【紀州漆器】
海南市といえば、日本三大漆器の一つ、紀州漆器の産地。それを歴史や工法、作品まで広く紹介する施設が紀州漆器伝統産業会館「うるわし館」だ。紀州漆器の産地の中心地、海南市黒江(くろえ)地区にある。今回の旅は、伊舞なおみさん(写真左)と大橋未歩さんで、この場所からスタートする。このコンビでの旅は6回め。そして、新型コロナウイルス対策で、終始マスクを着用するなどしての旅となった。
うるわし館前からスタート
☆番組は、ここから聞くことができます。
紀州漆器は、分業によって発展した産業・文化だ。室町時代に始まり、江戸時代に紀州藩のバックアップで花開き、明治の廃藩置県で陰りを見せるが、産地の工夫などで時代の流れを取り入れて、今なお良品の生産は続く。作品、製品には高級品もあるが、普段使いの日用品も数多くラインナップされる。電子レンジ対応のものもあって、生活の中に息づいている。
うるわし館前(正面側)
うるわし館前(駐車場側)
うるわし館の前には、歴史を感じさせる展示がある。漆の桶やそれを運んだ大八車、漆を生成する大きな桶もある。大橋さんが「大きなお盆」とか言ってる。確かに桶の中には、「日本一のお盆の産地」と書かれている。国産のお盆の大半が紀州漆器だという。そして、バイク。大橋さんが、マイバイクのようにポーズをとっているが、朱色の塗装は漆だったりする。かわいいようでもあり、重厚なようでもある。
バイクがお気に入り
うるわし館へ
うるわし館に入った女子2人は、所狭しと並ぶ作品・商品を見て回る。紀州漆器は、形の美しさと塗りの美しさに加え、装飾の美しさもある。その一つ、600年以上の歴史がある蒔絵(まきえ)という手法があり、ここでは体験ができる。女子2人もチャレンジしてみることに。
蒔絵体験は盆選びから
講師の谷岡公美子さん
「絵心はない」と言い切る伊舞さんだったが、体験では、下絵がすでに書かれているから絵心は必要ない。下絵に蒔絵の手法で色を付けていくのだ。体験の第一段階は何に色付けをするのかを選ぶところから。丸いお盆と小判型のお盆、それに、弁当箱の3種類があり、それぞれに下地が黒と朱色があり、さらに3種類ずつの絵柄が用意されている。伊舞さんは朱色の弁当箱で絵柄は金魚、大橋さんは黒い丸盆で桜の絵柄を選んだ。
伊舞さんの体験の様子
大橋さんの体験の様子
蒔絵は本来は漆を使うが、漆はかぶれるので体験では合成塗料を使う。それを接着剤代わりにして、色の粉を蒔いていく。だから蒔絵なのだそうだ。絵柄の線の内側を塗料で塗る作業が繊細だ。書道の小筆のような太さで、毛先の長い筆を使う。体験用に用意されたのは白い猫の毛だが、作家が使うのは湖の近くに住むネズミの毛だという。
色を付ける大橋さん
谷岡先生の指導
「ヤバい」を連発する伊舞さんと、終始楽しそうな大橋さん。グラデーションのつけ方も教わって、徐々に色が付けられていく。最初、わーわー言ってた女子たちが、作業に集中するとともに無口になっていく。ラジオなのに(笑)。そして、開始から1時間あまりで、ようやく完成!リピーターが多いというこの体験、わかる気がする。もう一度やりたい、今度はもっと、と思うのだ。
手伝ってもらう伊舞さん
蒔絵完成
体験を指導してくれたのは紀州漆器の伝統工芸士の谷岡公美子(たにおか・くみこ)さん。実は、和歌山県で女性初の伝統工芸士。谷岡漆芸の5代めで、根来塗を中心にした作品を手掛け、数々の受賞歴もあるすごい人なのだ。ということを、体験のあとで知って、一同ビビった。ありがたい。
紀州漆器の歴史展示
資料室を案内してもらう
その谷岡先生に、紀州漆器の資料室を案内してもらう。うるわし館には、歴史資料も充実しているのだ。谷岡先生の作品もあった。女子2人は、紀州漆器の奥深さに触れ、一層ファンになったようだ。
谷岡先生の作品
谷岡先生と記念撮影
【漆工場跡】
旧漆工場、田島漆店跡をリノベーションしたカフェに向かう。うるわし館から近い場所にあるため、少し歩いた。海南市の古い町並みは歩くのが楽しい。レンガ造りのレトロな建物が素敵な、そうげん堂に到着。
そうげん堂前で
そうげん堂店内
いろいろなサンドイッチがそろっている。バゲットのBBQ ポークサンドと具だくさんのスープをいただく。
BBQ ポークサンド
H.A.M サンド
食パンのH.A.M サンドも注文してみた。おいしかった。
漆樽
倉庫前風、古書店入口
週末だけ開店する古書店 OLD FACTORY BOOKSもあった。懐かしい本を見つけて、うれしそうな女子たち。
古書店 OLD FACTORY BOOKS
古書店 OLD FACTORY BOOKS
カフェスペースだけでなく、イベントやギャラリーにもなる倉庫スペースもある。漆の樽があったり、階段があったり、映える景色が目白押し。さながら探検気分で見て回る。
探検気分で旧工場内を
探検気分で歩いていく
映えるスポットに出会えば写真を撮る。今どき女子の定番炸裂。
田島漆店旧工場
田島漆店名高工場
【わんぱく公園】
大人の女子旅では、あまり行かないかもしれないわんぱく公園へ。だが、この2人にとっては聖地巡礼。お聞きの皆さんはわかるよね。和歌山放送の別番組「なーさんち。」から生まれた楽曲「和歌山臨海ABC」。歌っているのは、大橋さんがメンバーとなっているアイドルグループ、ふたばみすと。という訳だ。阪和自動車道、海南東インターも見えた。
わんぱく公園へ
わんぱく公園 風の子館
広い、遊具がたくさん、山もある。平日に訪れたが、親子連れや子どもたちのグループが遊んでいたり、くつろいでいたり。犬もいた。
全体が遊具の風の子館
展示が多い風の子館
大きな建物、風の子館には展示もたくさんあったが、それ自体が大きな遊具になっていることに驚く。
遊具がいろいろ
童心に帰りすぎの伊舞さん
ホップ、ステップ、ジャンプと年齢別に分けられた遊具群で大はしゃぎの大人女子2人。
遊具に上る2人
遊具で遊ぶ大橋さん
遊具で遊ぶ伊舞さん
遊具で遊ぶ大橋さん
わんぱく公園には森林エリアもあり、周囲には池もあった。池は現在、埋め立て工事が進められている。防災施設になるようだ。
わんぱく公園で女子2人
わんぱく公園で女子2人
【かんぶつとお菓子】
阪和自動車道の海南インターチェンジ近くにある乾物の卸を手掛ける「野田商店」があり、その一角では、乾物由来のスイーツを開発、販売する「3時のかんぶつ屋さん」がある。
3時のかんぶつ屋さんへ
かんぶつスイーツを選ぶ
乾物とスイーツ、一見結びつかないこの2つだが、ヒジキのシフォンケーキをはじめとする数々のヒット商品がここにはある。やさしくて、おいしくて、体によさそうな乾物スイーツにすっかり魅せられる女子2人。店内で試食もさせてもらった。幸せ感に浸る女子2人。
試食タイム
試食スイーツ
野田商店の3代め、乾物スイーツの生みの親、野田智也(のだ・ともや)社長に話を聞いた。乾物愛にあふれ、エネルギッシュ。素敵だ。来月(3月)6日には、倉庫をリノベーションして、店舗を拡大オープンするという。乾物と乾物スイーツのほかに、一般食材も扱うとか。そして、ゆくゆくはカフェもオープンしたいと意気込みを聞かせてくれた。※放送時は、リニューアルオープンに向けて休業中。
野田智也社長に聞く
オープン間近の店舗へ
3時のかんぶつ屋さんのマスコット「かんぶっちゃん」がかわいい。頭に乾物を乗せた働き者だそうだ。店内にはぬいぐるみもあった。
イラストがかわいい
きいちゃんとかんぶっちゃん
写真は、旧店舗ということになる。リニューアルオープンしたら改めて訪ねたい。カフェにも大いに期待しよう。
野田智也社長と
野田商店全景
乾物スイーツと直接関係はないが、海南市はお菓子の町なのだ。そこで、お菓子発祥の地ともいわれる海南市下津町の橘本(きつもと)神社を訪ねた。みかんの原種ともいわれる橘(たちばな)が植えられた場所。3時のかんぶつ屋さんには、この橘の実を使った乾物スイーツもある。
橘本神社へ
橘本神社の橘
熊野古道の所坂王子でもある。大橋さんにお菓子と神社の歴史を読み上げてもらった。
お菓子と神社の歴史を読む
橘本神社に参拝
【御所の芝】
旅の最後は絶景地。この番組のひとつのパターンにもなっている。橘本神社からの熊野古道つながりで、「紀伊路随一の美景」と称される「御所(ごしょ)の芝」に向かう。現在は同じ市だが、海南と下津の間にある峠にあたる。熊野古道、地蔵峯寺(じぞうぶじ)と、藤代塔下王子(ふじしろとうげおうじ)がある。お寺に参詣し、少し山登る。
地蔵峯寺に参拝
地蔵峯寺から少し歩く
絶景スポットには、切り株状のベンチがある。眼下には、和歌山マリーナシティや海南の工場群があり、遠景は、和歌山市や友ヶ島、淡路島や神戸方面まで見通せる。この日は、曇りがちで、時間的には夕景だったので、幻想的な景色を見ることができた。実はここ、知る人ぞ知る夜景の名所だということだが、夜にここに来るのは、なかなか大変だと思われる。
御所の芝へ
絶景をバックに女子2人
3時のかんぶつ屋さんで買ってきた白ごまプリンをいただく。おいしくて幸せ。新旧がうまい具合に融合する海南市の旅だったなぁと感慨深い女子たち。
紀伊國名所図会
御所の芝でスイーツを食す
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