夏を楽しむ、有田の旅

【 世界初 】

「駅舎を3Dプリンターで作る」というのは衝撃的なニュースだった。3月のことだ。今回の旅は、そんな注目度爆上がりの駅舎、有田市にある初島駅(はつしまえき)から始まる。旅人は、三浦ちあきさん(写真左)と柳橋さやかさん。このコンビは、去年の夏以来、およそ1年ぶりで、通算21回目。有田地域を旅する。

放送3日前に、「有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム」が世界農業遺産に認定されたというニュースが飛び込んできた。旅の後半で、石積み階段園のみかん山を見ながら、その中をドライブする場面がある。眺めも素晴らしい。それらはあらためて紹介したい。ということで、今回の旅を始めよう。

JR初島駅から

JR初島駅から

☆番組は、ここから聞くことができます。

「駅舎を3Dプリンターで作る」と聞いてイメージされるのは、プリンターに設計データと建築素材をセットし、スイッチを入れると、駅舎が出来上がる(出来上がったものがプリントアウトされてくる)というものだった。しかし、実際には、工場で壁などの部材を出力し、現地で組み上げるということだった。それでも十分にスゴイことなのだが、そうか、そうか、そうだよな、となった。そして、3月のある日、現地に部材が運び込まれ、旧駅舎(当時は現役駅舎)の北側に、終電から翌朝の始発までの間の一晩で組み上げられた。
駅舎の質感を確かめる

駅舎の質感を確かめる

路線図と券売機

路線図と券売機

女子2人は、暑さよりもホットなスポット、JR西日本、紀勢本線の初島駅へ。小さくて、かわいくて、白い、新しい駅舎がある。高さ2・6メートル。バスケットゴールよりも50センチほど低い。広さは10平方メートルというから、畳6畳分くらい。三浦さんが言った「ショートケーキみたい」というのは、全体のイメージとしては言い得て妙だ。「3Dプリンターで出力された」という壁の質感が気になり、さわってみる。この行動が、他の新築物件では起きない。壁はデザイン的にデコボコしてるがちゃんと「壁」だ。駅舎正面には「みかん」、側面には「太刀魚」と、有田の自慢の特産2つが、立体的にデザインされている。近づくと、細いLEDライトが埋め込まれているのがわかり、日中も点灯していた。
時刻表と改札機(入場)

時刻表と改札機(入場)

ベンチと改札機(退場)

ベンチと改札機(退場)

駅舎というより、改札機能だけのゲートのイメージだ。中には、時刻表と券売機、ICカード改札機、それに、2席分のベンチがあるだけ。日が暮れてくると、LEDの明るさが感じられ始める。暗くなるにつれ、昼間とは違った美しさが際立つ。海岸部の石油コンビナートとともに、時代の趨勢を見てきたであろう、1949年に建設された旧駅舎は、やがて撤去されるという。
旧駅舎(左)と現駅舎

旧駅舎(左)と現駅舎

日没後のJR初島駅

日没後のJR初島駅

注目度が高かったことはもちろんだが、好奇心も刺激されて、番組ディレクターは何度も現地を訪ねた。そういう人は多かったのではないか。その時の駅舎の様子を写真とともに公開する。まずは、3月。駅舎の建設前。旧駅舎の隣に、建設スペースが確保されている。
旧駅舎(2025年3月)

旧駅舎(2025年3月)

駅舎建設地(2025年3月)

駅舎建設地(2025年3月)

4月。組み上げられた新駅舎。真新しいが、中にも外にも何もない。というか、いろいろ置かれている。
駅舎設置(2025年4月)

駅舎設置(2025年4月)

駅舎整備中(2025年4月)

駅舎整備中(2025年4月)

引き継ぎ間近となった7月。旧駅舎には、切り替え案内が掲示され、新駅舎側は、一部機器がシートで覆われ、駅舎自体にも進入禁止の囲いがあり、近づけない。
駅舎完成(2025年7月)

駅舎完成(2025年7月)

旧駅舎終了へ(2025年7月)

旧駅舎終了へ(2025年7月)

【 体力づくりと健康づくり 】

有田市健康スポーツ公園「BIG SMILE PARK」は、去年(2024年)3月にできたばかり。ここも有田市初島町にあり、初島駅から車で5分以内のご近所。まず広い。日本サッカー協会公認の人工芝ピッチ、えみくるフィールド(多目的グラウンド)や屋根付き多目的広場のえみくるドーム。健常者も障害者も老若男女が楽しみながら、体力づくりや健康づくりができる器具や遊具が並ぶ、えみくるランド、また、ウォークやラン用のコース、えみくるルートなど。隣接地には、2020年にオープンした有田市民水泳場、えみくるARIDAがあり、健康スポーツエリアが形成されている。いろんな施設名などにつけられている「えみくる」は、水泳場オープンにあたり公募などで決定された愛称。

えみくるドーム前で

えみくるドーム前で

鐘を鳴らしてみる

鐘を鳴らしてみる

夏休みまっただ中に訪れたので、たくさんの子どもたちの中の取材・ロケになると思いきや、猛暑過ぎて、誰も居ない。このため、遊具や器具などを独占できた。まずは、鐘を鳴らしてみた。放送ではカットされているが、この2人の過去の旅で、鐘を鳴らしたことがあったと思い出し、爆笑。2021年9月「すさみ、穴場を訪ね、奥深さを知る旅」の一コマ、「誓いの鐘」のエピソードだ。
三浦さんがボルダリング

三浦さんがボルダリング

柳橋さんがボルダリング

柳橋さんがボルダリング

小型のボルダリング、自転車、腹筋などいろいろやってみた。夏だけのお楽しみ、噴水広場にも行ってみた。
三浦さんが自転車漕ぎ

三浦さんが自転車漕ぎ

柳橋さんが腹筋

柳橋さんが腹筋

スタッフの南方華奈江(みなかた・かなえ)さんに話を聞いた。遊具や噴水は夕方(日没)までだが、公園自体は、夜9時半まで利用できるため、暑さが収まってからとか、仕事帰りなど、大人の利用がしやすくなっている。毎日歩きに来る人たちもいるそうだ。有田市は恵まれていると柳橋さんはうらやましそう。
噴水広場の女子2人

噴水広場の女子2人

BIG SMILE PARK の南方華奈江さんと

BIG SMILE PARK の南方華奈江さんと

【 てづくり 】

ランチは、有田市糸我町の「Lunch & Cafe よしだ」で。古民家のリノベーションや食器づくりをすべて手づくりしたというスゴイお店だ。柳橋さんが行きたいとお店があるというので訪ねたところ大当たり。限定20食の人気メニュー「とことん野菜DEおもてなしランチ」をいただいた。

黒板書かれたに人気メニュー

黒板書かれたに人気メニュー

ランチにご機嫌の三浦さん

ランチにご機嫌の三浦さん

オーナーで調理もする吉田安子(よしだ・やすこ)さんが楽しい。しゃべりたくて仕方がないけど、ひとりで切り盛りしているので忙しいと笑う。最高だ。訪ねたときはぜひ声をかけてほしい。
オーナーの吉田安子さん

オーナーの吉田安子さん

店の前で吉田さんと

店の前で吉田さんと

【 避暑地 】

最後は、みかん山をドライブ。ヘアピンカーブで標高を上げ、尾根伝いを走る。標高586メートル、鷲ヶ峰(わしがみね)の頂上にある「鷲ヶ峰コスモスパーク」に到着した。知らない間に有田市から有田川町へと入っている。「コスモスパーク」の名まえの通り、コスモスの花が有名だが、有田川を一望できる景色に季節は関係ない。訪ねたとき、コスモス畑は緑だったが、渡る風が涼しく、人影はない。まさに、穴場の絶景、避暑スポットを見つけた感じ。女子から、和歌山の北海道というフレーズが飛び出した。

有田川一帯の眺望を楽しむ

有田川一帯の眺望を楽しむ

風の館と景色

風の館と景色

季節を間違えたのか、早すぎたのか、ピンク色のコスモスが一輪咲いていた。コスモスパークには風の館という鷲をモチーフにした休憩施設がある。8月は土曜・日曜・祝日のみの開館だったが、9月・10月は毎日開館しているようだ。コスモスの開花状況は、ホームページで確認できそうだが、満開の頃は、例年、大混雑になるという。少し時期を外して訪れることをオススメしたいところだが、満開の景色を見たい気持ちも分かるので、気をつけて。
緑のコスモス畑

緑のコスモス畑

一輪咲くコスモス

一輪咲くコスモス

山全体でみかんを栽培しているみかん山、その中腹にあるみかんの丘まで降りてきた。といっても、眼下には、東西に有田川、南北に阪和自動車道が見えている。山肌を埋めるみかんの木には、まだ小ぶりながら、青い実がすでにできていた。そして、猛暑の中、スプリンクラーでダイナミックに水やりが行われていた。
小さな緑色のみかんの実

小さな緑色のみかんの実

みかんの丘からの眺め

みかんの丘からの眺め

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