橋本から、紀の川の水を西へ “大畑才蔵”を訪ねる旅

【龍之渡井】
小田井土地改良区の米澤事務局長に紹介してもらった小田井用水路途中の代表的施設「龍之渡井(たつのとい)」。世界かんがい施設遺産で、登録有形文化財、疎水百選、土木学会選奨土木遺産と、枚挙にいとまがない数々のタイトルを持つ施設。大畑才蔵によって作られたときは木製だったが、今は大正年間に作られたレンガ造りのイギリス積みのアーチ橋が美しい。かつらぎ町と紀の川市の間を流れる紀の川の支流、穴伏川(あなふしがわ)を越える水路橋だ。小田井用水路の中で一番の難工事箇所だったという。穴伏川の脇には棚田がある。このアーチ橋の上は歩道もあるが、メインは水路、水が勢いよく流れている。車は通れない。

龍之渡井のアーチ橋

龍之渡井で女子2人

このアーチ橋を見たかったという上林さんだが、橋の上までいくと当然ながら、橋は見えない。少し離れると、緑の中に全容が見えてくる。近くに、医聖・華岡青洲(はなおか・せいしゅう)顕彰施設で道の駅「青洲の里」がある。ここから、水路とともに、「龍之渡井までウォーキングしてみては」という案内があるのだ。青洲の里に車を止めて歩いてみるのもいいだろう。ただし、往復に小1時間ほどかかる。龍之渡井へのアクセスは、穴伏川右岸の国道480号を使うと車で行ける。駐車スペースがあるが、1台分なので長居はしないように。ここにも施設の案内看板がある。

龍之渡井で女子2人

龍之渡井

龍之渡井はアーチ橋だけではない。30メートルにわたる水の流れと、水の分岐などがある。そのあたりを見て回れるようになっている。

龍之渡井

龍之渡井

龍之渡井

龍之渡井

龍之渡井

龍之渡井を覗き見る

水路は、川を越えたり、家や道路の下を通ったりしながら西へと伸びている。龍之渡井近くにも、家の下をくぐっている水路を見ることができる。女子2人も興味津々でのぞき込む。

みかんの花

柿の花

頭上に柿の花が咲いていることに気が付く。香りは特にしない。肉厚の花である。初めて目にしたという。ではこの甘い香りは何?見回すと、みかんの花が満開だった。用水路は柿畑やみかん畑も潤しているのだと気づく。そういえば、紀の川市はバナナとパイナップル以外何でもとれる果物の町だった。

龍之渡井を眺める

龍之渡井遠景

【用水路は続く】
紀の川市の粉河寺(こかわでら)へやってきた。放送日直前、日本遺産「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼~」の構成資産として認定された。西国三十三所では第三番札所だ。すっかり雨が本降りになっていた。小田井用水路は、まだ西へと伸びているが、粉河寺の境内地に、大畑才蔵翁彰功之碑(しょうこうのひ)があるのいうので立ち寄った。大きな碑である。

粉河寺大門で女子2人

大畑才蔵翁彰功之碑前で

巡るほどに、旅が進むほどに、大畑才蔵のすごさ、小田井用水路のすばらしさを実感した。旅のゴールは、岩出市根来(ねごろ)の道の駅「ねごろ歴史の丘」。小田井用水路の終着地も根来川だとか。上林さんは鳥肌が立つ思いと言ったが、今回の旅のプランに、そんな深い考えがなかったことを記しておく。

また、大畑才蔵とその功績を顕彰する「大畑才蔵ネットワーク和歌山」という組織がある。来年(2020年)は、大畑才蔵没後300年になる。記念のイベントも計画中だという。情報はホームページで公開されるというので、チェックしてほしい。


【関連リンク集】

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