ラジオで和歌山~発見!お宝!○○市(町村)~

和歌山県内の市町村を毎月1つずつご紹介/wbs和歌山放送

発見!お宝!太地町

      2017/01/06

☆番組はこちらでお聞きいただけます。

太地町の意志

太地町はくじらの町。くじらといえば太地町。そんなイメージは、和歌山県民ならば誰でも何となく持っていると思われる。だが、太地町は、そんなあやふやなものではない。「過去、現在、未来、くじらに関わり続けるまち」というはっきりとした意志を持って歩み続ける町である。平成の大合併でも合併しないことを選択し、独自路線を歩んでいる。30年計画で、町全体をくじらの学術研究都市にするんだというプラン、プロジェクトが進行している。町民の普段の営みを変えることなく、大きな影響を与えることなく、負担を強いることなく少しずつ、でも着実に歩みを進める。そんな町だからこそ、町内には、他とは違う景色があったり、暮らしがあったりする。対訪問者、観光客に対してもそう。だから、そういうことを求めて訪れれば、満足できる答えが得られる。そんなまち。

巨大鯨展示(町立くじらの博物館)

巨大鯨展示(町立くじらの博物館)

太地町に来たならまずは「町立くじらの博物館」を訪ねてほしい。町産業建設課で観光を担当する森本さんは言う。太地町が関わり続けることを選択したくじらについて、また、太地町とくじらとの関わりについての歴史をも知ることができるからと。その博物館を訪ねると、エントランスにいきなり、大きな存在感をもって、くじらが待ち構えている。骨格標本とともに、実物大の模型がどーんと頭上に現れる。展示や解説も豊富で、階を上がっていくたびに、この模型のくじらを目の高さから見られ、また上から見られるようになり、その視線の先には、古式捕鯨を営む人物模型も合わさってくる。人間の大きさに比べ、何とくじらの大きいことか。だが、くじらにはまだまだ大きなサイズのものがいて、シロナガスクジラになると、この模型の2倍にもなるというから、それを相手にしようとしたいにしえの太地町民の勇敢さに驚かされる。商業捕鯨の禁止という国際的な決定で、太地町のくじらとの関わりは大きな転換を余儀なくされただ、それでもなお、関わり続けようとする思いは、太地の先人たちから現代の人々に受け継がれているDNAかもしれない…などと、今回の取材で改めて感じた。

太地町総務課の和田さん(右)と産業建設課の森本さん

太地町総務課の和田さん(右)と産業建設課の森本さん

番組では、観光面の話を森本さんに、進みつつある学術研究都市構想などについて、総務課の和田さんに話を聞いた。大枠の話としては、博物館では通年で、太地町とくじらとの関わりや歴史、捕鯨というものについて知ることができるほか、クジラやイルカのショーも見ることができる。しかし、オン・シーズンはいつかと聞けば、「夏」だという話。夏、くじら浜海水浴場では、くじらとの触れ合いを楽しむことができるという。イルカとともに泳げる、触れるといった体験は各地にある。太地町にもある。それ自体貴重なことだが、くじらとともに泳げる、触れ合えるというのは、まず、太地町以外ではない。これは、夏に、改めて訪れる必要がありそうだ。

森浦湾

森浦湾

一方、太地町全体をくじらの町にすることに向けた動きとしては、「森浦湾鯨の海構想」なるものが進められている。太地町は、那智勝浦町に囲まれているといっても過言ではない、小さな岬を中心とする町。国道42号の森浦交差点が太地町へのわかりやすい入り口となる。その森浦交差点やその付近が面しているのが森浦湾で将来は、ここに多くの鯨を迎え入れ、自然な環境下で飼育(回遊)することになる。今は、そんな太地町の情報拠点となるべく、道の駅の建設に向け、道路改良も含めた工事が行われている。プロジェクト半ばである。



冬の太地町

オン・シーズンは夏。その話はさておき、今は、冬。そんなわけで、森本さんに、冬の観光プランを聞いた。まずは、くじらの博物館、次は食。くじら肉を食べようと思うと、なにせ供給が少ないので、おのずと高級品扱いとなる。商業捕鯨が禁止された後も、調査捕鯨は継続され、それによってもたらされる資源としてのくじらに頼らざるを得ない。そうなると、コンスタントに流通しないので、くじら専門店や一部の高級料亭を除けば、一般的には、「どこに行けばくじらを食べられるの?」状態。だが、太地町に行けば、リーズナブルな価格で、普通に丼ものやカツを食べることができ、燻製や加工品も購入できる。この独自性は、アドバンテージがかなり高い。

いさなの宿「白鯨」の瓜田支配人

いさなの宿「白鯨」の瓜田支配人

もとは国民宿舎だったといういさなの宿「白鯨」で、くじら肉が乗ったスタミナ丼と、毎朝太地漁協に水揚げされる海の幸をふんだんに乗せた海鮮丼があると聞き、訪ねた。髭白アナはスタミナ丼、中川アナは海鮮丼を注文。毎日限定10食だそうだが、食材があれば、さらに提供できる、していると瓜田支配人は話す。都会でよく目にするてんこ盛り感はない。だが、そもそも丼(鉢)が大きいのだ。それだけでおなか一杯になる。これは、昼食メニューの一部だが、ここでは、お手頃価格でくじら料理の提供もしているので、宿泊もおススメだ。

いさなの宿「白鯨」

いさなの宿「白鯨」

白鯨のスタミナ丼

白鯨のスタミナ丼

白鯨の海鮮丼

白鯨の海鮮丼

くじら肉いろいろ

くじら肉いろいろ

ここだけではない。町内のいろんな店で、当たり前のようにくじら料理がメニューに並んでいる。別の日に博物館前の店で竜田揚げが乗った丼を食した髭白アナ。たまたまだが、取材日程が連続3日間に及んだことで、髭白アナは、とにかくくじらをよく食べた…そんな思いの取材になった。

クジラ丼

クジラ丼

食の後は、レンタルサイクルとか、森本さんは続ける。くじら・捕鯨の歴史が残り、また、景色が素晴らしい町内を巡ってみるのがいいと。太地町は。小さな岬が町域となっているので、自転車で巡るのは丁度いいかもしれない。梶取崎、燈明崎、平見台など。

梶取崎灯台

梶取崎灯台

梶取崎

梶取崎

中川アナは梶取崎を訪ね、狼煙場なる場所を訪問、平見台の展望所から雄大な太平洋を眼下に収めた。

平見台園地展望台

平見台園地展望台

平見台園地に中川アナ

平見台園地に中川アナ

髭白アナは燈明崎へも。岬の先は工事中で入れなかった。工事が完了するころに、再び訪れたい。

燈明崎近くの岩場

燈明崎近くの岩場

燈明崎へは工事中で立ち入ることが出ない

燈明崎へは工事中で立ち入ることが出ない

梶取崎と燈明崎は案外近く、遊歩道で結ばれているので、ここは歩くのもいい。潮騒を聞き、潮の香りを感じながら、木々のトンネルを進む。足元も適度に苔むしていて、上も下も右も左も緑の中を歩ける。これはいい。

遊歩道からは海岸が見られ

遊歩道からは海岸が見られ

燈明崎~梶取崎間の遊歩道

燈明崎~梶取崎間の遊歩道

燈明崎~梶取崎間の遊歩道

燈明崎~梶取崎間の遊歩道

燈明崎~梶取崎間のマップ

燈明崎~梶取崎間のマップ



くじらを作るアーティスト

ミュージアムといえば、美術館・博物館をさすことばだが、太地町ホエールアートミュージアムというグループがある。太地町の山門さん、石田さん、串本町の前芝産の3人で、くじらのフィギュアなどを製作し、土産物としての販売も行っている。趣味から仕事になった感じかもしれない。今回、作品の販売や展示が行われている町立くじらの博物館で、山門さんに話を聞いた。歯科技工士だという。歯科技工士から転じたのではなく、これは、フィギュアを作るのにいいぞとばかり、歯科技工士になったというユニークさ。

山門さんにインタビューする中川アナ(くじらの博物館)

山門さんにインタビューする中川アナ(くじらの博物館)

子どもと博物館の関わりから、今では、展示物の制作も任されることがあり、くじらの図書を集めた図書館のデザインを含めて作ってしまったというほんまもん。

展示(くじらの博物館)

展示(くじらの博物館)

図書室(くじらの博物館)

図書室(くじらの博物館)

ご先祖もくじらと関わっていたという山門さん。作業の傍ら、ラジオもよく聞いてくださっているという。ありがたい。

町立くじらの博物館

町立くじらの博物館

せっかくだからと、くじらの博物館も見学。中川アナは初訪問。

巨大鯨展示(町立くじらの博物館)

巨大鯨展示(町立くじらの博物館)

鯨からできたもの展示(町立くじらの博物館)

鯨からできたもの展示(町立くじらの博物館)

大きさを比べたり、音(声)にマイクを向けたり。

音展示(くじらの博物館)

音展示(くじらの博物館)

鯨のショー(町立くじらの博物館)

鯨のショー(町立くじらの博物館)

イルカのショー(町立くじらの博物館)

イルカのショー(町立くじらの博物館)

クジラやイルカのショーを見学、えさやりがお気に入りの中川アナ。白いイルカもやってきた。

イルカにエサやり体験(町立くじらの博物館)

イルカにエサやり体験(町立くじらの博物館)

イルカにエサやり体験(町立くじらの博物館)

イルカにエサやり体験(町立くじらの博物館)

水族館施設もあり、優雅で美しい姿を見せて泳ぐイルカなどを見ることができる。

イルカが美しい(くじらの博物館)

イルカが美しい(くじらの博物館)



本気の朝市

「本気」と書いて「マジ」と読む。なにかのキャッチフレーズのようだが、年2回開催の朝市。急遽開催が告知され、それは行かねばと髭白アナが、太地で宿泊することとなる。そういうわけだ。

本気の朝市 くじら太鼓

本気の朝市 くじら太鼓

かわいらしい子どもたちがそろいの法被姿でいさな太鼓を打ち鳴らし、本気の朝市が始まった。

本気の朝市のにぎわい

本気の朝市のにぎわい

本気の朝市のにぎわい

本気の朝市のにぎわい

漁港の朝市だが、農産物の販売もある。なにより、やはり、くじらのいろんな部位が商品となって並んでいるのがユニーク。

本気の朝市 くじら製品いろいろ

本気の朝市 くじら製品いろいろ

夏祭り会場の縁日の鶏のから揚げのようにして販売されていたくじらの竜田揚げ。これがおいしい。揚げたてであつあつ、肉が柔らかいのもおいしさを加速。肉の臭みなど全くなく、あちこちで竜田揚げを食べる人たちがいる。何人かに話を聞いたところ、懐かしいという声が多く、もっと硬いイメージだったが、柔らかくておいしいという声も。さすが、本場…というところ。

本気の朝市 くじらの竜田揚げ

本気の朝市 くじらの竜田揚げ

本気の朝市 くじらの竜田揚げ

本気の朝市 くじらの竜田揚げ

大きなイセエビの量り売りも人気。この日に帰るなら絶対買ったという髭白アナは残念そう。

本気の朝市 イセエビ量り売り

本気の朝市 イセエビ量り売り

本気の朝市 イセエビ量り売り

本気の朝市 イセエビ量り売り

そして、セリ。これまた、買いたくなる。

本気の朝市、セリの様子

本気の朝市、セリの様子

くじら汁のふるまいも。

くじら汁振る舞い

くじら汁振る舞い

くじら汁

くじら汁

太地町の本気の朝市は、年2回。12月に太地漁港ふれあい広場で、3月にはくじらの博物館前で開かれるという。告知が急な場合があるので、ホームページやフェイスブックなど注目しておいてほしい。

太地漁港

太地漁港

本気(マジ)の朝市の幟

本気(マジ)の朝市の幟

太地漁港を一望

太地漁港を一望



ベンチが多いまち

燈明崎近く

燈明崎近く

前回のこの番組の太地町訪問時には、きれいな高機能なトイレが多いということが目につき、町長のこだわり、思い入れを取材した。今回の取材で、やたら目についたのはベンチ。そこの腰かけて、何かを見るとか、待つという場所ではないところ、町のふとした場所にとにかくベンチが多いのだ。取材すると、遠大なプランの一環であることが分かってきた。

燈明崎近くの駐車場

燈明崎近くの駐車場

前述の役場の和田さんに聞いた。公園にはベンチがある。バスの待合所にもベンチがある。普通のことだ。町全体を公園にしようという構想を進める太地町だからこそ、ベンチは必要。バス停ではないところでも、手を挙げればバスが止まってくれる自由乗降巡回バスを運行するために、どこでも待てるようにベンチが要る。

太地中学校

太地中学校

お年寄りや体の不自由な人が安心して暮らせる町、くじらのことを知るために世界中からいろんな人が訪れる町にベンチやトイレは不可欠。そして、そこにベンチがあることで、閉じこもりがちになるお年寄りも少し外に出てみようかと思い、ベンチがあるから人が集まり、話も弾むのではないか。すべてがもっともな話で、腑に落ちた髭白アナだった。

寄り道

梶取崎近くにくじら供養碑があり、そのそばに鳴子岩がある。

くじら供養碑

くじら供養碑

鳴子岩に近づく中川アナ

鳴子岩に近づく中川アナ

岩をたたいてみると独特の音がすると記されているので、レコーダーをもって、中川アナが岩を石でたたいてみるが、独特なのかどうなのかがわからなかった。

鳴子岩をたたいてみる中川アナ

鳴子岩をたたいてみる中川アナ


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太地町章

太地町章

太地町マップ

太地町マップ

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