本宮から新宮へ、世界遺産・熊野参詣道をたどる旅

【熊野参詣道】
4回目の女子旅は、素晴らしい青空に恵まれた。これぞ夏空だ。それもそのはず、この日は梅雨明け宣言の日。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)」の熊野参詣道をたどる旅を敢行。熊野三山のうち、2つを含む、贅沢な計画。本宮から新宮へと王道を行く、必ず人に勧めたくなる旅。新宮に行きたがっていた伊舞(いまい)なおみさん(写真左)をパートナーに、旅が始まる。

旅の始まりは熊野本宮大社

旅の始まりは熊野本宮大社

和歌山放送(和歌山市)から車で2時間半で熊野本宮大社に到着してしまう高速道路網のすごさに、いまさらながら、改めて驚く。車から降り立つとすでに空気感が違う。気持ちいい。そして、鳥居の前から、いざ、出発。

☆番組は、ここから聞くことができます。

【熊野本宮大社】
世界遺産はあくまで付加価値。いにしえの昔から、人々が癒しを求め、蘇りを願って、命がけの長旅をしてでも目指したあこがれの地、熊野三山のひとつ、熊野本宮大社。八咫烏(やたがらす)をシンボルのように記した高い幟と木の鳥居の前に立つと気が引き締まる。そして、あたりの空気が他とは違うことに気がつく。信仰心の有無や宗派などは関係ない。車で楽に来られるようになった今でも、「来たんだ」という気持ちが起きるのが不思議だ。大きく一つ深呼吸して、番組の第一声を挙げる。熊野の神様には、この女子2人がどんな風に映っているのだろう。

熊野本宮大社

熊野本宮大社

参拝の仕方を確認

参拝の仕方を確認

参道を行く前に、参拝のしきたりを確認する。中央は神様の通り道なので歩かない。右側を上り左側を下る。鳥居に一礼し、参道の石段を上り始める。両脇には、熊野大権現と書かれた幟旗と、長い年月、参拝の人々の行き交う姿を見守ってきた杉木立が並ぶ。日の光で緑がみずみずしく、すがすがしい。石段を上るごとに、見えてくる景色も変わり、境内への期待が高まる。

熊野本宮大社参道を行く

熊野本宮大社参道を行く

158段の石段

158段の石段

158段を上りきると、本殿への入り口が見える。何もかもが大きく美しく圧倒される。まずは、無事に到着できたことに感謝し、この日の旅の安全と、番組の成功などを祈願する。本来は、来るべき将来のその日の旅路を願う場所であることを、のちに知ることになる2人。だが、何をお願いしても大らかな熊野の神様は受け取ってくれる、そんな気がする。

熊野本宮大社の手水場

熊野本宮大社の手水場

熊野本宮大社本殿へ

熊野本宮大社本殿へ

お参りをすませた女子2人は、境内の八咫烏ポストと、大社脇の熊野古道で写真撮影に余念がない。そう、熊野古道は、歩いていない。

八咫烏ポスト

八咫烏ポスト

熊野古道に2人

熊野古道に2人

【大斎原】
現在の熊野本宮大社から500メートルほど離れた場所(徒歩10分程度)に大斎原(おおゆのはら)がある。ここは大社の旧社地。神が舞い降りたという場所。明治の大水害前までは現大社の数倍の規模でこの場所にあったというが、今は小さなほこらが祀られているのみ。高さ34メートル、幅42メートルの大鳥居がシンボルとして立つ、その背後の森が名残りで、大社とあわせて訪ねたい。女子2人は青々とした広大な田園風景の中に立つ大鳥居にすでに圧倒されていたが、写真を撮るのは忘れない。

大斎原への道

大斎原への道

大斎原の大鳥居をバックに

大斎原の大鳥居をバックに

【熊野本宮館】
熊野本宮大社と道路を隔てて、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」や、和歌山県の南部を中心にした様々な紹介展示や観光案内にも応じてくれる熊野本宮館。田辺市の施設だが、和歌山県の世界遺産センターや熊野本宮観光協会などが入っていて、様々に対応してくれる。実は大社に参拝する前に入館したのだが、女子2人の関心事は、和歌山の妖怪だったり….。旅の行程をおさらいしてスタートとなった。あらためて、ゆっくり訪れたい。

熊野本宮館

熊野本宮館

熊野本宮館の展示を見る

熊野本宮館の展示を見る

地図で旅の行程を確認

地図で旅の行程を確認

熊野本宮館の展示を見る

熊野本宮館の展示を見る

不思議な2ショット

不思議な2ショット


【川の参詣道】
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の熊野参詣道のひとつ熊野古道のうち、唯一、川が登録されているのがここ。熊野本宮大社から熊野速玉大社への陸路は、主に、三重県側の熊野川沿いにあるにはあるが、ここは川舟で下ったルートをたどる。主に身分の高い人たちが舟で下ったという。そして、かつては、本宮大社脇から舟が出ていたそうだが、今は、車で30分ほど下った道の駅「瀞峡街道・熊野川」下の河原が舟旅の出発地点。

川舟に乗り込む

川舟に乗り込む

川舟出発

川舟出発

ライフジャケットを身につけ、ヒノキで作られた皆地笠(みなちがさ)をかぶれば、船旅支度は万全。いずれも無料で貸してくれる。舟の定員は10人ほど。案内役の語り部さんと、操縦の船頭さんが前後に乗り込む。女子2人は、最前列を陣取った。この日この舟のガイドは、語り部で、和歌山県高野熊野特区通訳ガイドでもある福辻京子(ふくつじ・きょうこ)さん。川舟ガイドでは最古参だというが、はつらつとした、笑顔が素敵な女性だった。

船上の女子2人

船上の女子2人

川舟離岸

川舟離岸

川舟が行く

川舟が行く

船上でピース、語り部さんも

船上でピース、語り部さんも

川の参詣道、熊野川舟下りは、熊野川川舟センターが運行している。毎日、午前と午後の便があり、予約必須。ホームページで予約や運行状況を確認できるので、ぜひ、体験してほしい。暑い夏の日差しの下、屋根のない小舟で1時間半の川下りは、修行のようではないのかと思われるかもしれないが、むしろ、未体験の爽快感。こんな心地よいものが他にあるのかというほど。女子2人もすっかり、木の小舟での川下りを気に入った様子。

紀伊半島大水害の爪痕

紀伊半島大水害の爪痕

川舟が行く

川舟が行く

屏風畳み岩

屏風畳み岩

皆地笠に舟下りの文字

皆地笠に舟下りの文字

熊野権現に退治された鬼の骨という伝説がある骨島。パワースポットと聞いて、5分間の上陸休憩で女子2人は御利益をゲット。熊野川の冷たい水にも触れ、大はしゃぎ。

骨島

骨島

骨島上陸、岩が大きい

骨島上陸、岩が大きい

骨島で熊野川の水に触れる

骨島で熊野川の水に触れる

骨島の岸で待つ川舟

骨島の岸で待つ川舟

後半、サプライズギフトとして舟を寄せた小さな支流は、水が透き通り、川底までくっきり。一方、頭の上の道路を見上げると、その下には、2011年の紀伊半島大水害の忘れ物がびっしり。あんな高いところまで水をかぶったとは、平常時には想像もつかない。でも、熊野川の随所に、水害の爪痕は残っている。

透き通る水

透き通る水

紀伊半島大水害の忘れ物

紀伊半島大水害の忘れ物

最後に語り部の福辻さんが篠笛を披露。少し暑くはなるが、エンジンを止め、川の流れと篠笛と船頭さんが手漕ぎする櫂の音がいにしえの舟旅の様子をひととき思い起こさせる。

川舟は熊野号

川舟は熊野号

篠笛を吹く福辻京子さん

篠笛を吹く福辻京子さん

出発地から終着地まで16kmの間、頭の上を横切る橋が一つもないのが川下りの特徴のひとつでもある。河口の熊野大橋が見えてくると、旅も終わり。川の中央では、砂利の浚渫船が作業中だ。

熊野大橋と砂利浚渫船

熊野大橋と砂利浚渫船

川舟接岸

川舟接岸

乗り込んでしまうと舟の小ささは気にならないが、岸から見れば、なんと小さいこと。

熊野川を行く川舟

熊野川を行く川舟

熊野川を行く川舟

熊野川を行く川舟

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