【すさみ八景】
特定の地域、エリアで、優れたものや美しいものを選んで並べる様式のひとつに八景(はっけい)がある。三景、四景、十景、十二景などと同様だ。すさみ町には、「すさみ八景」があり、「すさみ新八景」もある。「新八景」は、町民からの公募で選ばれた自慢の風光明媚な場所で、訪れやすいというのもポイントの一つとなっている。そのひとつ「雫(しずく)の滝」から、今回の旅は始まる。旅女子は、三浦ちあきさん(写真左)と柳橋さやかさん。おなじみの仲良しコンビの11回目の旅となる。おそろいの麦わら帽子は柳橋さんが用意した。
旅の始まりは滝
夏の甲子園=全国高校野球選手権の準決勝戦(和歌山県代表校・智弁和歌山の試合)が当初の放送日時と重なったため、翌週(9月4日)の同じ時間に放送された。
☆番組は、ここから聞くことができます。
紀勢自動車道のすさみインターチェンジから車で、県道を15分ほど走ると、少し道幅が広くなって、車が数台停められるスペースがある。ここが雫の滝への入口だ。水の流れる音が聞こえ、谷あいへ降りていく階段がある。進んでいくと、階段が石段になり、手すりがある。さらに木立の中を降りていくと、徐々に水音が大きくなってくる。周参見川(すさみがわ)が見えてくる。水がきれいだ。
階段を下りていく
木々の中を下りていく
さらに進むと、目の前に二段の滝が現れる。雫のイメージはなく、なかなかに豪快な逆S字型の滝だ。滝の高さは30メートルほどという。滝つぼの周りの水の色は濃く、深さがうかがえるが、底まで見えそうなほどに水の透明度がすごい。女子2人のテンションは最高潮に達した。
眼前に滝が現れた
雫の滝
滝の前は水しぶきもあり、涼しいが、女子2人はさらに涼を求めて、川に足を入れてみる。心地よい冷たさだ。小魚が泳いでいるのも見える。釣りを楽しむ人や泳ぐ人もいるという。女子2人は、手も水に浸し、川遊びを楽しんだ。
水に足を入れてみる
冷たい川の水で遊ぶ
すさみ八景の一つだけあって、景色が素晴らしい。マイナースポットではないはずだが、この日は穴場感満点。他に誰もいなくて、独占状態。下流方向を見れば、緑の中に清流がのび、日の光を受けて川面がキラキラと輝いていた。
雫の滝の前で
下流方向の景色
【誓いの鐘】
すさみ町といえばイノブタ発祥の地。イノシシと豚を掛け合わせたおいしいお肉を食べられる。すさみF1イノブタ「イブの恵み」として販売されている。この日のお昼ご飯は、道の駅すさみ近くの「みき食堂」で、三浦さんはイノブタうどん、柳橋さんはイノブタラーメンなどを注文。初めてイノブタ肉を食べた柳橋さんは柔らかくておいしいと連発。
みき食堂
「みき食堂」から国道42号を500メートルほど南へ行くと、コンビニの手前に「誓いの鐘」の手書き看板がある。海岸近くの岩場に鐘らしきものが吊るされている。2人が鐘の前で話し始めると1台の車がやってきて停まり、運転席から「作者で~す」と言いながら陽気なおじさんがやってきた。近くでフィッシングショップを経営し、渡船業もしている森下繁(もりした・しげる)さんだ。女子2人が誓いを立てて鐘を鳴らすから一言コメントがほしいとお願いした。これが奇跡の爆笑を生んだ。三浦さんは「生涯ラジオの仕事ができるように」、柳橋さんは「今年中に彼氏が欲しい」とお願いした。誓いじゃなく、お願いになってしまっている。森下さんのコメントは番組を聞いてみて。そして、鐘もなかなかにいい音だった。車の車輪のホイルの新しい使い方といえる。お店にいると鐘の音が聞こえるらしく、時折、やってくるという話なので、皆さんも訪れて鐘を鳴らしてみてほしい。そして、森下さんがやってきたら、誓いを立て、コメントをお願いしてみてもいいかもしれない。
誓いの鐘に誓う三浦さん
作者の森下さんと
【日本童謡の園】
すさみ町商工会のホームページによれば、1987年、日本で初めて、童謡を集めた公園として誕生したのがここ「日本童謡の園」だという。道の駅すさみから国道42号を1.5キロほど北上すると入口がある。公園誕生から35年近くが経ち、マップの年季の入りようがそれを物語っている。
日本童謡の園へ
日本童謡の園マップ
芝生が広がり、美しいすさみの海(枯木灘/かれきなだ)が眺められる場所でもある。芝生広場には、童謡をモチーフにした銅像があり、歌碑もある。ボタンもあるので押してみると、童謡が流れてくる。三浦さんは、2017年11月に
「太地・古座川・すさみ、大自然を楽しむ旅(三浦ちあき&伊舞なおみ)」で訪れているが、その際は、夕暮れだったので、園内散策はしなかった。柳橋さんは、初めて訪れたという。
銅像に向かって歩く女子
毬と殿様の像の前で
「まりと殿様(作詞・西條八十、作曲・中山晋平)」、「鳩ぽっぽ(作詞・東くめ、作曲・滝廉太郎)」、「おはながわらった(作詞・保富康午、作曲・湯山昭)」と芝生広場で童謡を楽しんだ女子2人。東くめ(ひがし・くめ)は新宮市出身、保富康午(ほとみ・こうご)は地元すさみ町出身とゆかりもある。
鳩ぽっぽの像
おはながわらったの像
海岸沿いの遊歩道脇には、人感センサーがあり、そばを通ると童謡が流れてくる。ここにも歌碑がある。2017年の旅の際、何やら工事をしていたのは展望台だったようだ。3年前に完成。新しい展望台に上ると視界が開け、雄大な太平洋を眺められる。女子たちは童謡を口ずさんだあと、絶景を背景に自撮りを楽しんでいた。
新設の展望台に登る
展望台の上で自撮り
【江須崎島】
日本童謡の園を抜けると江須崎島(えすざきじま)が見えてくる。道の駅すさみの展望所から正面に見えている島だ。太平洋に突き出た周囲約3キロの陸続きの島だ。陸続きなので、江須崎ともいう。島の中央には、春日神社があり、島全域が神域となっている。そして、神社の森は、亜熱帯植物の密林(暖地性植物群落)で国の天然記念物になっている。
江須崎島への道
赤い橋を渡って島へ
風がやや強かったが、島へと渡ってみた。鳥居のそばに案内板があり、ジオパークでもあると知る。島の中央にあるという春日神社の本殿目指して、女子2人は、木々が生い茂る参道を歩いていく。
鳥居に着いた
島内の参道を上る
少し上り坂の参道を進むと、右に石段が見えてきた。登ってみると、静かな木立の中に2つの社があった。女子2人は参拝し、神聖な気持ちになった。
春日神社に参拝
春日神社に参拝
【FRONT110】
今度は、今夏に誕生したばかりの新しいスポットにやってきた。ここは、すさみ町の委託を受け、すさみ町観光協会が運営する。通常、観光案内所へは、旅の最初に行くものだが、今回は新スポットとして訪ねた。スカイブルーを基調としたおしゃれなカフェのような外観で、その名を「FRONT110(イチイチマル) すさみ町観光案内所 SUSAMI TRAVEL COUNTER」という。企画や運営にも携わる地域コーディネーターの源口葉月(みなぐち・はづき)さんに案内をお願いした。「八月生まれの葉月です」と自己紹介した源口さんは、小麦色の肌と、はつらつとした姿、加えて、おしゃべりも素敵だった。もしかして、同業者では(?)と感じた女子2人が聞いてみると、前職は雑誌の編集者で、ケーブルテレビでコーナーを持っていたとか。そして、去年、すさみを気に入って移住してきたといい、目の前に広がる海でSUPやカヤックなどのインストラクターもこなしているらしい。なるほどなるほど。観光案内所は、今年6月2日にオープン、7月1日からアウトドアツーリズム事業をスタートさせたという。
FRONT110前で源口さんと
FRONT110のシンボル
実はここ「元交番」だったという。そして「FRONT110」の名まえにうなづく。といっても外観からは元交番は想像できない。中に入っても、案内カウンターやwifi完備のフリースペースなど、リノベーションが行き届いていて素敵なオフィスでしかない。だが、交番の名残がある未改修エリアもあるというのだ。奥のドアを開けて進んでいくと、元取調室だったという小部屋が2つあり、今は男女の更衣室となっている。さらに奥には、使い方を模索中という、元留置場がそのままあった。普段見ることがないだけに、女子2人は興味津々だ。
更衣室は元取調室
旧留置場がそのままある
顔出しボードがあれば顔をはめてみるのと同じように、元取調室や元留置場があれば、入ってみるのは自明のこと。貴重な経験といえる。ちなみに、現在の交番は、すさみインターチェンジ近くに新築移転している。串本警察署すさみ幹部交番。
旧取調室の女子2人
旧留置場に入ってみる
「FRONT110」は2階もあり、コワーキングスペースとなっていた。窓からは、すさみ海水浴場と、すさみのシンボルで、守り神という稲積島(いなづみじま)が見える。さらに、この部屋から、屋上テラスへと出られる。スタッフたちがハンドメイドしたと聞いたが、とてもそんな風には見えない素敵なウッドテラスだ。「コロナが収まったらビアガーデンを開きたい」と岩田勉(いわた・つとむ)町長が言ったとか。わかる気がする。
コワーキングスペース
屋上テラスへ
観光案内はもちろんだが、観光スポットでもあり、新しい名所でもある。そして、ここでは、ビーチキャンプ場の運営とSUP、カヤック、サイクリングなどアウトドアツーリズムの窓口となっていて、格安料金で様々なレンタルも行っている。次回はぜひ、体験させてもらおう。
国道42号側からFRONT110
和歌山放送は1233kHz
「FRONT110」は、国道42号沿いにあるが、国道側に出入口はない。国道側もおしゃれであることには違いない。そして、国道をはさんで和歌山放送の周波数案内ボードがある。日置川すさみ局1233kHz。
【すさみ海水浴場】
最後は、FRONT110の目の前、すさみ海水浴場へとやってきた。稲積島を眺めつつ、波打ち際で潮の香りと波の音を楽しんだ。イノブタダービーや花火大会もこの場所で行われる(去年・今年ともに、新型コロナの影響で中止)。
海水浴場で稲積島を前に
波打ち際の女子2人
稲積島があるから「いなづみビーチ」というのか。看板を見ながらそんなことを思ってみたり。
稲積島を見ながら
看板には「いなづみビーチ」とも
そして、旅を振り返り、少し夕景も味わった。
すさみ海水浴場と稲積島
夕景、稲積島のシルエット
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