。昔から、そして現在も、くじらとともに生き、くじらのことなら何でもわかる、そんな町をめざしているという。今回の旅は、そんな太地町の新しいスポットやレアなスポットをめぐる。旅女子は、伊舞なおみさんと柳橋さやかさん(写真右)。青い帽子のなーさんと赤いベレー帽のバッシーだ。伊舞さんは17回目、柳橋さんは9回目の女子旅で、番組的にはどちらも常連だが、このコンビで旅をするのは初めてとなる。伊舞さんは、2017年11月の「太地・古座川・すさみ、大自然を楽しむ旅」で、柳橋さんは、2018年10月の「太地とクジラとその回り、映画のロケ地を巡る旅」で、ともに三浦ちあきさんと太地町を訪れている。今回はまた別の場所を訪ねる。ただ、スタートはおなじみ、トイレが美しい道の駅たいじから。そして、くじら好きというバッシーだが、この道の駅を訪れたのは初めてというから驚きだ。
道の駅たいじからスタート
☆番組は、ここから聞くことができます。
道の駅たいじに今年(2020年)8月、かわいらしい青いポストが設置された。新しく、ではあるが、厳密には、移設されたのだという。てっぺんに手紙を持ったイルカがちょこんと乗っかっていて、かわいさ倍増。色が珍しいが、れっきとした郵便ポスト。番組ロケ中にも、手紙を差し出しに来た人がいた。そのあたりに詳しい新宮支局の引本孝之さんに教えてもらった。乗っかっているのはバンドウイルカだという。
引本孝之さんに聞く
イルカのポストと記念撮影
青いポストは、町立くじらの博物館前に第1号がある。こちらはてっぺんに手紙をくわえたくじらが乗っかっている。コビレゴンドウ。若い人たちが手紙を出さなくなっていることから、郵便局の要請に応えて設置されたという。町では、町内に増やしていく方針だとか。その一環で道の駅に設置された。女子2人は、くじらの博物館前に青いポストを見に行って写真を撮ってきた。
くじらのポスト
くじらのポストと記念撮影
【くじらの海】
道の駅たいじは国道42号と太地町中心部へと通じる県道240号との森浦(もりうら)交差点そばにある。その向かいに広がるのが森浦湾だ。ここに今年(2020年)7月、新しい施設がオープンした。なんと海上遊歩道という。岸から森浦湾の中央へ、約160メートルの浮き桟橋風の歩道が伸びている。午前9時から午後5時まで(受付は午後4時半まで)。悪天候などの場合は閉鎖されることがある。対象年齢は3歳以上で、小学生は保護者同伴。入場無料。ただし、今は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、受付で検温と連絡先の記帳が求められ、大人数での訪問の場合、入場制限もあるとか。ライフジャケット(無料で貸してくれる)の着用も必要。
海上遊歩道へ
海上遊歩道を歩く
女子2人は、ゆらゆら揺れる海上遊歩道へと足を踏み入れた。ハンドマイクを持っているだけだが、コードによって、音声担当にけん引されているようにも見えて面白い。それはともかく、まさに海上、海の上を歩いているかのようだ。視界は360度、海がめっちゃきれいだ。そして、前方に生け簀のようなものが見える。鳴き声のようなものが聞こえている。なんたるラッキー。イルカのトレーニングが行われている場面に遭遇した。あっ、ジャンプした!しばし、トレーニング(というよりはイルカの動き)を見学する女子2人。
生け簀がある!
トレーニングを見学
生け簀にイルカが4頭いて、トレーニングに出くわさなくても、いつでも見学できる。なんたるサービス!それに、生け簀の外、森浦湾を自由に泳ぐ小型のくじらもいる。町立くじらの博物館の飼育員、荻原成美(おぎはら・なるみ)さんに話を聞くことができた。朝、湾に放って、夕方には生け簀に戻すという。よく訓練されている。もちろん、完全に解き放たれている訳ではなく、湾には仕切りが設けられている。それでも自由度は生け簀とは段違いだろう。くじらにとっても見学者にとっても素敵だ。
ジャンプした!
飼育員の荻原成美さんに聞く
「ハコフグがいる!」とバッシーが叫ぶ。本当に海の水が透き通っていてきれいだ。魚が泳いでいるのも見える。たかが海上遊歩道ではない。これはスゴイ施設だ。今後、遊歩道は向こう岸まで延長する計画があるとか。これは、引本さんからの情報。
ハコフグだ!
海上遊歩道で記念撮影
「最高!」を連発する女子たち。ここに来れば、その気持ちはよくわかる。なお、森浦湾では、有料・予約制でシーカヤックも楽しめるという。くじらとともに海を楽しめるという訳だ。これもいい。実は、かつて(2014年7月)、前身の「
ラジオで和歌山~発見!お宝!太地町」と当時放送していた「ニュースde和歌山 ちょくダネ。」の合同企画で、西林味紀さんと中川智美アナウンサーが、引本孝之さんの指導で体験したことがある(ことを思い出したディレクター)。そして、「また、やりましょう」と引本さんと番組ディレクターの間で話をしたことを付け加えておく。
海上遊歩道からの景色
海上遊歩道から岸を望む
イルカとくじら、美しい海が名残惜しいがここだけで終わるわけにはいかない。また、絶対来る、近々来る、必ず来ると女子2人(笑)。海上遊歩道の欄干(?)にくじらのマーク(絵?)を見つけた。2メートルの距離表示のような…なんだろ?くじらディスタンスか(意味不明)。この宿題、解決していない。
くじらディスタンス?
海上遊歩道全景
【くじらの町の名物】
太地町には名物のお菓子がある。知る人ぞ知る「てつめん餅」だ。漁港近くの住宅街にある亀八屋(かめはちや)が製造・販売している。お店を訪ね、買い求めた。やわらかな餅でこしあんを包むようにはさんであるシンプルな和菓子だ。江戸時代末期に、熊野詣での途中で、この地を訪れた旅の僧が、親切にしてもらったお礼にと製法を伝授していったという話が伝わっている。その僧に名を聞くと「てつめん」と名乗ったのだとか。4代目という店主が、母から伝え聞いたそうで、書き物などは残っていないらしい。人気の商品のため、電話(0735-59-2258)で取り置きを頼むのがよいようだ。お店は、水曜・金曜・日曜が定休となっている。
亀八屋前で
亀八屋の店内で
天気も気候もよかったので、漁港で食すことに。つきたて以上にやわらかいお餅と、やさしい甘さのこしあんがベストマッチ。女子2人は「これはいい」を連発する。
てつめん餅やわらかい
てつめん餅を食す
【くじらの口】
漁港の近くの恵比寿(えびす)神社へ。ここは鳥居が変わっている。鯨骨(くじらぼね)鳥居といい、イワシクジラのあごの骨でできている。初代は1985年で、井原西鶴(いはら・さいかく)の「日本永代蔵(にっぽんえいたいぐら)」の記述にちなんで建立したとか。今の鳥居は3代目で、商業捕鯨の再開を前に去年(2019年)4月に、太地漁協が再建した。長さ3・5メートルの外側にカーブした2本の白い骨が生えている感じ。実際には、骨そのままではなく、骨のまわりをFRP(繊維強化プラスチック)で覆い、さらに特殊な塗料で強化しているという。
鯨骨鳥居の説明を読む
鯨骨鳥居をくぐる
あごの骨をくぐるということは、くじらの体内に入るということか。そんなことを言いながら女子2人は鯨骨鳥居をくぐる。短く、急な参道の石段を登っていくと、一般的な鳥居もあり、まもなく小さな境内に着く。ご神体の岩が、えびす様にもくじらにも見える。そして、女子2人は参拝する。
ご神体の岩
恵比寿神社に参拝
【くじらを見張る】
太地町は捕鯨の町。今もそうだが、古式捕鯨の頃は、岬の先で沖を泳ぐ鯨を見張り、狼煙(のろし)を上げ、情報の共有を図っていた。訪ねたのは、そのひとつの梶取崎(かんどりざき・かんとりざき・かじとりざき)。高台にある。芝生広場の先に白い灯台があり、その先に山見(やまみ/鯨を見張る場所)があり、狼煙場跡がある。まずは公園の入口にあるくじら供養碑から。舟を模した台の上に躍動感のあるくじらの像がある。毎年4月に、くじらに感謝する供養祭が開かれる場所だ。女子2人も手を合わせた。
くじら供養碑
白い灯台がある
芝生広場を灯台方面に歩いていくと、大きな木があり、その根元に説明書きがある。「夫婦(めおと)いぶき」と書かれている。女子2人は中腰になって、覗き込むように説明を読む。風に耐え、大切にされてきた経緯がうかがえる。
中腰で説明を読む女子
夫婦いぶき
岬が近づくにつれ、波の音と風を感じられるようになってきた。あたりを見れば、木々が一方向に枝を伸ばし、茂っていることがわかる。風と戦っているのは夫婦いぶきだけではないのだ。そして、灯台が近づいてきた。てっぺんにある風見鶏ならぬ、風見鯨がかわいいぞ。ここまで芝生を歩いてきた女子2人だが、灯台の下へと石畳が伸びていることに気づいた。行ってみる。
風と戦っている樹木
灯台の風見鯨
灯台のそばまで来ると視界が開けた。岩礁と大海原が見える。この日はくじらは見えなかった。
岬からの景色
岬からの景色
灯台のさらに先、岬の先端へと伸びる道を行くと、狼煙場跡に出た。岬付近には木が茂っていて、見通しがあまり良くない。バッシーが「見えない」と言うと、「遠くの海を見るんだよ」となーさん。いいコンビだ。
岬の先端まで来た女子2人
狼煙場跡
梶取崎灯台の下に海に向かってベンチがある。吉野熊野国立公園の絶景を望めるスポットだ。今回は扱っていないが、太地町はベンチが多いことでも知られている。女子2人から、あそこに座るから写真を撮ってというリクエストを受けたスタッフ。狼煙場跡から灯台を….人影が小さいな。
梶取崎灯台と女子2人
吉野熊野国立公園・梶取崎
【くじらを食す】
実は、今回の旅(取材ロケ)は、昼頃に太地町に着いたことから、食事からとなった。「いさなの宿 白鯨(はくげい)」(旅館)のランチ営業を利用した。ランチタイムは、午前11時から午後2時まで。団体客などが入るとランチ対応ができないこともあるらしく、要確認(電話 0735-59-2323)。これも名物といえる「くじらの竜田揚げ」をメインにした「くじらスタミナ丼」を注文。やわらかく、しっかりとした味の鯨肉がおいしい。バッシーは、くじらを食べたのは初めてだと話し、驚くなーさん。和歌山県民にはなじみがあっても、神奈川県出身、和歌山6年目のバッシーには、これまで機会がなかったのかもしれない。
いさなの宿 白鯨
くじらスタミナ丼
太地町には、いろんな場所にくじらがある。白鯨の食堂の壁にもくじらが描かれていた。そして、食堂から見える景色がきれいだったので、外に出てみた。テラスのような庭で、ここでも食事できる。
食堂の壁にくじらの絵
いさなの宿 白鯨の庭で
【おまけ】
「町立くじらの博物館前の芝生広場に、夕方になると野生のシカが集まってくる」というバッシーの情報に、半信半疑で立ち寄ると、いたー!めっちゃいる!(笑)写真を大きく表示させてみて。実は、先に訪れた梶取崎近くの空き地でもたくさんのシカを見かけたのだ。町内各所に出没するということか。ただし、野生動物なので、近づいたり、刺激したりはしないように。それに、もうひとつ。いろんなところにくじらがある太地町は、マンホールにもくじらが描かれている。マンホールマニアの伊舞さんが見つけていた。さすが。
くじらの博物館前にシカの群れ
くじらのマンホール
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