芸術の秋、街角ピアノをめぐる旅

【白浜】

白浜といえば、和歌山県を代表する観光地の一つ。和歌山県の空の玄関があるのもこの町。今回はその南紀白浜空港から。まずは空港の全容を見渡せる空港公園(展望広場)にやってきた。管制塔と同じくらいの高さ感があり、滑走路の中央あたりに位置している丘で、駐車場と展望スペースがある。眼下に滑走路があり、その先には海が見える。今回の旅女子は、伊舞なおみさん(写真右)と黒川綾香さん。このコンビ3回めの旅は、芸術の秋をテーマに、街角ピアノをめぐろうという企画だ。滑走路越しにアドベンチャーワールドの観覧車などが見え、パンダ見たさが募る女子2人だが、それはまたの機会に。一方、滑走路があれば飛行機の発着も見たいところだが、これも時間が合わず残念。

滑走路を一望する公園

滑走路を一望する公園


☆番組は、ここから聞くことができます。

☆街角ピアノ(ストリートピアノ)
街中や街角などの公共の場所に設置された誰でも自由に弾ける状態のピアノののこと。駅にあれば「駅ピアノ」、空港なら「空港ピアノ」ともいう。街角(ストリート)というネーミングだが、建物のロビースペースなど、設置される場所は屋内のことも多い。

1か所めの街角ピアノは南紀白浜空港の1階ロビー、売店わきの窓際にある。グランドピアノだ。女子2人は、ピアノに近づき、触ってみる。グランドピアノだったことでテンションが上がっている。天井が高いので、音の響きもいい。今回の女子は2人とも子どもの頃ピアノを習っていたとのことで、期待したい。

南紀白浜空港ピアノ

南紀白浜空港ピアノ

ピアノを触ってみる

ピアノを触ってみる

まずは、伊舞さんと思いきやポーンと1音鳴らしただけ。そんなわけで黒川さんが弾く。グランドピアノは発表会以来だとか。いつの話? 演奏曲は「エリーゼのために」。遠い昔は弾けたなぁと伊舞さん。
黒川、弾きます

黒川、弾きます

空港をピアノを頭上から

空港をピアノを頭上から

南紀白浜空港は2019年4月に民営化された。運営会社は南紀白浜エアポート。岡田信一郎(おかだ・しんいちろう)社長にピアノの話を聞く。2020年4月にピアノを設置した。2007年3月に閉校した白浜町市鹿野(いちかの/旧日置川町)の旧川添(かわぞえ)中学校に放置されていたピアノを南紀白浜エアポートが救出、調律などして誰もが弾けるようにした。新型コロナウイルスの感染拡大で学校が休校になったことも後押ししたという。最近は毎日のように弾きに来る人がいるほどに町民に親しまれているそうだ。中には、ピアノ教室の子どもたち一行が発表会の予行練習をしに来たり、空港に到着する彼女をピアノで出迎える外国人男性もいたとか。映画かドラマのような話に女子2人は大興奮。
岡田社長に聞く

岡田社長に聞く

飛行機のポーズ

飛行機のポーズ

岡田社長と3人でピアノの前で記念撮影。社長が率先して、飛行機のポーズ。
岡田社長の名刺

岡田社長の名刺

空港掲示板

空港掲示板

放送には登場しないエピソードだが、岡田社長の名刺には飛行機型の穴があいている(社長だけではなく、ほかの社員も)。こういう名刺を発注したのではなく、ネットで見つけた飛行機型のパンチを取り寄せ、それぞれが名刺に穴をあけているという。「指が痛くなる」と岡田社長。素敵だ。
空港モニュメント

空港モニュメント

南紀白浜空港

南紀白浜空港

ロケの日は雨の止み間の曇天で、ロケの時間には飛行機の発着はなかったが、せっかくなので、晴れた日の飛行機の写真を掲載しておく。南紀白浜空港には、JAL日本航空の羽田便が毎日3往復運航している。
駐機中のJAL機

駐機中のJAL機

離陸するJAL機

離陸するJAL機

空港2階のレストランで食事。アドベンチャーワールドが運営する「スカイアドベンチャー」。かわいいがいっぱいで、ここからも滑走路が間近に見える。
パンダカレー

パンダカレー

スカイアドベンチャー前で

スカイアドベンチャー前で

かわいいめはりずし

かわいいめはりずし

めはりずし箱のおしり

めはりずし箱のおしり

放送には登場しなかったが、白浜で芸術といえば「円月島(えんげつとう)」ということで立ち寄った。自然の造形美、いつ見てもいい眺めだ。
自然の造形美を鑑賞中

自然の造形美を鑑賞中

円月島

円月島

【印南】

2か所めは印南町の印南駅。町のシンボルのかえる橋近くにある。かえる橋は1995年に出来たから、すでに26年。すっかり定着している。以来、印南町では、色んなところにかえるを配置してきた。しかし、印南駅は、なかなかに、なかなかだ。人間の子どもサイズのシュールなかえるがたくさんいる。黒川さんが「ちょっとこわい」というのがわかる気がする。

印南駅にやってきた

印南駅にやってきた

かえるがいる待合室

かえるがいる待合室

待合室には6体のかえるがあり、これは、3年前、宮崎県の造形作家、松下大紀(まつした・だいき)さんが制作した「紀の国トレイナート」の駅舎アートだと知った。ピアノの上にもいる。座席にも。かえると撮影し放題。6体で「むかえる」の意だという。
印南駅ピアノ

印南駅ピアノ

駅ピアノを触ってみる

駅ピアノを触ってみる

目的の駅ピアノは、待合室のホーム側にある。アップライトピアノだ。このピアノは、旧あけぼの保育園にあったもの。保育園の統合によって使わなくなったので、駅ピアノとして再生した。女子2人は触ってみる。ポーン。伊舞さんの1音弾き。今度は、もう少し触ってみる。「優しい音がする」とは言うが、弾かない。再び、黒川さんが演奏。演奏曲は「メヌエットト長調」。
黒川、弾きます(2)

黒川、弾きます(2)

かえると伊舞さん

かえると伊舞さん

駅前に何やら看板がある。町内に4か所ある熊野古道の王子、叶(かのう)王子、斑鳩(いかるが)王子、切目(きりめ)王子、中山(なかやま)王子を紹介している。そして、それぞれの王子にキャラクターが描かれている。これは、何だろう。気になる。印南駅で改めて記念撮影。駅舎をJRから町が譲り受け、改装整備したということで、駅舎が新しく、前の道路も、案内看板も新しい。
駅前には王子案内

駅前には王子案内

印南駅で

印南駅で

続いて、印南駅の一つ南の切目駅へ。こちらの駅舎もJRから町が譲り受け、改装整備し、新しい。印南駅の待合室には6体のかえるとかえる橋の写真があったが、切目駅の待合室には、秋祭りの写真が展示されている。かえるはいない。
切目駅で

切目駅で

待合室には祭りの写真

待合室には祭りの写真

切目駅はピアノではなく電子オルガン(※注)だった。これは、個人からの寄贈という。鍵盤楽器というのは同じだが、電源がある電子楽器で操作方法がわからない女子たち。少し音を鳴らしてみただけに終わった。
切目駅は電子オルガン

切目駅は電子オルガン

電子オルガンを触ってみる

電子オルガンを触ってみる

印南駅にも掲示されていたが、切目駅にも駅カードがあるという。ともに無人駅なので、駅に行ったことがわかるもの(スマホ写真など)を持って、町役場に行けば無料でもらえる。印南駅カードは配布を始めた2020年1月から2021年8月末までに450枚あまりが配布されている。切目駅カードは、配布を始めたばかりで、2021年7月8月の2か月で13枚にとどまっている。駅の待合室には、町内の中学生が取材・制作した印南町の案内冊子などもあった。
駅カードがあるらしい

駅カードがあるらしい

手作りの町ガイド

手作りの町ガイド

駅ピアノのこと、駅カードのこと、王子のキャラクターのことなど、聞きたいことがたくさんあったので町役場を訪ねた。役場もかえるだらけだった。企画産業課の松本正明(まつもと・まさあき)係長に教えてもらった。
企画産業課・松本係長に聞く

企画産業課・松本係長に聞く

役場で記念撮影

役場で記念撮影

4か所の王子、それぞれの伝説や由来などからイメージしたキャラクターだという。そして、表にはキャラクター、裏には写真や紹介文を掲載し、王子カードとして、今年度から配布を始めている。8月末までの4か月間でそれぞれ100枚前後を配布済み。なかなかの人気だ。駅カードと同様に、王子を訪れたことがわかるものを持参して役場に来れば、カードをゲットできる。
駅カード

駅カード

王子カード

王子カード

女子たちが気になると言っていた王子のイメージキャラクターについて教えてもらった。こんなイメージということ。

☆王子のイメージキャラクターについて

    叶王子

  • 旧の場所から現在の場所に移設する際、村の漁師たちなど若人衆が碑を担いで運んだという話から着想
  • 海から大きな石を運ぶ力持ちで村を活気づかせる男気の溢れた若い漁師をイメージ
  • 「かのう」の名の由来となった観音様をイメージし、手足などに金の装飾
  • 観音堂のあった場所に移設されたため、観音+王子⇒かんのんおうじ⇒かのうおうじと移り変わり「叶」という漢字があてられた
    斑鳩王子

  • 「斑鳩」という名の由来が聖徳太子が活躍した飛鳥時代の奈良の斑鳩からきている説から着想
  • みずら髪で当時の衣装をイメージさせる着物
  • 聖徳太子の教えを大切にする勤勉で和を尊ぶ柔和な見た目
    切目王子

  • 全体的に切目王子にまつわる話から着想
  • 悪戯好きなやんちゃな顔つき
  • おしおきに片足をとられたことからつねに杖をついている
  • 近所に亀の地蔵があることからワンポイントにお供の亀を頭に乗せている
    中山王子

  • 中山王子の祭神が「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」という女性の神様であることから着想
  • 海の女神様でもあることから水をイメージした紅一点
  • 足の宮さんが併設していることから足元は草履

かえるの足拭きマット

かえるの足拭きマット

椅子の背もたれがかえる

椅子の背もたれがかえる

役場庁舎の足ふきマット、椅子の背もたれにと、かわいいかえるのキャラクターが描かれている。カッくんとエルちゃんと知る。1994年の世界リゾート博でお目見えしたというから歴史が長い! 顔出しボードもあり、モニュメントもある。町内にもたくさんあるに違いない「かえる探し&王子めぐり」の旅ができそうだ。
かえるの顔出しボード

かえるの顔出しボード

60周年のモニュメント

60周年のモニュメント

ロケから放送までの間に印南町のシンボルかえる橋の点検&清掃作業が行われた。かえる橋がきれいになったので紹介しておく。作業中の写真は印南町から提供を受けた。作業は9月6日の1日で完了したという。清掃の要望ということではないが、かえる橋の近くにあるこども園に通う園児から「かえるさんが黒い涙を流しているみたい」との声があったらしい。1995年に完成したかえる橋は、これまで2003年に塗り替えた以来の清掃で、18年ぶりに色鮮やかな美しい姿がよみがえった。
かえる橋清掃中(©印南町)

かえる橋清掃中(©印南町)

きれいになったかえる橋

きれいになったかえる橋

【海南】

3か所めは、海南市の海南駅。これまでの2か所と違い、人の流れが多く、にぎやかだ。駅ピアノは、駅の西口を入ってすぐ、海南市物産観光センター(かいぶつくん)の前にある。駅の改札の前(通路を挟んではいる)とも言える。アップライトピアノ。「えきぴあの PRODUCED BY MUSIC PRO SHOP ECHO」とある。

海南駅西口

海南駅西口

海南駅ピアノ

海南駅ピアノ

伊舞さんがピアノの前に座る。3度目の正直(?)で弾くのか…、そして、すぐに笑い始めた。ここでも黒川さんは弾く。演奏曲は「人形の家と目覚め」。
伊舞、弾きます?

伊舞、弾きます?

黒川、弾きます(3)

黒川、弾きます(3)

プロデュースしたと名まえがあった海南市のエコー楽器の栄川光彦(えかわ・みつひこ)社長に駅に来てもらって話を聞いた。誰もが気軽に演奏できる場所がほしいと思う中、YouTubeで見た駅ピアノを海南にも設置したいと考え、市役所に相談。1年ほどのち、観光協会経由で置いてもいいよという話があったという。ただ、音沙汰がなかった1年の間に、当初、用意していたピアノを処分してしまっていたという。そんな時、家の中で使われなくなっていた子どものピアノに目をつけ、子どもの承諾を得て、設置したもの。念願かなった形だが、「設置してくれてありがとう」の声も寄せられ、嬉しいと話した。
エコー楽器・栄川社長に聞く

エコー楽器・栄川社長に聞く

海南駅前で記念撮影

海南駅前で記念撮影

最後は、芸術的な景色の場所で、という訳で、海南市下津町の国道42号沿いのビュースポットへやってきた。旧南和歌浦苑の近くで、日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」の絶景が眼下に広がる。JR紀勢線も見える。旅のまとめトーク中にも、電車が走り抜け、盛り上がった。
海南市の絶景スポット

海南市の絶景スポット

あっ、電車来た~!

あっ、電車来た~!

【その他】

県内の街角ピアノはほかに、和歌山市内に2か所ある。ひとつは、片男波公園健康館の中に和歌山県文化振興財団が設置した「万葉ピアノ」という愛称の電子ピアノで、県民文化会館で使われていたものだという。もうひとつは、イオンモール和歌山1階のサークルコートに「紀の国わかやま文化祭2021」の開催にちなんで、和歌山市実行委員会が設置したピアノがある。和歌山県のマスコットキャラクター「きいちゃん」のラッピングが施された「きいちゃんピアノ」で、2021年11月末までの期間限定となっている。

万葉ピアノ

万葉ピアノ

きいちゃんピアノ

きいちゃんピアノ

期間限定といえば、2020年12月12日から2021年2月11日まで、御坊駅にグランドピアノが設置されたもよう。御坊駅前商店街のイベントの一環。「あがらDEピアノ」。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でイベントは途中で中止になった。ピアノはどうなったのか。感染が収まったら改めて設置してほしい。また、アドベンチャーワールドの出口近くにあるショップスペースにアップライトピアノがある。入園が有料なので、ほかの街角ピアノとは条件が異なるが、記しておく。今回の番組にあたり、県内の街角ピアノを調べたが、網羅したデータなどがないため、ほかにもあるかもしれない。情報をお持ちの方は、ぜひ教えてほしい。そして、訪れて演奏を楽しんで。

【※注】印南町の切目駅にある電子オルガンについて
    番組では、出演者や町職員が「エレクトーン」と紹介している部分がある。意味は通じると判断し、そのまま放送しているが、「エレクトーン」はヤマハの登録商標で、切目駅にあるのはヤマハ製ではない。したがって、このページでは一般名の「電子オルガン」と表記した。

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