橋本から、紀の川の水を西へ “大畑才蔵”を訪ねる旅

【大畑才蔵を知る】
スタートは、橋本市で最も広い公園といわれる杉村(すぎむら)公園。四季折々に色んな花が咲き、また、緑が豊かな自然公園で、池や吊り橋、アスレチック設備や遊具などがあり、散策するのに楽しく、子どもたちの学習やレクリエーションの場であり、地域の人たちの憩いの場所。

取材日はあいにくの雨模様。天気予報では、午前中は曇りで、雨は午後から。うまくいけば夕方まで降らないかもということで、期待を持って出かけたが、到着前にすでにポツポツ。今回の旅女子は、三浦ちあきさんと2年ぶり2回目の上林君江さん(写真右)。この元気な2人なら、雨も吹き飛ばしてくれるはず…。番組内で、何の音だろうかという音が聞こえるが、雨の音だから。

杉村公園からスタート

大畑才蔵(おおはた・さいぞう)を知る前に杉村林之助(すぎむら・りんのすけ)について。橋本市出身の実業家で、なんとこの広い公園は、元私邸(旧宅と庭園)だったというから驚き。1970年に橋本市に寄贈されたものだという。杉村公園には、氏の胸像もある。橋本市御幸辻(みゆきつじ)、京奈和自動車道・橋本ICから、数分という場所。天気の良い日に訪ねてほしい。

☆番組は、ここから聞くことができます。

新緑というには濃い、みずみずしい緑が多く、ウグイスの鳴き声が響いていた。池の畔には、キショウブが満開だ。晴れていれば公園散策もと思ったが、今回は断念。久しぶりの上林さんは、かつて1回出演した番組(2017年8月放送「由良・湯浅、醤油のルーツと醤油香る町を訪ねる旅」)の教訓から、しっかり歩けるスニーカーで登場。カラフルな傘も持参。

杉村公園内にある「郷土資料館」にやってきた。ここに大畑才蔵に関する展示があるのだ。資料館前で顔出しパネルを見つけた。お約束のような展開だ。資料館に入ると、いきなりクマとキジが出迎えてくれる。「きょうどくん」と「ちいちゃん」という名まえだとか。「ちいちゃん」と呼ばれることもある三浦さんは親近感を持ち、上林さんは、キョロキョロと所狭しと並ぶ展示物に興味津々。

顔ハメボード発見

いきなりのクマ

とにかく展示物が多い。郷土資料館は、各地にあり、珍しいものや地域性の高いものが展示されているが、共通しているのは生活関連の展示物。この資料館には、それが多い。そして、橋本市出身の人物に関する展示がある。数学者の岡潔(おか・きよし)、水泳の前畑秀子(まえはた・ひでこ)に続き、土木建築の天才とも神様とも称される大畑才蔵の展示があった。

その代表的建築物として、小田井(おだい)用水路関連が中心となっている。設計に使ったとされる道具類や用水路の絵図、写真などが並ぶ。水平を調べるために自作したという水盛台(みずもりだい)があった。「世界かんがい施設遺産」登録につながる技術を支えた道具だ。和歌山県の小学校では、社会科の副読本に大畑才蔵についての記載がある。予習をしてきた上林さんは、その知識を披露。そして、水盛台を見たかったと話した。感心するばかりの三浦さん。

展示を見てまわる

大畑才蔵関連展示

【小田(井)頭首工】
大畑才蔵といえば小田井用水路。その始まり、紀の川からの取水口、小田頭首工(とうしゅこう)へ。橋本市高野口町小田にある。小田井土地改良区、事務局長の米澤一好(よねざわ・かずよし)さんが出迎えてくれた。パネルや資料も持ってきてくれていた。管理事務所で小田井用水路について教えてもらう。

「世界かんがい施設遺産」の登録証などは、紀の川市粉河にある事務所に展示されているという。小田井用水路などの模型もあるのだとか。ここも改めて訪ねたいところだ。そして、米澤さんの名刺の裏面にも登録証などのコピーが印刷されていた。すばらしい。

米澤一好さんの小田井解説

小田頭首工前で

小田頭首工は小田井堰(せき)ともいわれる通り、紀の川を堰き止めているダムなので、転落などの事故があってはいけないなどの理由から、普段は、管理事務所の敷地にも許可なく入れない。小田頭首工管理橋へも入れない。今回は、特別に入らせてもらった。そして、雨にもかかわらず、米澤事務局長に案内してもらう。管理橋の前には、小田頭首工と小田井用水路についての案内看板などもある。鮮やかな青色なのが管理橋。米澤さんとともに記念撮影を。

小田頭首工の管理橋へ

小田頭首工の管理橋

管理橋の銘板には小田井頭首工とあり、竣工は昭和の文字。農業設備、中でも用水路や堰は、水害などで壊れるたび、その時の技術で改修されていく。大畑才蔵によって小田井頭首工が作られた時には、鉄骨ではなく、蛇篭(じゃかご)といわれる石を詰めたかごなどで、堰き止められていたという。ここで、紀の川を堰き止め、堰上げることで、用水路に水を送っている。紀の川の水の流れもだが、用水路の水流も勢いがある。管理橋に入ると水音が大きい。

小田頭首工の管理橋で

小田頭首工の管理橋

今は、可動堰が3基(管理橋と一体)と固定堰が、200メートルあまりある紀の川の川幅をほぼ半々に分け、設置されている。管理橋の下に巣があるとかで、ツバメがたくさん飛び回っている。

小田頭首工の魚道

小田頭首工の固定堰

堰(ダム)なので、魚道が何本もある。アユなどがここを通って上流へ遡上していく。管理橋から紀の川の水面まではかなりある。歩いていると気づきにくいが、真下を見るとその高さに足がすくむ。

小田頭首工の管理橋から

小田頭首工の管理橋から

ここで取水された水が30キロ以上先まで届けられ、紀の川北部に1,000ヘクタールもの水田を生み出した。今も、この用水路で600ヘクタールほどの田畑が潤されている。この面積の違いは、都市計画の違いによるもので、小田井用水路の能力が落ちてたわけではないという。

小田頭首工の取水口

小田井用水路のスタート

小田頭首工の全景と、位置関係を知るために、九度山町の高台を通る農道や柿畑から撮影した。頭首工のすぐ下流に九度山橋があるが、紀の川がカーブしているので、九度山の町中や九度山橋からは見えない。

小田頭首工遠景

小田頭首工遠景

小田井用水路は、紀の川の北側を流れていて、かんがいしているので、九度山町は含まれない。だが、すぐ近く。昼食は、九度山町のグラタンカフェへ。階段を下りていくと店の入口がある。

グラタンカフェ


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