発見!お宝!海南市
2016/11/21
秋の行楽シーズン~町歩き・町めぐり~スペシャル
秋祭りは楽しい
10月9日(日)は、海南市内の多くの神社などで秋祭りが行われた。それぞれに趣向を凝らした特色ある祭りを行っていると聞いたが、さすがに全部を回ることはできない。そこで、この日に祭りがある熊野古道沿いの3つの神社を選んで、駆け足で巡ってみた。
金色の獅子頭が軽やかに舞う~藤白神社
京都から船で大阪へ、そこから始まる熊野古道。紀南の熊野三山までの信仰の道。その道中に数ある王子社のうち、格式が高いとされる五体王子(ごたいおうじ)がある。そのひとつ、海南市藤白(ふじしろ)にある藤白神社(藤白王子)では、この日、秋祭りが行われた。前夜からの雨がようやく小ぶりになり、そろそろ上がるかという午前8時、拝殿に藤白の獅子舞保存会のメンバーら関係者が集い神事(出発式)が始まった。
この獅子舞は、鎌倉時代の建仁(けんにん)元年(1201年)、後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)の熊野御幸(くまのごこう)に際し、旅情を慰めるために演じられたのが始まりとされ、県の無形民俗文化財に指定されている。
一度止んだ雨が再び降り出す中、穴からはい出した獅子と天狗(てんぐ)が戯(たわむ)れるさまを保存会のメンバーが笛や太鼓にあわせて演じ、奉納された。
獅子舞の奉納が終わると、保存会のメンバーは海南市内に繰り出し各地で舞い、夕方、再び、境内で舞うという。
泣き声が大きいのは元気の証~山路王子神社
昼を過ぎて、海南市下津町市坪(いちつぼ)の山路(やまじ)王子神社に到着した時には、すでに大勢の見物客で境内は熱気に包まれていた。ここは、熊野古道の一壺(いちつぼ)王子。こちらでも獅子舞の奉納演舞が行われていた。獅子頭は赤色。天狗が2体ダンシングに獅子の周りを飛び跳ね踊る。そして、獅子の首が伸び上がった!境内は大拍手。
ここの呼び物は泣き相撲で知られる奉納花相撲。県の無形民俗文化財となっている。そう、山路王子神社には土俵がある。
行司姿の子どもが、力士姿の2人の子どもを引き連れて土俵に上がり、恭しく口上が始まった。
来賓として訪れていた地元選出の国会議員と県議会議員による泣き相撲が行われた。続いて、保存会のメンバーによって本格的に取り組みが始まった。赤い回し(ふんどし)姿のまだよちよち歩きの子どもが土俵に上げられ、互いの体を合わせ、そのあと、背中に土がつけられる。意味は、土の感触を知り、労働の大切さを知るということらしい。今は、子どもの無病息災、健やかな成長を願い、また、スポーツ始めともされる。
普段とは違う、大勢の人の中で裸にされ、回しを締められ、土俵で仰向けにされる子どもたち。始終大きな泣き声が上がる。大きな泣き声は元気の証とばかり、見物の大人たちからは笑い声と歓声と拍手が起き、みんな笑顔だ。
お菓子のルーツはみかん~柿本神社
熊野古道の所坂(ところさか)王子にある橘本(きつもと)神社。お菓子の神様として知られる。お菓子のルーツはみかん、そのルーツは橘(たちばな)といわれる。この日はみかん祭り。ちなみに、橘本王子は近くに別にある。
祭りめぐりの私たちが到着した時は、奉納獅子舞の終盤。そして、最後のお楽しみ、餅撒きへと移っていった。
中川アナもしっかり餅撒き参戦のように見えるが、写真撮影中だったという(本人談)。でもちゃっかり、お餅もゲットしていた。
この日は、みかん祭りの名まえの通り、地元で獲れたばかりのみかんや、お菓子などが奉納され、収穫を祝う神事が行われたという。境内には、奉納されたみかんなどが積み上げられていた。
秋祭りはみんなを笑顔にする。次回は、別の神社を回ってみようと思った。皆さんもいかが。
思い出にタイムスリップ~海南市中心部
海南市内で町歩きを敢行した。海南は古い路地や商店が散在し、幹線道路から1本中に入ると、ワンダーランドのよう。観光マップに載っている名所ではなく(名所も含む)、その場所をよく知る人に、よく知る町を歩いてもらおう、その人の記憶からたどる町の様子を聞いてみたい。そんな思いで、海南市出身のフリーアナウンサー、笠野衣美(かさの・えみ)さんを特別ゲストに呼んだ。スタートは、笠野さんの母校、懐かしい市立日方(ひかた)小学校。中川アナを伴って、ゴールを決めずに歩き始めた。
「ただ歩くだけで大丈夫?番組になる?」と心配してくれた笠野さんだったが、歩き始めるとスイッチが入った。車ではなく歩くというスピードが、ゆっくりと記憶をタイムスリップさせていく。
日方川沿いを歩いていくと、JR海南駅前へと通じる幹線道路、旧国道に出た。「ここには、むかし国鉄(現・JR、今は高架)と野鉄(のてつ/野上電鉄・1994年廃線)と市電(しでん/南海和歌山軌道線=路面電車・1971年廃止)の3本の線路が通っていた」と笠野さん。その名残か、3つのバス停が立っていた。
JRの高架の方を指さし「あのあたりには市場があった。あの大きな建物は名残じゃないのかな」と話したところに、自転車で通りかかった男性ひとり。なんと、同級生だという。この通り沿いに店を構える電気屋さん(鍋島商会)。
いまもある、あのころ(笠野さんが小学生のころ)よく行ったお店の情報を交換し、栄通りに行くことに。
「右・くまの」と書かれた道標があるほこらの前を通っていくと「あれ?アーケードは?」と笠野さん。かつてはあったらしいアーケードは今はなくなっていた。
「ここの粉屋さんもずーっとやってる」とお店に入っていく笠野さん。芳川(よしかわ)粉屋さん。「ことしは北海道が台風の被害で商品が入ってこない」という情報をもらったり、小豆や豆が入っている容器は、「むかし木地屋(きじや)さんに作ってもらった」と、漆器の町らしいお話しも聞けた。
柿本神社の参道でもあるという道を進む。伊勢部柿本(いせべ・かきもと)神社。「景色が変わってる!」JRが高架になったことから、それまで見えていた鳥居が見えないというのだ。そして、「遊び場だったから、毎日のように来ていた」という神社への参道には、これまた高架の影響で踏切がなくなっていた。踏切の代わりに、高架線路の下をくぐる。近づくに連れ、鳥居が見えてきた。
「社務所とか大きくなったかな、建て替えられた?」と笠野さん、「石段の上でお参りして、おみくじを引いて水にくぐらせる水みくじ・・・来たことがある」と、中川アナの記憶も蘇る。仲良くお参り。家に向かって「おかあちゃ~ん」と無邪気にも大声を出していたという笠野さん。今は、高台ということもあり、神社の裏山の入り口には海南市の指定避難所の看板があった。
神社をあとにして栄通りを再び。文房具屋さん、はかり屋さん、そして、給食のパン屋さん。
給食のパンは今春からやめたというパン屋さん。今はご飯を供給しているという。
大きい通りに出た。おなじみのずぼら焼き屋さん。店主の奥さんと同い年だったことが判明した笠野さん。小学校は違った。「同じだったら友だちになれて、毎日、ずぼら焼き食べ放題だったのに…」と、そんな訳はないんだけど。
去年、国体を前に広く明るくなった城山(しろやま)トンネルにも行ってみることに。ピアノ教室へ通う途中にあったトンネル。「怪獣が大きな口を開けているようで、灯もなく、怖かった」という記憶が嘘のように、両側に柵のついた歩道があるトンネルに生まれ変わっていた。そして、町歩きは終了。1時間半ほど歩いただろうか。
このトンネルを抜けると黒江(くろえ)・川端(かわばた)通り方面へ。11月最初の土日には、紀州漆器祭りが行われる場所だ。
かつてよく行った場所として、笠野さんがもう一つ紹介してくれたのは、海の近くの堤防の…。ここは、ムーンブリッジの下。お父さんやお兄さんと釣りに行ったんだとか。今は工事中で入れない。残念。
2人が気づいていたかどうか、話題には上らなかったが、随行した髭白アナが気づいたものひとつ。キンモクセイの大きな木が多いということ。そして、この時が、満開で香しい海南市だったということ。
歴史がつまった日本庭園~温山荘
海南市民はもちろん、和歌山市民も、子どものころに学校の遠足で行ったことがある人は多い「温山荘(おんざんそう)」。一度ちゃんと訪ねたいという髭白アナが向かった。「温山荘」または「新田さんの別荘」として親しまれているが、正式には公益財団法人「琴ノ浦温山荘園(ことのうら・おんざんそうえん)」。そして、園だから、園長さんがいる。
園内にある主屋の中で、田中紀生理事園長と細川誠市常務理事に話を聞いた。愛媛県松山市出身で、ベルトのニッタ創業者、新田長次郎(にった・ちょうじろう)という人物が、温山荘園を作った人で、現在もここはニッタグループの所有地。管理・手入れがされている。
日本庭園のイメージだが(間違いではないが)、主屋を見てもらわないと、「温山荘園のホントのところは分からない」と園長。「ここから見るように作り込まれているから」そして、主屋には、「新田長次郎氏の人生がつまっているから」と。友情の庭園と呼ぶにふさわしい、歴史に名を残す数々の人が訪れ、愛した庭園だという。庭園や建物の構造も面白い。高貴な方を迎えるための秘策にも富んでいる。地下があったり、トンネルがあったり、船着き場があったり。かつて、下津の大﨑まで見通せたという話も聞いた。夕日がきれいだったらしい。
特別に見せてもらった主屋の地下には、ダンスホールがあった。ビリヤード場もかつてはあったという。外見は和の建物だが、地下は、早くから外国文化を取り入れた洋のアミューズメント施設となっていた。温山荘のイメージが変わる。
大きな池は、海水を引き込んでいる。なので、海の生き物(魚)の姿を見ることもあるという。前園長はエイに遭遇したとか。
かつて、子どものころに来たかも知れない場所は、実は、大人が楽しめる場所だったんだと知った髭白アナ。この日雨だったこともあり、近々再び訪れるに違いない。
庭を見るのに良い季節は「春と秋」とのこと。歴史好き、建物好きの方、それに、新田長次郎やニッタグループについて知りたい方は、気さくな田中園長をぜひ訪ねてほしい。
海南市イベント情報
11月5日(土)・6日(日)に、海南市の黒江・川端通りで、年に一度の「紀州漆器まつり」が行われる。漆器問屋がテントを連ね、様々な紀州漆器製品がお買い得な価格で販売される。目利き気分で、掘り出し物を探してみては?そのあと、町歩きもぜひ、楽しんで。
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