【藤並駅】
新しい生活様式は実践しているだろうか。新型コロナウイルスの感染予防につとめながらの日常はたいへんだ。そんな中、2か月ぶりとなった今回の番組は、家にこもりがちの皆さんの運動不足の解消につながればと素敵な散歩コースをご紹介。有田川町で、全編歩き旅を敢行した。旅女子は三浦ちあきさん(写真左)と福山ひでみさん。福山さんは女子旅初登場。そろってマスク姿で登場。ラジオ番組をいいことに、かなり怪しい女子2人になっている。
ポッポみちの案内図で
☆番組は、ここから聞くことができます。
旅のコースは、旧有田鉄道跡「ポッポみち」5.3km。藤並駅前にマップ(看板)がある。前回の全編歩き旅だった2020年2月放送の
「和歌の浦をひとめぐり、絶景の小径を歩く旅」 と同じくらの距離で、かつ、今回は歩道・自転車道として整備され、概ね平坦という。条件的には恵まれている。違いは気候(暑さ)とマスクの着用。どうなるか。
JR藤並駅前で
ボーダーがシンクロ
藤並駅は現在はJR紀勢線の駅だが、かつては有田鉄道の駅もあり、紀勢線との連絡を担っていたという。駅前で距離ボードを見つけた。藤並駅と鉄道公園の両地点までの距離を記している。駅の表示を模していて、枕木を使用している風だ。まずは、JR紀勢線に沿って北に向かう。
発着地までの距離ボード
藤並駅をあとにスタート
有田鉄道
有田鉄道は、木材やみかんの運搬を主な目的に、吉備町(現・有田川町)の金屋口(かなやぐち)と積出港だった湯浅港とを結ぶ路線として、1915年に運行を始めた鉄道。電化区間はなし。運搬の主流がトラックに変わったあとも、学生を中心とした住民を乗せて走り、2002年末を限りで廃線。会社としての有田鉄道は、バス事業を主体に転換した。
藤並駅の有田川町観光案内所
藤並駅のちいさな駅美術館
ちいさな駅美術館と観光案内所
JR藤並駅の駅舎2階(連絡通路沿い)の西側には「ちいさな駅美術館 “Ponte del Sogno”(ポンテ・デル・ソーニョ)」がある。絵本を通じた町づくりに取り組む有田川町が2011年に開設した。約2,000冊の絵本の蔵書があり、気軽に絵本に親しめる、楽しめる空間になっている。定期的に絵本の原画展示を行ったり、絵本作家のおはなし会やサイン会などのイベントも開催している。一方、駅舎の東側、1階には「有田川町観光案内所」がある。有田川町の観光関係のことなら何でも気軽に相談できる。レンタサイクルもある。(両施設とも5月末日まで休業予定、中止のイベントもあるという)
【紀勢線に沿って】
ポッポみちは、藤並駅をスタートして、しばらくはJR紀勢線に沿って北に延びている。線路が近く、電車がよく通る。電車好きには最高の道路だろう。歩き始めて、ほどなく、JR線側にネコの壁画が見えてきた。大阪府出身の絵本作家、ミロコマチコさんが、自身の絵本「オレときいろ」の主人公をモチーフに、ペンキとアクリル絵の具で、2日間かけて描き上げたもの。縦2m、横8.8mと結構大きい。
ポッポみちは歩道・自転車道
壁画を前に女子2人
壁画の向かい側にはキウイフルーツの木があり、白い花が咲いていた。女子2人は初めて見たという。キウイフルーツは真夏には実がなり、秋~冬に収穫期を迎える。
キウイフルーツの木
キウイフルーツの花
壁画の近くに藤棚(花は終わっている)とベンチがある。そして、距離ボードを見つけた。なんと、まだ500m…、先は長い。
藤棚とベンチと距離ボード
ポッポみちを歩く女子2人
道の脇にはアジサイ(花はまだ)など、季節の花が植えられている。四季折々に楽しめそうだ。そして、路面が心地よく、歩きやすい。また、JRの電車が通り過ぎた。このあと、JRの線路は、左にカーブし、ポッポみちから離れていく。
JR紀勢線が走り抜ける
ポッポみちは歩きやすい
【阪和道下】
JR線が左に離れたあと、右から阪和自動車道が延びてくる。この高速道路の下をくぐるポッポみち。まさに高架下、その左側に高さ3mあまりの石塔がある。「野田(のだ)の宝筺印塔(ほうきょういんとう)」だ。野田は地名。有田郡内最大の宝筺印塔らしい。女子2人は説明書きを読んでいるが…。
野田の宝筐印塔
なになに、ふむふむ
阪和道をくぐりきったところに、距離ボードがあった。ゴールをしたような喜び様の女子2人。藤並駅からやっと1km。
阪和自動車道をくぐる
ゴールしたような女子2人
この先、ポッポみちは緩やかに右にカーブし、東に向かう。
【田殿口駅】
ポッポみちの左側に低い石垣のようなものが見えてきた。有田鉄道の田殿口(たどのぐち)駅跡だ。ホーム(だったとみられるところ)に上がってみた女子2人。やわらかな緑色の葉が茂るカエデ。その中に、赤い色の羽根付きのタネができている。
低い石垣のような駅跡
カエデの赤いタネの羽根
駅舎だったとみられる建物には、子どもの顔がたくさんペインティングされている。大阪府出身の絵本作家でイラストレーター、長谷川義史(はせがわ・よしふみ)さんの作だ。映えスポットもある。
田殿口駅跡にはたくさんの顔が
撮影スポットもある
福山さんは、長谷川作品に詳しい様子。そんな話をしていると、長谷川さんを模した風のオブジェを発見。オブジェと思いきや絵本箱だった。誰でも自由に読むことができ、読むスペースもある。屋根もある。
たくさん絵本が入っている
長谷川義史さん風の絵本箱
【ALEC】
有田川町は絵本のまち。その中心施設が2009年にオープンした有田川町地域交流センターだ。ALEC(アレック)の愛称で親しまれている。図書館をベースに、カフェやイベント会場などがある。図書の電子化が進み、電子書籍として借りることができるほか、実際の本についても、借りたい本を持ってゲートを通るだけで貸し出し完了、返却はポストに入れるだけという先進的な取組が実践されている。
遺跡の説明板
ALEC
ALECがあるのは、旧吉備中学校跡地で、遺跡の説明(看板)がある。空からはヒバリの鳴き声が降ってくる。そして、ALECは図書館だから、館内に蔵書は多いが、面しているポッポみちには絵本箱がある。「まちかど絵本館」というらしい。
ALEC前にも絵本箱
絵本箱=まちかど絵本館
藤並駅から2km。このあたりのポッポみちはほぼ直線だ。こんなに遠くまで見通せる景色は、和歌山県では珍しい。
絵本箱前に距離ボード
真っ直ぐ延びるポッポみち
ALECの中に列車の遊具のようなものが見えた。実はこれ、つみき列車で、貨車に子どもが自由に遊べるたくさんの積み木が積まれている。ただし、今は自由に遊べない。早く元通りになってほしいものだ。それに真新しい建物ができている。一見、かわいいカフェのようだが、今年3月にオープン予定だった絵本の美術館「ポッポ絵本館」だと知った。新型コロナウイルスの感染拡大の影響でオープンは延期され、開館期日は決まっていない。→7月26日に晴れてグランドオープンした。毎週日曜日の午後1時から4時まで開館。
つみき列車
ポッポ絵本館
ポッポみちには街灯がある。電線は見えない。景観に配慮されているに違いない。取材ロケの日も暑かったが、これからもっと暑くなる季節、朝夕など涼しい時間帯に歩くのが良いかも知れない。別の日、夜に訪れてみた。明るい。これなら夜のウォーキングもできそうだ。
夜のポッポみち
【下津野駅】
ポッポみちもそろそろ半ばというところ。有田中央高校(旧吉備高校)を過ぎると、下津野(しもつの)駅跡が現れる。有田川町下津野は町役場がある場所。かつては、吉備町役場(現在の有田川町役場)の最寄り駅だった。
そろそろ半分
有田中央高校近くに駅跡
ホーム跡に白いベンチがあり、背面には川が流れる。有田川の支流、鳥尾川(とりおがわ)で、渡ってくる風が涼しく、気持ちいい。女子2人は、かつての経験か、憧れなのか、妄想談義が盛り上がる。
下津野駅跡には白いベンチ
下津野駅跡には駅名表示
下津野駅跡には駅名の表示もあった(当時のものではない)。前後の駅も距離も。有田鉄道は1.4~1.5km間隔で駅がある。そして、それぞれにその跡が個性的だ。ある部分はそのまま残り、別の部分はリノベーションされている。それらを見て回るだけでも楽しい。
【御霊駅】
藤並駅からポッポみちを歩いて歩いて、ようやく半分を越えた。距離ボードの数値が鉄道公園までの方が短くなった。適度に風はあるが日射しが強い。そして、マスクをしていることもあり、体感がかなり暑くなってきた。これからの季節は、昼間は熱中症対策も欠かせない。女子2人も水分補給をしながら、ゆっくり歩いていく。
ポッポみちは続く
半分をこえた
続いて見えてきたのは御霊(ごりょう)駅跡。ここには、立派な駅舎が残っている。といっても、面影は改札口の形くらいで、すっかりリノベーションされている。内外の壁面には、絵本から飛び出したキャラクターたちがペイントされ、共演している。そして、福山さんの絵本紹介が面白い。
御霊駅跡にはイラストがいっぱい
御霊駅跡は駅舎が残る
駅舎の中には絵本の展示があり、アートになっている。そして、ここにも絵本箱がある。本の数が多いぞ。
絵本がたくさん
絵本の展示もいっぱい
【ゴールへ】
鉄道公園まで1kmを切った。足下のマンホールが風車のデザインだと気づいた。旧吉備町は、県内で最も早く、風力発電設備(風車)が設置されたところだ。その風車だろうか。
鷲ヶ峰コスモスパークと風車
小さい白い風車が1基、山の上に立ってるのがシンボリックだった。風車は、標高586mの鷲ヶ峰(わしがみね)山頂近くの鷲ヶ峰コスモスパークにあった。設置は2000年5月。その後、風車は、老朽化などにより、2014年12月に撤去され、今はない。風車はないが、春にはツツジ、秋にはコスモスが咲き、山上からは、有田川流域が一望できる。和歌山県の風力発電の風車は有田川や日高川を見下ろす尾根伝いに数多く立ち並び、新しい景色を作っているが、それらが設置されるのは2008年以降のこと。だから、鷲ヶ峰の風車は、随分早く、まだ珍しい景色だった。
マンホールには風車のイラスト
残り1キロを切った
みかん畑の中を歩く女子2人。距離が短くなってくるとうれしい。みかんの木にはみかんの小さな実が実り始めている。少し前なら、みかんの花が咲き競い、甘酸っぱいいい香りのポッポみちだったことだろう。その季節にも歩いてみたい。あと300mだ!
あと300メートル!
みかんの小さな実
次に見えてくるのはゴールの景色と思っていたら、短いレールと車輪がある広場に出た。赤さびに覆われている車輪。結構大きい。ギアが迫力ある。さわってみる女子2人。「あたたかい!」と驚いているが、熱を発しているわけではなく、強い日射しにさらされていたからと思われる。
車輪がある広場
近づくと結構大きい車輪
ポッポみちの右側に車道(県道22号吉備金屋線)から鉄道公園へのアクセス道が現れ、あと100mの距離ボードや案内矢印標識などがある。左側には有田川が寄り添い、川も山も緑が美しい。ウグイスの美声も響き渡っている。
有田川が見え、ゴール間近
SLが見え、鉄道公園へ
地球を約50周したという蒸気機関車「みかん号」。デゴイチは、そばでみると大きく、迫力がある。きれいに磨き上げられてもいる。SLと記念撮影して、女子2人のポッポみち旅は終了。
デゴイチを間近に女子2人
SLみかん号前で記念撮影
放送はここまで。webではもう少し。
【金屋口駅】
有田川鉄道公園は、旧有田鉄道の金屋口(かなやぐち)駅の敷地にある公園で、鉄道交流館を含め、鉄道のテーマパークといえる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、5月末まで営業休止。このため、今回は訪ねなかった。広い芝生広場には鉄道型の遊具もある。
SLみかん号の後ろにも列車
芝生広場と鉄道型遊具
SLみかん号が置かれている線路は、SLだけのものではなく、後ろに延び、別の列車が置かれている。動くのかも…。一方、鉄道交流館の入口にある駅表示をみると、鉄道公園―交流館前―金屋口という並びで、線路がつながっている。ポッポみちには線路が残されているところはないが、ここにはある。その短い区間を動かすために日々の整備が続けられている。乗車体験、運転体験が人気だ。交流館の中には鉄道模型もある。こちらも訪ねてほしい。
有田川鉄道交流館
交流館前という駅がある
ポッポみちはすでに終わっているので、有田川の左岸堤防道路を歩いて行くと、金屋口駅跡まで続く線路に、色んな列車がある。「おっ!」車庫の中に、蒸気機関車デゴイチをもう1両見つけた。ここスゴイぞ。
色んな車両がある
車庫の中にデゴイチが
当時を知っているわけではないが、金屋口駅はたぶんこうではなかったかという形で、そのままホームがあり駅舎がある。
金屋口駅跡
有田鉄道の会社と金屋口駅跡
おことわり
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、和歌山県への緊急事態宣言の発令などあり、外出の自粛が求められたため、先月(2020年4月)の番組は放送を見合わせました。
関連リンク
放送日:11月30日(土)
旅人:三浦ちあき・伊舞なおみ
地域:広域
ヒント:紅葉
放送日:12月28日(土)
旅人:伊舞なおみ・柳橋さやか
地域:広域
ヒント:紅葉
番組に対するご意見、ご感想などは
あて先は、いずれも「ラジオで女子旅」係 まで。
番組では、皆さんからの「旅プラン」も募集しています。プランになっていなくても、この季節にこの場所とか、イベント、お店、スポット、人、食など、また、アイデアもぜひお寄せください。お待ちしています。
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