発見!お宝!新宮市
2016/02/05
2月はお燈まつり
☆番組はこちらでお聞きいただけます。
※音楽著作権の関係で、インターネットでお聞きいただけるのは、ラジオ放送したものから、音楽の一部を削除したものとなっています。
新宮地方に春を呼ぶという「お燈まつり」。毎年2月6日の夜に行われる男の火祭りだ。舞台は、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)の摂社、神倉神社(かみくらじんじゃ)。今年は晴天に恵まれたが、寒かった。しかし、地元の人たちに聞くと、「お燈の夜は寒いのが定番」という。
新宮市の田岡実千年(たおか・みちとし)市長は、長年、在阪放送局の契約カメラマンとして、新宮を中心とするニュースや話題を撮影し、届けてきた人物。お燈まつりについても、毎年、ビデオカメラ越しに見てきたという。かつては、旧新宮市内のお祭りだったが、今や全国からお燈まつりに駆けつけ、上り子となる人も増えた。このことは喜ばしいことと話す。
ところで、今回、取材のため市長を訪ねると、新宮市役所庁舎は、玄関に工事用バリケードが設置された状態で、隣の職業訓練センターが仮庁舎となっていた。防災面などを強化し、同じ場所に新しい庁舎を建てるのだという。
新宮市には観光的みどころも歴史的散策地も物産販売所もたくさんある。にもかかわらず、観光バスで新宮市を訪れる観光客の市内での滞在時間は平均30分間という。熊野速玉大社に参拝し、少し買い物をしたら、次の場所(市外)へ行ってしまうとらしい。これではいけないと、観光協会と協力して、去年(2014年)からガイド付き町歩きに力を入れていて、モデルコースも設定している。
新宮市には、新宮港という良港があり、今年は、近畿大学の養殖ブリを皮切りに海外との交易をする企業が立ち上がるという。株式会社食縁(しょくえん)で、市も事業に参画し、地元雇用の創出にもつながるといい、今後の発展に期待がかかっている。
2005年10月1日に旧新宮市と旧熊野川町が合併して今の新宮市になった。そう、今年10月で10年になる。記念式典のほか、イベントも計画中とのこと。
あと7か月となった紀の国わかやま国体では、新宮市は、女子サッカーと軟式野球の会場となる。市長も大学時代にはサッカー部だったといい、楽しみだと話した。国体の炬火トーチは、お燈まつりの松明をモチーフにしたデザインとなっている。
いざ、お燈まつり
お燈まつりといえば、松明を持った白装束の男性が、一斉に神社を飛び出していく、あるいは、参道を埋める幾筋もの火の流れといった写真や映像を目にすることが多い。かつて、田岡市長が撮影したものかも知れない。新宮節に唄われている「山は火の滝、下り龍」である。
これも見たい。だが、お燈まつりの日、その夜、神倉神社周辺は、新宮市内は、どんな様子なのかを含めて取材したい。そんな思いで迎えた2月6日。和歌山放送では、上り子(のぼりこ/あがりこ)として毎年参加している新宮支局の引本孝之(ひきもと・たかゆき)さんと、一度体験してから虜になった寺門秀介(てらかど・しゅうすけ)アナウンサーが今年も参加した。ふもとは中川と髭白でという計画。だが、金曜日だったことからこの日の生放送の関係で、和歌山市を夕方出発するという強行プランとなった。
お燈まつりは、何時に始まるのか。これも不思議なことに、あまり報じられてはいない。上り子となる男性たちは、白装束に荒縄を巻き、松明を持ち、当日は、熊野速玉大社、阿須賀神社(あすかじんじゃ)、妙心寺(みょうしんじ)を巡拝し、午後7時ごろまでに神倉神社に昇るという習わし。正式には、一週間前から、精進潔斎(しょうじんけっさい)をし、口にするものも、白飯、かまぼこ、豆腐など白い物に限られる。参加申し込みなどは必要ない。それでも人数はカウントされ、今年の上り子は2,057人だった。神倉神社の大きなゴトビキ岩にはしめ縄がある。まつりの1週間前に新しく張り替えられるそうで、最初の写真は真新しいしめ縄。
ちなみに白装束に荒縄、松明といったものがこの時期、新宮市内のスーパーなどで販売されている。当日は30%オフになっていたという情報もある。
当日夕方、和歌山市を出発したチームは、間に合って良かったのだが、午後7時半には新宮市内に到着。夜間のため、常以上に安全運転を心がけたにもかかわらず、この時間には驚きだ。道路整備のたまものといえる。
松明を持って山を駆け下りてくる場所で待ち受けるふもと取材は、中川アナウンサーと新宮支局のカッキンこと柿白亨子(かきしろ・きょうこ)、田辺支局のくまさんこと井阪邦生(いさか・くにお)。髭白アナウンサーは、山上の様子と見物客を見たいと国道方面へ。なお、中川・髭白・井阪は初めてのお燈まつり。毎年取材しているカッキンによれば、松明のススがスゴイので、見物にはマスク必須という。先に教えておいてほしかった情報だ。
神倉神社に男性が集まってくると、御神火を松明に分ける。行き渡ると、一度、全員を境内に入れ、山門を閉める。そして、爆発しそうな熱気を、午後8時ごろの開門で一気に解き放つ。下り龍が始まり、というスケジュールだ。この日は、神倉神社やそのふもと、国道42号あたりまでは、消防や警察などが警備に当たっている。その人たちが身につけている無線機のスピーカーから漏れる声で、山門が閉まった、開いたという情報が得られる。
普段は男女を問わず境内に参拝することが可能な神倉神社だが、まつりの夜は女人禁制(にょにんきんぜい)となる。上り子となった家族を待つ女性たち、観光客、見物客など、ふもとも多くの人でごった返している。このほか、神倉神社や参道を見通せる場所は、どこも人だかりができている。しかし、国道など周辺の道路には全く混雑がない。普段通りの車の流れがそこにあった。
国道から神倉神社の山を見上げると、山火事と見間違えそうなほど。そして、いざ、開門となると信じられない早さ、2分足らずで、トップの人が下ってきた。この日、仕事を終え、白浜から駆けつけたという田中亮(たなか・りょう)さん30才。11回目のトップという。カッキンのインタビューに「30才を前に去年でやめようと思ったが今年も来た」と話し、「来られればまた来年も」と。ぜひ、上ってほしい。
しばらくして、寺門アナウンサーが下りてきた。「無事に帰って来られた。厄払いができ、今年もいい年になる。ありがとう」と男前のコメント。引本さんを見つけることはできなかった。先に下りてきていたことがあとでわかった。さすが、子どものころから上っているだけのことはある。番組に声の出演はないが、取材に際し、色々助けてもらった。
お燈まつりを初めて見た3人に共通する感想は「また来たい、また見たい」。私たちが来年(2016年)も来られるかどうかはわからないが、来年の2月6日は土曜日なので、今年以上に多くの人が詰めかけることが必至だ。皆さんも機会があれば、ぜひ。
お燈まつりの舞台、神倉神社
髭白アナは、まつりの前に神倉神社に上った。標高120メートルの神倉山にある。まつり当日に下から見上げる場所を探すロケハンを兼ねて。源頼朝が寄進したと伝えられる鎌倉積みの険しい石段。538段ある。上った感じは、険しいというより、不揃い。少し息が荒くはなるが、上れない険しさではない。
ふもとの赤い橋を越える。まつりでは、女性はこの橋の手前で待つ。石段の入り口には鳥居がある。
この日も参拝客は後を絶たず、続々と上ってきた。合掌し、ゴトビキ岩に手を当て祈願する姿があった。また、石段の途中に正座し、まつりの安全を、家族の無事を祈る女性の姿もあった。
真新しいしめ縄が張られた大きなゴトビキ岩と境内。思った以上に狭く、ここに2千人もの人が入るとは信じられない。そして、市街地から熊野灘まで見通せる眺めは抜群だ。
そして、下り。ここで、石段の険しさを知る。簡単には下りられない。不揃いな石段に加え、急傾斜のため、先を行く人の姿がすぐに見えなくなる。これを夜に駈けるというのは、にわかには信じられない。
「下るというより飛んでる」と、石段の途中で出会った年配の男性が教えてくれた。「勢いがついていて、足元が見えないからこそできる」とも。確かに、一歩一歩、足を置く場所を探しながら下りる現状では、走るなど不可能だから。
中川アナもお燈まつりの翌日、神倉神社を訪ねた。だが、50段上ったあたりで、ギブアップ。振り向くと、険しさに足がすくんで動けなくなる。掃除に訪れた男性が「まつりではここを駈けていく」と話してくれた。髭白アナの時もそうだが、誰に聞いても優しく色々教えてくれる。これもとても素敵なこと、そう感じた。
撤去寸前の廃校が癒やしのカフェに
旧熊野川町飛び地にある。1962年に建てられた旧九重(くじゅう)小学校の木造校舎がカフェとして生まれ変わり、近隣のみならず、遠方からも訪れる人が多い、人気のスペースとなっている。
児童数の減少で1991年に休校、2005年には廃校となり、2011年9月の紀伊半島大水害の被害を受けたことから、撤去されることが決まっていた。撤去するなら使いたいという有志の申し出に、新宮市が応えた。小学校としてではないが、馴染み深い校舎がそこに存在していることは、卒業生はもちろん、地域の人たちも喜んでいるという。
木造校舎、小学校の教室という懐かしさ、温もりは、初めて訪れる人にも好評だ。Bookcafe-kuju。
国道168号を北山村へ向かうべく熊野川を渡り、国道169号を少し行くと、控えめな看板が現れる。ぜひ立ち寄って欲しい。
熊野速玉大社
新宮市には、熊野三山の一つ世界遺産の熊野速玉大社がある。
境内には大きなナギの木があり、大きなしめ縄をくぐると拝殿がある。
速玉大社のそばには物産販売所群がある。
うわさの氷屋さん
季節は冬。一年中営業していると聞いたことがある。人気の氷屋さん「仲氷店」を訪ねた。
熊野速玉大社と神倉神社の中間にある。
細い路地を歩いていくと、夏場によく見る「氷」の小旗が揺れているのを見つけた。
古座川の清流を72時間(3日間)かけて凍らせた、透明度の高いふわふわのかき氷。口に入れた瞬間になくなる、この食感がたまらない。
夏には、連日行列ができるというが、今度は「夏に来よう」と思った。
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