発見！お宝！美浜町

2015/04/25 2016/02/05

甲子園球場20個分

煙樹海岸（西山から展望）

近畿地方最大級、甲子園球場20個分という広さの松林が自慢の美浜町。広いだけではなく地元の人たちに愛され、手入れされ美しい。松林とともに、日高川河口から4キロに渡って続く弓形の海岸をあわせて煙樹海岸県立自然公園になっている。普段もウォーキングやランニングをする人たちが多いが、ゴールデンウィークはキャンプ場がオープンするとあって、家族連れらで賑わう。

美浜町の森下誠史町長（左）が、中川アナのインタビューに甲子園の20倍と指で示し話す

煙樹海岸より、煙樹ヶ浜という名が親しまれている。が、意外にもこの名の歴史はそれほど長くなく、大正末期にこの地を訪れた山梨県（現在の南部町＝なんぶちょう）出身の水墨画家、近藤浩一路（こんどう・こういちろ）氏によって、描かれ、煙がたなびくような海岸…「煙樹」と紹介されたことに始まる。

美浜町には、移民の歴史もある。1888年、単独でカナダに渡った工野儀兵衛（くの・ぎへえ）氏が、現地のフレザー河でサケの大群を目にし、家族、親戚ほか、三尾村（現在の美浜町三尾）の人々を呼び寄せ、食料品会社などの事業を興し、成功を収めた。ちょうどこの放送のころ、和歌山県の仁坂吉伸（にさか・よしのぶ）知事や美浜町の森下誠史（もりした・まさふみ）町長は、カナダのバンクーバーなどで、記念式典に出席し、工野儀兵衛氏の足跡の地などを視察している。

カナダの父と呼ばれる工野儀兵衛氏がいたころ、煙樹の名はまだなく、日高浜（ひだかはま）と呼ばれていた。

紀の国わかやま国体・大会で、美浜町は、正式競技は行われないが、デモンストレーションスポーツとして、ビーチボールバレーの会場となっている。自身もバドミントンの選手として、インターハイ出場経験がある森下町長は、待望の和歌山での国体開催だけに、ぜひとも成功させたいと話した。

煙樹ヶ浜を一望、西山

西山は、美浜町と日高町の境界にある。西山千本桜で知られる桜の名所だが、桜の季節は終盤で、ソメイヨシノは、かなり散っていて、八重桜が満開だった。

白くけぶる中、西山へ

西山へのアクセスは、車の場合は日高町側から。美浜町の御﨑（みさき）神社のあたりから歩いて登れるとも聞いた。今回は車。霧か靄か、あるいは、低い雲か、視界が悪い中、そろりそろりと頂上の展望台を目指す。

西山の展望ガイドと眺めを見比べる中川アナ

頂上には、展望台やトイレ、休憩所のほか、芝生広場や展望案内図が設置されている。到着したとき、あたりは白くけぶっていて、視界が悪かったが、煙樹海岸方向は視界がクリアで、美浜町の町並みから松林、海岸、海、それに、御坊市方向まで展望が開けていた。

煙樹海岸と太平洋を一望できる西山で、中川アナ

ゴールデンウィークの煙樹海岸

煙樹海岸にはキャンプ場がある。春はきょう（4月25日）からゴールデンウィーク期間中のみ（～5月6日）のオープン。夏は、7月25日～8月16日の間に利用できる。詳しくは、こちらを参照のこと。
（※ラジオ放送で、「夏はお盆だけ」と言いましたが誤りです。お詫びします）

キャンプ客を含め、ゴールデンウィークは、煙樹海岸が賑わう季節。潮の香、潮騒、松の緑で森林浴、それに、釣りなど、楽しみ方、くつろぎ方は様々ですが、観察する眼をもってあたりを見回せば、発見があるかも…、というわけで、専門家に、春から初夏の煙樹海岸の植物について聞いてみた。

県立自然博物館の内藤麻子学芸員

県内の県立自然公園の植物を調査し、展示資料などの作成を行ったという県立自然博物館の内藤麻子（ないとう・あさこ）学芸員を訪ねた。

県立自然博物館内にある煙樹海岸県立自然公園の展示

「今の時期は、ウラシマソウの花が見られる」と内藤さん。ウラシマソウは、黒っぽい筒状の花で、その中から長い紐のようなものが伸びているユニークな形をしているという。浦島太郎の釣り姿から和名がついたらしい。

ウラシマソウ（煙樹海岸の松林で）

松林の下草の中に咲くウラシマソウ。ひとつ見つけるとあっちにもこっちにも。また、多数が繁るように生えている場所もあった。内藤さんによれば、海岸近くの木漏れ日があるような明るい環境で、松林などの下草として生えるという。「ミニチュアの椰子の木のような葉ですよね」との髭白アナの表現に「単子葉類ですから、そうですね」と内藤さん。さすが、専門家。