発見!お宝!串本町
2016/02/05
日本とトルコの友好のきっかけ
白地に太陽の日本と赤地に月と星のトルコ。この二つの国旗の好対象さは、偶然にしてはできすぎなコンビネーション。125年前、きっかけは不幸な事故だが、友好関係は運命かと思わせる。映画の公開で、互いにより深く知ることになるだろう。今回は、この話が中心になる。
映画のきっかけを作ったのが、串本町の田嶋勝正(たしま・かつまさ)町長。大学の同級生だった田中光敏(たなか・みつとし)監督に手紙を送ったのだという。10年かかったが、日本トルコ合作で映画制作をすることになるというゴールは、スタート時には見えなかった話だ。
追悼式典
ことし6月、梅雨入りの大雨で、予定は変更に次ぐ変更を余儀なくされ、串本文化センターで、エルトゥールル号遭難125周年追悼行事が挙行された。
会場は、日本・トルコ両国の関係者、串本町の住民らで埋まり、開式。日本・トルコ両国の言語で進められる。黙祷、礼拝に続き、両国の追悼の言葉が続く。
両手を胸の前に出すのが、トルコの礼拝のかたちのよう。
日本トルコ協会総裁の彬子女王殿下が臨席された。彬子女王殿下は「ヒゲの殿下」として親しまれた故・三笠宮寛仁(みかさのみや・ともひと)親王殿下の第一女子。
オスマン帝国の軍艦エルトゥールル号は、1890年、明治天皇に親書を届けたあとの帰りの航海で台風に遭遇し、串本町大島沖で沈没し、乗組員500人以上が死亡したが、大島の住民の救出活動で69人が命を助けられ、このことが、日本とトルコとの友好の発端になったとされている。このエルトゥールル号沈没してから、ことしで125年になるのを記念し、この日、串本町で追悼式典が開かれ、犠牲者を悼むとともに、両国の友好と絆をさらに深めた。
彬子女王殿下は、イラン・イラク戦争時の1985年、テヘラン空港に取り残された日本人をトルコ航空機が救出したエピソードを紹介した上で、「父は、『およそ100年を経て、海で受けた恩を空で返すとはトルコの人は粋だよな』とおっしゃっていた」と在りし日の三笠宮さまを振り返った。
トルコ議会のジェミル・チチェッキ議長は「軍艦が沈没するような台風の中で、命がけで、救助活動をしてくれた当時の住民の勇気に感謝したい」と述べた。
女優の忽那汐里(くつな・しおり)さんは、映画「海難1890(かいなん・イチハチキュウゼロ)」(12月5日から全国公開中/追悼式典の時点では公開半年前)に内野聖陽(うちの・せいよう)さんとともに主演し、この日の夜に串本町で行われたイベントに、田中光敏(たなか・みつとし)監督とともに出演した。凜として清楚な感じが素敵だった。
トルコの軍艦「ゲディズ」は、エルトゥールル号の遭難現場で行われる予定だった洋上追悼式典のために来日したが、悪天候のため、艦上での式典では中止となり、終日、串本港に停泊していた。
トルコ記念館
追悼式典に合わせ、リニューアル・オープンしたトルコ、日本とトルコの友好の史実が学べる。映画の公開で、日本とトルコの関係、エルトゥールル号遭難事故、トルコ航空機によるテヘランからの邦人救出劇など注目が集まっているが、映画には、事実をデフォルメした箇所やフィクションの部分がある。実際に何があったのか、史実はここにある。
日本とトルコの友好を将来に伝えていくのは、子どもたちが主になる。田嶋串本町長は、中学生にわかる程度の文章で記すべく、リニューアルにあたり、プロジェクトチームを作り、展示を見直したという。
斬新にして、わかりやすい。感心しながら展示を見てまわった。
記念館は、エルトゥールル号が遭難した海域が望める場所(海岸)に建つ。館内には、その場所を見られる窓がある。
遭難現場から遺品が沢山引き揚げられている。その中のシンボル、乗組員の食を支えた大鍋が展示されている。
トルコ記念館は屋上に上がることが出来る。そこからは、遭難現場はもとより、慰霊碑や灯台まで見渡せる。この眺めは新鮮だった。この日は、天気が良く、波も穏やかで、水平線まできれいに見渡せた。それでも、岩礁では、白波が立っていた。台風接近時は想像を絶する。
慰霊碑と灯台と遭難現場
トルコ記念館から樫野崎灯台へ、歩いてみた。
高台から
日本・トルコ友好125年の式典の日に、あわせて、串本町の高台に建つ串本ロイヤルホテルの敷地内に、エルトゥールル号の銅像が設置され、除幕式が行われた。
ホテルの正面でもなく、誰の目にもエ号の銅像が簡単に見つけられる場所でもない。なぜか。田嶋串本町長によれば、現・トルコ首相がかつて、串本を訪れた際、記念撮影をした場所なのだそうだ。遭難現場を含め、橋杭岩やくしもと大橋などが一望できることもあって、この場所をリクエストしたのだという。ホテルの敷地(民有地)でもあり、町は、候補地をいくつも示したそうだが、この場所への思い入れが強かったため、ホテルの了解を得て設置されたもの。ぜひ、見てほしい。なお、串本町役場が高台移転を果たした折には、役場前に移設されるという。
海難1890
映画公開日が迫ったある日、PRのため、田中光敏監督が和歌山放送を訪れた。映画撮影エピソードも多く聞かせてもらった。是非、観てほしい。和歌山県内では、イオンシネマ和歌山とジストシネマ全館で、正月映画として、年明け後もしばらく公開が続くという。
串本駅
JR串本駅前には、レディ・ワシントン号の銅像がある。レディ・ワシントン号は、日本に来港した初のアメリカ船。鎖国していた日本に開国を迫った黒船来航より前に日本を訪れた船があったことはあまり知られていない。この銅像の存在が、エルトゥールル号の銅像を串本に設置することにつながるのだが、この話は、また別の壮大な話。田辺市在住のノンフィクション作家、佐山和夫(さやま・かずお)さんの「わが名はケンドリック―来日米人第一号の謎」などに記されている。
串本海中公園
串本海中公園・水族館主任の中村公一(なかむら・こういち)さんに、ご案内いただいた。
このナマコがいるので、ここの水槽は、設置以来、掃除していないという。
「百聞は一見にしかず」とはこのこと。ぜひ、見てほしい。
毒のある生物類、クラゲ類などは、中村さんの専門分野という。説明書きのない生物の展示を見つけたら、飼育員が独自に設置している場合があるので、たずねてみるのがいいという。当の飼育員にあたると、レアな話が聞ける…かも。
「こんにちわ」思わず中川アナが声をかけた。相手はウミガメくん。
このバックヤードがスゴイ。中川アナは、マグロにエサを与えることに成功!
海中展望塔も、半潜水型海中観光船「ステラマリス」も、楽しい。サンゴも間近に見える見える!
次は、ダイビングにチャレンジかな。
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