【寺内町】
小竹八幡神社の道路をはさんだ向かい側の壁に、大きな寺内町散策マップがある。まずは現在地と目的地を確認する。このあたりは、「御坊」の名の由来にもなっている本願寺日高別院の寺内町。そこまで歩くことにする。
南さんによれば、子どものころ(云十年前)とさほど景色は変わっていないらしい。その証拠というか、歩き始めると、両サイドのお店の解説と並んで、かつての記憶が蘇る。「なつかしい」と声が漏れる。
下川(しもかわ)という小さな川は、少しの雨で氾濫していたらしく、そばの道とともに拡幅されたらしい。その際に、お地蔵さんが移築された。「茶免(ちゃめん)地蔵」。その昔、お茶を租税としていたといういわれ書きを読み、「初めて知った」と南さん。ちょっとちょっと。
おもしろい茶免エピソードと、移築された先でかつての姿を残す地蔵堂の写真を載せておく。
南さんのふるさとガイド&思い出話を聞きながら歩く寺内町。三浦さんは、町並みの景色も話を聞くのも楽しそうだ。そんな時「入場無料ですよ」と声を掛けられる。「御坊地内町会館」とある。2年前にオープンしたという。声の主は、片山隆(かたやま・たかし)館長だった。開館日は、火、金、土、日、祝日で、運営主体は御坊商工会議所だという。
入ると正面に、御坊生まれといわれる宮子姫(みやこひめ)と、ゆかりの場所がある有間皇子(ありまのみこ)の展示があり、右側には御坊祭関連展示があり、左側には和田勇(わだ・いさむ)資料館と書かれているスペースがある。他にも、寺内町や御坊の色んな展示がある。マップやチラシも充実している。お菓子の展示もある。
そんな中、先の東京オリンピックを呼んだ男といわれ、御坊市の名誉市民第1号でもある和田勇さんの話に感動し、館長の話に聞き入ってしまう。「知っておくべき人、功績」と話す館長。「和田さんのことを多くの人に知ってほしい」とも。ぜひ、御坊寺内町会館で片山館長から和田さんの話を聞いてほしい。
和田勇
1907年~2001年◇アメリカ生まれの日系二世で幼年期(4~9歳)を御坊市で過ごす。アメリカで、農作物の小売りチェーン店で成功。戦後まもない1949年、全米水泳大会出場の日本人選手や関係者に、自宅を提供して支援。フジヤマのトビウオといわれたこの大会での日本人の活躍の功労者。東京オリンピックの招致に向け、日本政府からの要請を受け、政府に代わり、自費で中南米などの国際オリンピック委員を訪問、東京開催の支持を取り付け、1964年の東京オリンピック開催に大きく貢献した。困っていれば人でも国でも支援するという思いは御坊時代に培ったとされる。そして、生涯を日本とアメリカの架け橋に、日系社会の支援に尽力した。2004年、御坊市初の名誉市民に。(和歌山県web、御坊市webから)
寺内町歩きの終点は、本願寺日高別院。「御坊さん(御坊さま)」と呼ばれ、御坊市の名まえの由来となっているお寺。そして、南さんも卒園生という幼稚園でもある。この日も子どもたちの元気な声が聞こえていた。「本堂で色んなことを教わった」「かくれんぼした」「鼓笛隊の練習した」…南さんの思い出話は続く。大きなイチョウの木があることでも知られ、晩秋には黄色く色づいた美しい姿を見せる。その季節にも訪ねたい。
【おまけ】
(1)花火大会!
8月最終土曜日(ことしは8月25日/午後8時~9時)に日高川の右岸(北側)堤防道路などを通行止め(歩行者天国)にして、御坊市花火大会が行われる。左岸近くから打ち上げられるたくさんの花火、水上花火など。夜風に秋の気配を感じながら、ゆったり楽しめる迫力満点で美しい花火大会。という告知で終わった女子旅。その会場に最近できた津波避難タワー前から、日高川を眺めながらのエンディング。御坊愛あふれる南さんからのオススメだから、花火大会へぜひ。
(2)はまぼう
日高川河口近くの国道42号沿いの水辺に、夏に咲く黄色いフヨウのような花「はまぼう」。この地は御坊市指定天然記念物で群生地という。この季節の花。御坊市のシンボルのひとつ。市の花「こぎく」、市の木「くろがねもち」、市の花木「はまぼう」となっている。
(3)緑の中を走る紀州鉄道
女子旅取材では、紀州鉄道に乗車してしまったので、別の日に走行風景を撮影に再び御坊市へ。電車を待つ間、近くの田んぼを見渡していると大きな鳥を発見。アオサギのよう。そーっと近づいてこちらも撮影した。
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