【重点道の駅】
全国に数多ある道の駅のうち他の模範となるべき特徴があったり、先進的な取組をしているところを、国が認定しているのが重点道の駅。今回のスタート地点となったすさみ町の「道の駅すさみ」は、紀勢自動車道の現在の終点、すさみ南ICから近く利用しやすく、いつも賑わっているが、それだけじゃないということ。この道の駅は「防災」重点道の駅。住民や観光客を守る役割もあるのだ。
そんな道の駅を旅のスタートに選んだ三浦ちあきさんの今回の旅のパートナーは五島奈津紀さん(4回目/写真右)。ここは道の駅に新しく整備された飲食も休憩もできるデッキ。そして、旅は,ここから海岸線に沿って北上する。
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道の駅すさみの特徴は、駐車場が広く、すさみを中心にした紀南の観光拠点になっていること。飲食店、お土産、それに観光施設「エビとカニの水族館」があることなどが挙げられる。そこに、デッキスペースと鮮魚販売スペースが新たに設けられた。鮮魚商会はこの日休みだったが、新鮮な魚を求めて、遠来のお客さんも多いと聞く。
そんな道の駅に、今年4月、すさみ町消防団第二分団の屯所が設けられた。施設の老朽化による立て替えの意味もあったようだが、新しい交通の要衝に、防災拠点ができたことは力強い。そして、その屋上スペースが展望台として開放されている。眼下には、国の天然記念物で、暖地性植物群落がある貴重な島、江須崎を含む、絶景が広がっている。そう、少し目線が高くなるだけで、潮風を感じられる新しい眺望スポットとなっている。道の駅すさみを訪れた際は、ぜひとも昇ってほしい。
女子2人もここは仕事でもプライベートでもよく立ち寄るという。そして、この日も地元の物産をちゃっかりお買いものをしたようす。さぁ、旅を始めよう。
高速道路の紀南延伸は今も続く、悲願の紀伊半島一周高速道路整備も夢のまた夢ではなく、現実性が生まれて来つつある。このすさみの地も、紀勢自動車道の開通により、アクセスが良くなり、安全に短時間で訪れられる場所になった。しかし、そのルートは大半がトンネル。途中の景色は楽しめない。そこで、今回の旅では、あえて国道42号やさらに県道なども使って、海岸沿いを北上してみようという企画。絶景も発見もきっとあるはず。
【恋人岬と夫婦波】
道の駅すさみを出発した女子2人が、最初に立ち寄ったのは、恋人岬。「恋人岬・夫婦波観潮」大きな木の案内板が駐車場へと誘う。ここは、岬の先に、陸(おか)の黒島(くろしま)、沖の黒島が見られるすさみ八景のひとつ。特に、岬の正面にある陸の黒島は、打ち寄せる波を左右に分け、島と岬の間で再び会わせるという絶景を作り出している。
左右からゆっくりと、やさしい波が寄せて来て、目の前で合わさる。その様子から合掌波とも呼ばれるが、ここは恋人岬、やはり、夫婦波が合っている気がする。眼下の岬の崖には、情熱の花、ブーゲンビリアが一年じゅう咲いている。ここで永遠の愛を誓ったカップルも数多いはずだ。今回は女子2人だが、恋人写真を撮ってみた。
【高浜海岸】
恋人岬からすぐ近く、国道42号のトンネルを一つ通り抜けると、右に県の畜産試験場、その先の左側に高浜海岸が見えてくる。高浜海岸には千畳敷もあり、景勝地であるとともに、釣スポットにもなっていて、多くの釣り客が訪れる。この日も、海岸の先に釣り人の姿があった。そんな海岸を望む場所にかわいい石像がある。魚(たぶん鰹)を抱いたイノブータン大王の石像だ。インスタ映え間違いなし。女子2人もさっそくスマホのカメラを向けていた。イノブータン大王は、イノブータン王国の国王で、イノブータン王国はイノブタをPRしようとすさみ町が作ったパロディ国家、ミニ独立国。このイノブータン大王の石像は、田辺海上保安部が海難事故防止にライフジャケットの着用を呼びかけるために、地元自治体らと協力して設置したもので、ここを含め、町内に2か所ある。
和歌山県畜産試験場は、イノブタのふるさと。1970年にここで初めてイノブタが誕生し、すさみ町では特産化を進め、現在に至っている。
高浜海岸のすぐ近く、国道42号沿いに道の駅イノブータンランドすさみがある。女子2人はここにも立ち寄る。ここは建物の形がお城チック。そう、かつてイノブータン城として、イノブータン王国をPRする、すなわちすさみ町をPRする一大拠点で、観光案内や物産販売も盛んだった。いまは、紀勢自動車道の開通で、その役割の多くは道の駅すさみに移り、物産販売も行われていない。とはいえ、いまも観光拠点であることに変わりはなく、すさみ町の色んなパンフレットが揃い、移住定住への相談拠点になっている。館内のイノブータンファミリーのイラストや大王のキャラクターは健在。そして、屋外には、ケンケン鰹漁の顔出しパネルがある。あれば、顔を出してみるよね。