ラジオで和歌山~発見!お宝!○○市(町村)~

和歌山県内の市町村を毎月1つずつご紹介/wbs和歌山放送

発見!お宝!古座川町

      2016/08/24

☆番組はこちらでお聞きいただけます。

川とともに

和歌山県には清流が多い。これは自慢だが、古座川はその代表格。町域が広いので自ずと車での移動となるが、どこを走っても寄り添うように古座川の本流や支流の透き通った川の流れがあり、川とともに暮らす人々の営みがある。その透明度は運転中の車窓から川底が見えるほどで、和歌山市から訪れた私たちが驚かされるのだから、他府県の都市部からやってきた人たちにとっては尚更だろう。この清流がいつまでもこのままであってほしいと願う。

清流

清流

古座川町の西前啓市(にしまえ・けいいち)町長は、町議会議員を経て、6月の選挙で初当選、伺ったときは就任1か月にもなっていなかった。そんな訳で、新町長に率直な思いを聞いてみた。古座川町では高齢化が深刻で、人口減少も課題という。年間の出生数が10人前後と少ないので、人口を増やすには転入に頼らざるを得ない。年齢が高くなると育った家や土地を離れることはしなくなるから、期待は若者ということになる。若者は住むメリットがあれば、移ってきてくれるはずというのだ。UターンやIターンなど。住んでみたい町ではなく住みたい町を目指す。その思いは明確で強い。今後のまちづくりに注目したい。

古座川町の西前啓市町長

古座川町の西前啓市町長

子どもが減ると、学校も減る。休校や廃校となって、学校がなくなると町は寂しくなる。子どもの数が極端に少なくなった古座川町。だが、夏休みの今、清流を見込んで訪れる家族連れも多く、川では、ゴム製のカヌー=ダッキーに興じる子どもたちの姿が多くみられた。彼ら彼女たちにはぜひ、リピーターになってもらいたいものだ。川遊びには事欠かない古座川町。だが、受け入れ態勢が不十分という。キャンプ場もない。ないからこそ、清流が維持されているともいえるが、何もかもダメではなく、きちんとしたルールと受け入れ態勢を作れば、もっと訪れる人も多くなるはずと、西前町長は話した。そして、西前町長は、県内30市町村で唯一古座川町にだけない観光協会づくりにも意欲を示していた。

古座川でダッキーに興じる子どもたち

古座川でダッキーに興じる子どもたち



ゆずの王国

古座川町の奥、山間地域の集落に平井の里がある。高齢化が進む、小さな集落だが、その名は「ゆず」とともに、今は全国区になり、インターネットという現代のツールで、様々な加工品を生み出し、販売している。その平井の里を訪ねた。

古座川ゆず平井の里、統括責任者の倉岡有美さんと

古座川ゆず平井の里、統括責任者の倉岡有美さんと

農業組合法人「古座川ゆず平井の里」の設立メンバーで、統括責任者の倉岡有美(くらおか・ゆみ)さんが出迎えてくれた。取材に入る前に、昼食として提供しているという「うずみ御膳」をいただく。味噌汁にご飯を入れて食べる「うずみ」という独特の料理がメインとなり、多彩な山の幸、川の幸に彩られる御膳は、見た目よりボリュームたっぷり。そして、各所にゆずが顔を出す。おなかがいっぱいになった。

ゆずの学校のうずみ御膳

ゆずの学校のうずみ御膳

施設の名まえは「ゆずの学校」。文字通り、元学校の施設を使っている。ごはんに汁物をかけるという食べた方は、丼全般がそうだし、広く全国にある。だが、汁にご飯を入れる「うずみ」はこの地域だけという。古くは広島や京都にあったようで、つながりがあるのではと、倉岡さんは話してくれた。

うずみ

うずみ

中川アナは数年前に、平井の里を別の取材で訪ねたことがあった。倉岡さんは、覚えていてくれた。髭白アナは初めてだったが、山村にゆずの学校のような食事ができる施設があることを喜んでいた。

ゆずの学校のうずみ御膳をいただく

ゆずの学校のうずみ御膳をいただく

ゆずの学校には、ゆず関連商品も数多く並んでいた。どこに行っても見かけるおなじみの商品から、これは?というレアなものまであり、2人とも興味津々状態。そんな中、新商品を聞くと「水」だという。屋久島の水にも匹敵する超軟水なのだとか。試飲させてもらい、優しさを実感する。

ゆず関連商品

ゆず関連商品

超軟水を試飲

超軟水を試飲

この日はいいお天気。ことしの夏は暑い。梅雨明け前が特に暑かったそうだ。アメダスの観測点が古座川町にはある。「西川(にしかわ)」は「平井」のお隣の集落。天気予報やニュースで「西川」が紹介されると、「平井」もほぼ同じと考えればよいと言える。というか、「西川」って山間部だったんだと知る。

ゆずの学校

ゆずの学校

ゆずの学校

ゆずの学校

最後に学校の前で記念撮影。中川さんをはさんで左が倉岡さん。右は調理をしてくださったお姉さん(お名まえを聞くのを忘れました。すみません)。

ゆずの学校で記念撮影

ゆずの学校前で記念撮影

今の時期は、ゆずは青い小さな実をつけている。高齢化が進む平井の里では、収穫が大変なのだという。和歌山大学の学生さんがボランティアで毎年手伝いに来てくれるのがうれしいといい、ことしは目標100人と倉岡さん。そのころ、また来たいな…、そう思った。

ゆずの木、まだ実は小さい

ゆずの木、まだ実は小さい



民話のまち

古座川町では、ことし、町内の民話を集めた本を刊行した。小学校高学年の副読本になればという「古座川町の民話―ふるさとおはなしめぐり」。「古座川町には民話が多い」そんな話も聞いていたので、町教育委員会を訪ねた。本の編集に当初から携わったという倉矢優子(くらや・ゆうこ)班長に、まず、今、民話を集めた本を作ったきっかけを聞いたところ、伝えていくという習慣が減り、高齢化も相まって、せっかくの民話が途絶えてしまうおそれを感じたからという。編集委員が手分けをして、3年かけてまとめた。古座川町の民話を各種の文献から抽出し、取材もしたという。聞き取り調査が十分にできていないと話してくれたことから、続編が出るかもしれない。期待したい。

古座川町教育委員会の倉矢優子班長

古座川町教育委員会の倉矢優子班長

古座川町内には一枚岩(いちまいいわ)に代表されるダイナミックな地形が多く圧倒される。一方で、滝ノ拝(たきのはい)のようなユニークな地形がある。最近はジオパークとしても注目される場所がたくさんある。そういったことから、伝説のような話が数多く生まれたのだろう。そんなことを思っていた髭白アナだったが、必ずしもそういうことではなく、日常の中にもいろんなお話があるという。とても興味深い。今回の番組では、紹介できなかったが、民話朗読もラジオでは取り組んでみたいことではある。

本にまとめたことで引き合いも多いという。販売もしている。興味のある方は、古座川町教育委員会へ。

少女峰と古座川

少女峰と古座川

天誅岩と古座川

天誅岩と古座川

民話が残る「岩」ジオの「地形」。

滝ノ拝

滝ノ拝

滝ノ拝で滝をのぞき込む中川アナ

滝ノ拝で滝をのぞき込む中川アナ

滝ノ拝の中川アナ

滝ノ拝の中川アナ

滝ノ拝

滝ノ拝

「浸食」というひとことでは納得できない。どうすればこんな地形ができるのだろう。清流ゆえにいろんな魚がいて、その中にはもちろん鮎もいる。この場所ではないが、古座川にはオオサンショウウオもいるのだそうだ。今回はお目にかかれなかったが、一度は見てみたい。

滝ノ拝で鮎釣り

滝ノ拝で鮎釣り

古座川町では、ジオパークと道の駅がセットになっている。なので、行く先々でいろんなことを知り、地元の物産を求めることができる。滝ノ拝太郎(たきのはいたろう)も民話の登場人物。

道の駅滝ノ拝太郎

道の駅滝ノ拝太郎


古座川町めぐり

民話の舞台やジオパークとなっている名所を訪ねて回った。

桜の名所として知られる「七川(しちかわ)ダム」。その季節にダム湖畔を訪れたいという思いはなかなか叶わない。だからというわけではないが、管理事務所を訪ね「ダムカード」をゲットした。

七川ダム

七川ダム

これが一枚岩。道の駅もある。いつ来てもデカい。

一枚岩

一枚岩

道の駅一枚岩

道の駅一枚岩

虫喰岩(むしくいいわ)。道の駅が新たにできていた。

虫喰岩

虫喰岩

道の駅虫喰岩

道の駅虫喰岩

牡丹岩(ぼたんいわ)。道の駅はないが観光拠点で食事や宿泊ができる「南紀月の瀬ぼたん荘」がある。

牡丹岩

牡丹岩

川の恵みをちりばめた川御膳、山の幸ジビエをふんだんに使ったボリュームたっぷりの山御膳をいただく。ほかに、海御膳もある。

南紀月の瀬ぼたん荘の川御膳

南紀月の瀬ぼたん荘の川御膳

南紀月の瀬ぼたん荘の山御膳

南紀月の瀬ぼたん荘の山御膳

ぼたん荘で髭白アナは、2年半前、前回のこの番組の取材で、ジオツアーのガイドのひとりで、話も聞いた平見華子(ひらみ・はなこ)さんと偶然の再会を果たした。


迷うほど楽しい

古座川町は、町内の直見地区の湿原で確認された世界最小といわれるハッチョウトンボを町の天然記念物に指定し、休耕田となっていた湿原を買い取り自然保護区として保護活動を行っている。ハッチョウトンボは、県のレッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されているという。

ハッチョウトンボ(オス)

ハッチョウトンボ(オス)

ハッチョウトンボ(メス)

ハッチョウトンボ(メス)

成虫の体長がおよそ2cmというからトンボとして極端に小さい。5月下旬から6月上旬に羽化のピークを迎えるということから見られるかもと、その地を訪ねた。いたいた、いたよ。普通サイズのトンボももちろんいた。

とんぼ

とんぼ

糸トンボ

糸トンボ

知る人ぞ知る大イチョウがこれ。県内で最も大きなイチョウという話もある。古座川町の文化財で、三尾川(みとがわ)地区にある光泉寺(こうせんじ)の子授けイチョウも訪ねた。

光泉寺の大イチョウ

光泉寺の大イチョウ

樹齢400年といわれる。高さ30m、幹回り6m。やはり、秋の紅葉期に来たいところ。子授けといわれるだけあって乳房のような垂れ下がった幹が特徴。この樹にまつわる民話もある。

光泉寺の大イチョウ

光泉寺の大イチョウ

今回、古座川町の山深い細い道を車で走る中、道に迷った。そんな山中で見つけた「大師の水」。やさしい水。

大師の水

大師の水

大師の水を飲む、中川アナ

大師の水を飲む、中川アナ

迷いルートではほかに、ゆず畑にも出会ったし、ヒグラシの鳴き声にも出会った。古座川町はじっくりと回りたい、興味が尽きない、自然豊かな場所だった。暑かったけど。

古座川町マップ

古座川町マップ

古座川町章

古座川町章

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