発見!お宝!北山村
2016/05/29
近くなった北山村
国道168号宮井から国道169号を経て北山村へ。この国道169号が行くたびに改良が進んで、どんどん走りやすくなっていく。中でも、去年の紀の国わかやま国体を前に奥瀞道路のⅡ期工事区間が開通し、北山村が飛躍的に近くなった。実際の距離以上に直線化と拡幅の効果で運転が楽になり、疲れが激減した。和歌山市から約3時間、田辺市から約2時間、新宮市から約1時間という北山村。推奨はしないが、県内各地から北山村日帰りが可能になった。そして、迎えたオン・シーズン。ことしも5月3日から観光筏下りが始まった。
北山村の奥田貢(おくだ・みつぐ)村長は、相変わらず元気だ。これまでは筏を目当てにした人は北山村を訪れてくれたがそれ以外はあまりなかったという。それが、奥瀞道路Ⅱ期工事の完了で周遊観光が可能になり、いくつものコースやプログラムが開発できるといい、防災的にも孤立することはなくなり、住民にとって安心安全な暮らしが確保された。さらに、ことし、奥瀞道路のⅢ期工事が新規事業として決まった。筏下りの終点付近(北山村小松)から、道の駅おくとろ付近(北山村下尾井)間で、現在は、狭い暗いトンネル1箇所を含む、やや狭い道路の区間が、7~8年、あるいは、10年後には、改善される。
北山村のオン・シーズンは夏が中心で、観光筏下りを筆頭に、ラフティングやカヌーなど、北山川を活用した川のレジャーが盛んになる。このうちのカヌーについて、ことしから競技大会をスタートさせるという。去年の国体でカヌー関係者から国内屈指の良いコースとお墨付きをもらったことから、これを活かしていこうという作戦だ。ことしは、コースはやや下になるが、村の観光協会が中心になって「第1回じゃばらカップ」を開催する。6月18日・19日。実行委員会メンバーでもある教育委員会の小林賢司(こばやし・けんじ)さんにも話を聞いた。和歌山放送新宮支局の引本孝之(ひきもと・たかゆき)さんも言い出しっぺのメンバーという。今は、手探りで、草レースも同然だが、徐々に大きく、メジャーにして、将来は、日本選手権やワールド・カップなどの開催へと育てたいと夢が広がっている。村長も北山村をカヌーのメッカにしたいと後押しする。まずは、大会を、会場を見てほしいと小林さん。
全国唯一が詰まった観光筏下り
筏師の朝は早い。筏下りは1日2便。午前は11時出航。だが、準備は、朝6時から始まる。筏を出発地点の音乗(オトノリ)で北山川に降ろし、繋いで組み上げ、乗客用のイスや手すりを装着するところから。
その昔、山から切り出した木材を筏に組み上げて、河口の新宮まで流していた当時とは異なり、上流にダムができたことで、普段の水量は少なく調整されている。このため、筏の出発にあわせて、放流量を増やしてもらっている。このため、早めに出発地点に行くと、徐々に水位が上がっていくのが確認できる。
北山川には多くのわき水が流れ込んでいる。滝も多い。筏の際まで降りてきた中川アナが、試しに足を湧き水の流れに浸けてみる。表情がみるみる「冷たい…」に変わっていく。
今回の取材では、筏師さんにも話を聞こうと、早めに到着。私たちの取材の間に徐々に水位は上がっていった。それにしても、緑も水もなんときれいなことか。筏下りに大勢が訪れるのは7月8月が中心となる。シーズンが始まったばかりの5月は、まだ水が冷たかったりする。しかし、水の澄み具合、緑のみずみずしさ、それが映り込む水面など、一番きれいなのはこの時期という。
筏運航責任者の筏師、山本正幸(やまもと・まさゆき)さんにお話をうかがう。
山本さんは北山村の出身。しかし、大阪で建築系の会社に勤めたあと、30歳で家族とともにUターン。奥さんも村の出身という。大阪時代も、仲間と北山村に来て、ラフティングなどを楽しんでいたのだとか。重量もある大きな筏を櫂(かい)1本で操る筏師に興味を持ち、ちょうどそのころ始まった筏師養成に加わったと話す。山本さんは2期生で、当時は、かつて木材を新宮まで筏で流していた年配の筏師も多くいて、技術を教わったという。
去年から筏師の見習いを始めたという新人筏師・中村彰人(なかむら・あきひと)さんにも話を聞いた。埼玉出身。後ろから、筏師を見ているとすごく格好イイ。早くあんな風になりたい。あいつに任せておいたら大丈夫といわれる筏師を目指して、技術習得に励む毎日という。
気づけば、水位が随分上がり、筏師さんたちが準備に動き回る姿が。お客さんを乗せたいかだの後ろには、見習いの筏が続く。
出発するとすぐに急流(瀬という)がある。音乗は、弟乗が語源。急流のため長男ではなく弟に乗せていたという。それほどの激流で、筏師の腕の見せ所でもある。毎回緊張し、気が抜けないポイントだと山本さんも話していた。そして、この急流を下る筏を観光カメラマンが狙っている。この写真が最もよく目にする筏下りの写真となる。したがって、急流の連続と思いがちだが、約1時間10分の筏下りのうち、時間的には、流れの緩い(渕という)箇所が多く、筏師さんが、漕ぐ。渕は、筏師さんに話しかけるチャンスとも言える。
キュッキュッという櫂を動かす音がする。かえるの声、鳥のさえずり、流れ落ちる小さな滝の音などの水の音…。色んな自然の音がする筏の上、近くの筏師・番家誠(ばんや・まこと)さんに、話しかけてみた中川アナ。そして、番家さんは、筏師でただ一人の筏製作者と知る。毎年5乗(ノリ・筏の数え方)つくるのだという。毎年、5乗破棄にするということも知る。たいへんだぁ。
瀬や淵のなまえ、岩に生えている草花なども教えてくれる。赤いツツジ、紫のイワチドリなどが見られた。黄色の花もあった。大きな岩も落ちていた。紀伊半島大水害の影響という。北山村のシンボルの一つだった吊り橋の取り付け部分だけが残っている姿も。そういうものも含めて、筏での川下りを楽しむ。
芸術的な景色の中をゆく、職人技の筏師が操る筏。自然に抱かれ、包まれる心地よさがある。また乗りたい。誰もがそう思うに違いない。
ジャバラの花
道の駅おくとろは北山村の観光拠点。一角に特産の柑橘じゃばらが植えられている。白い花が咲いていた。
いまでこそ全国唯一でなくなったとはいえ、北山村にじゃばら畑は多い。ということは、一面真っ白な花畑の景色が見られるのではないかと、畑も案内してもらう。
筏師で、じゃばら農園管理責任者の宇城公揮(うしろ・こうき)さんに話を聞いた。道の駅のじゃばらが一番早く花をつけるという。農園はすこしだが、標高が高い分、少し遅れて咲く。まもなく、一面真っ白の季節はやってくるらしい。惜しい。
少し咲いていた花で香り確認すると、清々しい爽快感。まるでジャスミンのよう…と中川アナ。
あっちもこっちも
観光産業課の田岡課長が細かく北山村を案内してくれた。今回初めてという所も多く、ありがたかった。そして、観光センターの展示を前に、筏の歴史や変遷など、全般のお話しをいただいた。
ちゃんと、いろいろまわっている北山村。感心することばかり。
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